「これで相手を殲滅すれば我が覇王道を止めるものはないな」
「御意」
「旗艦被弾しました」
「そんな馬鹿などこから」
「前方距離...1km」
「どうやって...」
人類の既存の技術ではありえない位置へのテレポートかつ即時攻撃であった
「旗艦動力部損傷もう...もちません脱出を」
「ならんなぜワシが逃げねばならんのだ、どうすればいい」
隣をみたがそこに副官は存在してなかった
艦橋の全面の宇宙空間に立体映像が映し出される
「なんか止めるのものはないなとかいきってたのできちゃいました」
すこしたどたどしい話し方である
「お前は誰だ」
「言語も違うし君らでは発音すらできないのでキミでいいよお前はよばやりはやかな」
話し方に最初のたどたどしさが消えた 調整が終わったようだ
「ええっとこいつ連れて帰るね あといきなりやっつけちゃうのもつまらないから
一日猶予をあげよう キミの船の崩壊は凍結しておくよ」
人間とは明らかに大きさの違う生物の傍らに副官がチョコンと座らされていた
「じゃあ またね」
旗艦は凍結され崩壊は免れたが動けなくなり
敵船団は銭湯空域から離脱していた
湯船の火力を落とし銭湯は終結した
事態は最悪であった
対抗手段はまったくなく逃げることもかなうまい
館内のちょっとした一言すら傍受できる
科学力も雲泥の差があることはあきらかである
伴銀河帝王を名乗っていた同人類相手では、はちきれんばかりあったメンタリティも
一瞬で打ち砕かれたのである
頼みにしていた副官もどうなったかわからない
すごく寒いし、伴銀河帝王は心が折れていた
「帝王には、まずたちなおっていただかないと」
そんな会議が近くの会議室で行われていたとかいないとか
対策はまったくなかったのである
翌日
なにも起こらなかったのである
「一日猶予をあげたよね 課題の提出は凍結しておいたよね キミ」
キミは母に叱られて宿題をはん泣きで解いていてそれどころではなかったのである
更に翌日 どうでもいいことだったので忘れた
伴銀河帝王のその後はパッとしていない
キミが夏休みの終わりの日になんかすげえことしてきたと言ってたので
ゲートと時間軸を少し超えて調べてみた
この事実はキミの叔父の私ぐらいしか知らない
一応記録しておく
<追記>
ポチ(副官)はなんやかんやで家に住み着くことになった
もう故郷にはもどりたくないそうで銭湯はもうコリゴリと語っていた
その後、彼の世界の換算で200年ぐらいは生きてくれた
彼らからすると恐ろしく長生きらしい
彼がその体験談をパロディー化してフィクションとした作品は
ちょっとした人気になり、その収入だけでしばらく暮らせた