イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

ラファエロのシビュラ(Le Sibille di Raffaello)修復中ーChiesa di Santa Maria della Pace,Roma

2020年03月15日 17時57分39秒 | イタリア・美術

イタリア文化財・文化活動省(Ministero per i Beni e le Attività Culturali)が外出禁止に伴い、独自の動画配信をリアルタイムで行ったらしい。(寄付を集める目的)
イタリア国歌の歌詞にもある「l'Italia chiamò(イタリアが呼んでいる)」という名前で、13日の朝6時から夜の12時まで配信されていたらしく、今はYoutubeで見ることができる。
https://www.litaliachiamo2020.it/
役者、作家、音楽家、科学者など様々な分野の人が出演していが出演しているらしい。

12時間弱の長時間にわたる動画の一部を切り取った形でFBに載っていたのが、RomaのChiesa di Santa Maria della Pace (サンタ・マリア・デッラ・パーチェ教会)

にあるフレスコ画、ラファエロのシビュラ(Le Sibille di Raffaello)の修復。
https://www.facebook.com/watch/?v=2560273940911098
これも当然ラファエロ没後500年記念の関連行事の1つ。
あ~もう何で今年なの?

Chiesa di Santa Maria della Pace (サンタ・マリア・デッラ・パーチェ教会)は以前からこの地に教会が有ったのだが、ローマにおけるルネサンス教会の最も早いものの1つで、1482年教皇Sisito IV(シクトゥス4世)が聖母に捧げて再建された。
実はこのSisto IVは1478年に起こった「パッツィ家の陰謀」に加担していたとも言われ、フィレンツェと戦争になることを恐れ、聖母に捧げた大きな教会を建てたのではと言われている。
1656年から1667年、教皇Alessandro VII(アレクサンデル7世)の依頼で建物はPietro da Cortonaによって修復が施される。
バロック風のファサードもこの時付けられた。

内部はこんな感じ。

主祭壇はCarlo Maderno(カルロ・マデルノ)によって描かれた「聖母子」
Cupola(丸天井)もついている。



外から見るとこんな感じ。

今回修復されているのが、入ってすぐ右側にあるChigi(キージ家)の礼拝堂

設計もラファエロと言われているが、修復されているのがこのシビュラと天使。
シビュラとは、主にアポロンの神託を受け取る古代の地中海世界における巫女のこと。
ルネサンス期以降、『シビュラの託宣』とそれを引用した教父の著書の影響で、美術上のモチーフとしても好まれた。

Agostino Chigi(アゴスティーノ・キージ)の依頼。
Agostino Chigiはラファエロのパトロン。
メディチが芸術を政治の手段の1つとして用いたのとは違って、芸術を政治から引き離し、純粋なメセナとして多くの芸術家を育てた。
Basilica di Santa Maria del Popolo(サンタ・マリア・デル・ポポロ教会)のラファエロプロジェクトの墓に眠っている。

修復動画で語られていたのだが、このフレスコ画は1512年から14年の間に描かれた。(上部の4人の預言者はラファエロの死後Timoteo Vitiがラファエロのデッサンを基に描いた。)
実はこの時期、ローマでは奇跡が起こっていた。
それはルネサンス三大画家が、丁度この時期3人ともローマにいたのである。

ミケランジェロは1512年、システィーナ礼拝堂の天井画を完成させている。
ラファエロがこれを見なかったはずがない。

ただミケランジェロの描いたシュビラは、力強く筋肉質。
ラファエロのシュビラにこの特徴は見られず、非常に甘美な雰囲気を漂わせている。
もう一人の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチは1513年から16年までローマ、それもラファエロが活躍していたヴァチカンにいた。
ラファエロが描いた天使の透明感にレオナルドのSant'Anna, la Vergine e il Bambino con l'agnellino(聖アンナと聖母子)の影響が見られる、と動画では語られていた。

他にも

Rosso Fiorentino(ロッソ・フィオレンティーノ)による la Creazione di Eva(イヴの誕生) とil Peccato originale(原罪)。

また教会に隣接してChiostro Bramante(ブラマンテの回廊)がある。

その名の通りブラマンテが造った。
16世紀ルネサンス、ミラノからローマにやって来たブラマンテが最初に設計した建築物の中でも最も重要な作品の1つ。
現在は、特別展の会場として使われていて、これらの写真を撮った時(2013年5月)は丁度ブリューゲルの展覧会をやっていた。
https://www.chiostrodelbramante.it/

2階の窓から教会の内部、特にラファエロやロッソ・フィオレンティーノのフレスコ画を、ほぼ同じ高さから見ることが出来る。



カフェもある。

 天気が良ければ、ここでまったりするのも良い。

修復されてきれいになったフレスコ画、いつ見ることが出来るかなぁ…

参考:Wikipedia



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