九月初旬のこの時期の高尾山は全山でタマアジサイが咲き誇っていた。紫陽花の季節は終わったが、蕾が玉のように花弁を包んでいるタマアジサイはまだまだ元気だった。かつてはタバコの葉の混ぜ物に使ったらしく、ヤマタバコとも呼ばれるらしい。薄い紫の花はそんなことも知らぬげに咲きつづけている。
(2019-09 東京都 高尾山 )
タマアジサイ(玉紫陽花、学名: Hydrangea involucrata)は、アジサイ科アジサイ属の1種の落葉低木。
つぼみが球形であることから名付けられた。
分布
東北地方南部(福島県)、関東地方、岐阜県までの中部地方の林地に自生する。
山地の沢沿いや、やや湿った林縁、道路法面などに自生する。
形態
高さ約1.5メートル程度。
葉は長さ10-21センチの楕円形で先がとがる。葉や幹など全体に短毛が生えており、ざらつく。葉に葉柄があり、枝に対生し、葉の形は楕円形から倒卵形で、大きいもので長さ25cm、幅14cmほどになる。縁は細かい鋸歯状になり、葉の表面、裏面ともざらつく。
装飾花は大きさ20-32ミリで白色、両性花は大きさ2-5ミリで紫色であり、花序は直径10-15センチである。つぼみの大きさは径1.5センチ、長さ1.2センチ程度で、開花に従い包んでいた苞(ほう)は落ちる。山地で自生する場合、花は8-9月に咲くが、平地で栽培しているものは6-7月ごろに咲き始める。
花期は7月から9月で、苞に包まれ玉状になった蕾が裂けるように開花し、淡紫色の小さな両性花の周りに花弁4枚の白色の装飾花が縁どる。
系統
アジサイ属タマアジサイ亜節 Asperae + バイカアマチャ属 Platycrater からなる系統に属し、その中でおそらく最初に分岐した。
利用
かつてタバコの代用品や混ぜものとして使われ、「ヤマタバコ」の別名がある。