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境内の楠、ケヤキ、そしてオリーブ

2015-03-14 22:20:37 | あれこれ
これは、昨秋に記したもの・・・

職場への道筋を少しだけ遠回りして、
湊川神社の境内を通る。
湊川神社の南門をくぐると、
クスノキの樹々の間を明るいトンネルのようにして
参道が正まで真っ直ぐに伸びている。

夏は蝉の声をシャワーのように浴びながらその道を歩く。
辛い思いを抱いているときにはその下でしばし佇んでいると、
命震わせた声のシャワーが
心の厚い黒雲も洗い流してくれるようで救われる思いがする。
今は秋。常緑樹の楠の林の中に色づく木々が重なって美しい。
南門のすぐ右手と参道奥左手に銀杏の木が黄葉している。
赤く染まっているのはケヤキの樹だ。
楠の枝ぶりは、あたかも何ものかを掴み取ろうとするかのようにぐるぐるとしている。
その枝先をこんもりとした雲形にたくさんの葉をつけた小枝が広がっている。
片やケヤキは、直線的な幹であり枝ぶりだ。
僕は、これまで圧倒的にケヤキファンであった。しかし、
より身近な楠について調べてみると大きな驚きを覚えた。
僕の大好きな中宮寺の弥勒菩薩は、楠で作られていると言うのだ。
無知な僕には衝撃であった。
七世紀までの日本の仏像はほとんど楠から作られていることも知った。
しかし、このことは後で記そう。
もう少し境内を進んでみる。左手に桜が紅葉している。
ソメイヨシノではないと思われる桜だ。横筋ぶつぶつのある樹幹を見てそれとわかる。
ゆっくり参道を歩んでいくと奥右手に濃い紅色に染まる楓が飛び込んでくる。
小ぶりの葉が気品が醸し出している。
イロハモミジとすると羽振りが小さいような気もするが、どうなのだろう。

ある日正門をくぐって左手をふと見ると、
なじみのない薄い緑の小さな葉の木がある。
近づいてみると、案内板にオリーブとあった。
日本で最も古く植樹されたオリーブだという。貴重な木なのだ。
ほぼ毎日この門をくぐりながらまるで気づいていなかったのだ。
面白いものだと思う。
『暮らし』の脚もとを見直してみると、
そんな風景が至る所にあるのだろうなと思う。