あんまりな名前のヘクソカズラ。この時期にはいたるところでみかける。名前のひどさに同情したのか、サオトメバナの別名もある。しかし一度このヘクソカズラというひどい名前を聞いてしまうと、しっかりと記憶に残るのでほかの名前はなかなか思い浮かばない。ヤイトバナの別名も今の時代ではわかりにくい。やいとの痕と言われても、は? だろう。蕾も花もきれいな形をしているのだが。万葉では古い名前で「くそかずら、絶ゆることなく宮仕へせむ/万葉集 3855」と歌われているという。花とのつながりがみえにくい歌だ。
(2019-09 川崎市 道端)
ヘクソカズラ [屁糞葛]
開花時期 7月、8月、9月
花の色 白
名前の読み へくそかずら
分布 北海道から沖縄
海外では、朝鮮半島、台湾、中国、フィリピン、インドシナ半島、インドなどに広く分布する。
生育地 道端や空地
植物のタイプ 多年草
大きさ・高さ ―
分類 アカネ科 ヤイトバナ属
学名 Paederia scandens
花の特徴 葉の脇から短い集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、白い花を疎らにつける。
花冠は長さ10ミリくらいの釣鐘形で、先は5つに裂ける。
筒部は白く、中央が紅紫色をしている。
葉の特徴 葉は楕円形ないし細めの卵形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は尖る。
茎は長く伸びて蔓になり、左巻きで他のもに絡む。
実の特徴 花の後には光沢のある黄褐色の実をつける。
この花について ―
その他 別名を灸花(ヤイトバナ)ともいう。
名の由来は、草全体がいやなにおいを放つ蔓性の植物というところからきている。
万葉の時代にも「くそかずら」の名で詠まれているが、それに「屁」もついたわけである。
灸花(ヤイトバナ)のほうは、花の中心部の形がお灸の跡に似ているところからきている。