連日暑い日が続いています。
長崎話が続いています。
旅に出て、こうしてかなり細かく情報を残しておくのは久しぶりという気がしますが、それだけこの旅行が興味深かったということ。
ネタはまだまだありますので、良かったら最後までお付き合いくださいね。
さて、今日はちょっと軽めな「お土産」の話。
お土産と言えばやはりお菓子ですよね。
今では長崎と言えば、やはりカステラではないでしょうか?
実はここで大きな勘違いをしていたことに気が付いたんです。
みなさん、確か「カステラはポルトガル伝来」と小学生の時に習いませんでしたか?
この年になるまで、ここに全然違和感がなかったのですが、これを見てすごく違和感が…
Castella?
「えっ?ちょっと待って、カステラ→かすてーら→かすてぃーりゃ→カスティーリャ?これスペインじゃない?」って。
そうでした、勘違いしていました。カステラはポルトガルのお菓子ではなく、ポルトガル人が日本に持ってきたスペインのお菓子だったんですね。
”カステラはもともと、スペインのカスティーリャ(Castilla)王国で生まれたお菓子といわれます。ポルトガル語ではカスティーリャ王国のことを「カステラ」(Castella)と発音するので、日本に伝えられたときに、日本人の質問に答えてポルトガル人が「これはカステラ王国のお菓子だ」(ボロ・デ・カステラ Bolo de Castella)と言ったのを「カステラ」と聞き、これがカステラの語源になったといわれます。”(参考:福砂屋のHP)
この福砂屋のHPにカステラの歴史が分かりやすく書かれているので、詳しくはそちらをご覧ください。
それにしてもHPを見て、このふっわふわのカステラがのルーツがビスコチョ(bizcocho)、イタリアならビスコっト(biscotto)...
ん?この写真を見て
まず思い浮かべたのはこれ!泉屋のこのクッキーだ!
大好きなこのクッキーそっくり!!
泉屋のクッキーは、アメリカ人の宣教師から習ったもの、でもサイトには「スコットランドの家庭で焼かれていたホームメイドクッキー」とも有るんですよね。宣教師さんがもともとスコットランドの人だったんですかね?(参考:泉屋HP)
それはさておき、どんなに昨今新しいおいしいものがあふれていても、私泉屋のクッキー大好き!!
お店のシンボルになっている”浮き輪”の形をした「リングターツ」。これは家族で奪い合いでしたね。
驚いたのはこの四角いクッキーの名前、これ「サボイフィンガー」というのね。
ってことはつまりルーツはこれですよねぇ…
ティラミス作りには欠かせない、イタリアのビスコッティ・サヴォイアルディ(biscotti savoiardi)
なんとWikipediaにも「スポンジ風」と説明されてる…実際そこまで柔らかくないけど。
あともう一つ浮かんだのはフィレンツェから電車で30分くらいのところにあるプラート(Prato)という街の名物カントゥッチ(Cantucci)
ここは特に有名なAntonio Matteiというお店なのですが、以前ここで食べたこのお菓子ともパンとも言い難いこれ。
カントゥッチ・アッラニチェ。
現在カントゥッチと言えばアーモンド入りが主流。最近ではピスタチオやチョコレート入りの変わり種も増えています。
ところが1800年代はこれが正統なカントゥッチで、アニスシードが練り込んであります。
現カントゥッチ程固くなく、サクサクした固めのパンという感じで、甘さも控え目、非常においしかったのを覚えています。
なんとなく、これとカステラならつながりそう。
ちなみにポルトガルのパン・デ・ローがカステラのルーツという説もあるそうです。
とにもかくにも16世紀半ばに長崎にもたらされたカステラはあっという間に大人気!
坂本龍馬もカステラを作ろうと試みた、というではないですか。
そんなカステラ、長崎にはどれくらいのお店が有るんだろう?どこが美味しいんだろ?
長崎のカステラ屋さん、有名どころはこんな感じでしょうか?
福砂屋-寛永元年(1624年,江戸初期の頃)創業。ポルトガル人の直伝を受け、「カステラ本家」として商標登録を有す老舗中の老舗。
松翁軒-天和元年(1681年,江戸時代)。こちらは明治33(1900)年に、パリの大博覧会にカステラを出品して名誉大銀盃を受賞。明治37(1904)年、セントルイス万国大博覧会で、名誉大金牌を受賞。元はヨーロッパのお菓子だったのに、日本人はこういう部分も優れていたんですね。松翁軒は「長崎カステラ」の国内外への普及に大きく貢献したお店。
そしてなんと言っても私たち関東人には一番馴染みの文明堂-明治33年(1900年)
「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂~」というあのCMで一躍有名に。
このCM何とも言えないですよね。未だに文明堂のサイトで見ることが出来ました。
(人形作家のノーマン氏が出演しているバージョンも有った!)
実は私、このCMのせいで、文明堂は東京のお店だと思い込んでいたんです。
「電話は2番」というのは、電話をまだ交換手が繋いでいたころのお話で、文明堂は市内局番の次が0002番でした。
つまり「中央区の2番」、と言えば文明堂につながったころの名残。
でも文明堂は今でもこのあたり非常にこだわっているらしく、関係諸所の電話番号の末尾は全て「2」!?
例えば日本橋本店は03-3241-0002、お客様相談室は0120-400-002と言った感じ。
以前ある番組で言っていたのですが、電電公社からNTTに変わった時、この末尾「2」の電話番号をわざわざ買ったとか。
すごい拘りです。
ただ今回色々調べてみてはっきりしたのですが、私も大学生の時アルバイトをしていた文明堂と長崎の文明堂とは基本的に違う会社らしいんです。
本場長崎の文明堂は、西日本にしか出店しておらず、東京の文明堂は創業者の実弟・宮崎甚左衛門氏が大正11年、上野黒門町に東京1号店を出したのが始まり。この人が「カステラ1番、電話は2番」のキャッチコピーを考案したり、商才に長けた人物だったそうです。「のれん分け」によって東京の文明堂は日本橋、銀座、麻布、新宿と4社に分かれ、のちに日本橋と新宿は合併して「文明堂東京」になった。こちらは首都圏はもちろん、東北、中部、近畿、中国地方に店舗を展開。長崎の「総本店」との競合を避けるためか九州には出店していない。
そして横浜。こちらは1933年(昭和8年)「文明堂東京」創業者・宮崎甚左衛門が開いた支店。
ということで、私が子供のころから食べなれている文明堂のカステラはあくまでも「文明堂東京」のものだということが判明しました。
この御三家ではないのですが、今回一番目についたのが「和泉屋」でした。
あっそっか、ここ、「今一番勢いがあるお店」と書かれていましたが、お店が観光一等地に立っているから。
観光地を巡る観光客には目につくはずです。
ここのお店にはお菓子だけでなく「皿うどん」や「角煮」などの長崎土産も置いていて、観光客の欲しいところに手が届く感じや品ぞろえが若い子向けというのが流行っている理由でしょう。配り土産に良いように、個別包装されたパッケージや
1個で2つの味を楽しめる2段重ねなど、女子にはうけそう。
とここまで色々引っ張って来て、私はどこのを買ったのか、と言いますと
長崎堂です。
本店はグラバー邸や大浦天主堂へ向かう坂道、グラバー坂の下にあり、ホテルのすぐそばだったので、ここに行ってみました。
ちなみに、この坂には和泉屋、清風堂がありました。
どこのお店も大抵試食は出していて、お茶もおいてありました。
うひひ、美味しい。
関東で食べるのよりおいしい…と思ったのは思い込みではなかったようです。
この試食「五三かすてら」という聞きなれない種類。
お店の人に聞きましたよ、「五三かすてらとは何ぞや?」と
五三とは材料の割合のことで、卵を丸ごと使わず、卵黄5に対し卵白3を使用するということのようです。
あるサイトには
”福砂屋一六代の清太郎さんが作った三種類のカステラの一つで、味が濃厚です。しかしこの分量は綺麗に焼くことがたいへん難しく、五三焼きのカステラを焼ける職人さんは長崎に一人しかいないと言われています。(福砂屋さんの職人さんです。五三焼きを銘打った商品が増えてきましたが、そういった商品と福砂屋さんの五三焼きは味も価格も別物です)”(引用:かすてら)
真相はどうなのでしょうか?
とりあえずこちらのカステラも非常においしかったですけどね。
”長崎堂は、初代・荒木源四郎によって大正8年に創業。カステラやカステララスク、溶けの良いクリームをサンドした洋風せんべい・ヴァッフェルなど、洋菓子をベースにしたお菓子が主力商品となっています。長崎堂のお菓子の特徴は、素材の風味を活かした、どれもシンプルなつくりを心がけていることです。先人が築いた歴史と伝統、熟練の技術を大切に受け継いでいます。一方で、尾張名古屋の長崎堂では、名古屋市立大学芸術工学部の学生たちと組んで、今までにないカステラを作るプロジェクトをたてるなど、伝統を守るだけではない、新しい試みにも取り組んでいます。”
(引用:http://tokyo-baumukuuhen.jp/yougashi/nagasakidou.html)
「長崎堂」さんは、関東では熊谷のスーパーに出店しているだけ。
あれ?はずれだったと思ったのですが、店内には多数の有名人のサインが。
中でもカステラ好きだという長崎県出身のタレント草野仁さんが、以前テレビで、福砂屋や文明堂、松翁軒のカステラよりも、この長崎堂のカステラがもっとも口に合うと話していたことがあるようで、「長崎堂」と検索すると必ず草野さんがくっついてきます。
店内にはびわゼリーなどもありましたが、これこれ
これ、名物でしたよね? 「桃カステラ」
桃の節句のお菓子、なので3月限定なんですね。
この「桃カステラ」は中国と西洋の文化の融合点であった長崎ならではも伝統的なお菓子なんだそうです。
中国では「桃は不老不死の果物」長寿を祈願する縁起のいい果物。
一方ポルトガル人によってもたらされた「カステラ」は、地元の菓子職人たちによって日本独自のカステラに進化していきました。そこで生まれたのがこの「桃カステラ」だったのです。
カステラを桃の形にして、その上にお砂糖をかけ、マジパンで葉っぱを付けるようです。
ちなみに私たちが買ったのはこれ。
写真が下手すぎ!!
かすてらの切り落としです。うちで食べるからこれで十分!!
今回は長崎土産全般について書こうと思ったのに、カステラがあまりにも奥深く、予想以上に長くなってしまったので、今回はカステラのみで終了。
完全に余談ですが、私が学生時代アルバイトをしていた「文明堂食品工業直売所」(横浜市金沢区)では、工場で出来立ての商品など販売しています。私も時々買いに行きますが、他では買えない「窯出しかすてら」は特におすすめ。毎週火・金の10時と13時に販売され、一人2個まで。
詳しくはこちら
この辺りは食品工場が多く、第2・4土曜日にはアウトレットセールも開催中です。
鎌倉紅谷の大人気「くるみっこ」など、行列必須です。(どちらも平日は空いているのでお勧めです。)
昔、じいさんのころは、だれかに頼み事をするとき、カステラ1斤もっていくのが礼儀だったようですね。
そういう習慣があった時代には、福砂屋のような高級な店以外に、安い小さなカステラ屋が長崎にはかなりありました。現在は、そういう店は洋菓子屋などに転身したところが多いようです。
>「五三かすてらとは何ぞや?」
五三焼き というのは、古文書があるので昔からあったようですが、クローズアップされたのは20年ぐらい前に、あまり有名でないカステラ屋さんが、五三焼き を前面に出して宣伝したことが初めだったように思います。
それ以前では長崎でも業界の人以外は。殆どの人が知らなかったと思いますよ。
>これ、名物でしたよね? 「桃カステラ」
「桃カステラ」については、現時点では文明堂が一番つくりが美しく味も良いようですURL。松翁軒も良いのですが。形のきれいさでは負けますね。変な話ですが、文明堂は、カステラではなく、その変種、変わりカステラなどのほうが優れていると思います。
カステラのお土産で、仰天アイテムとしては、、
・お犬様用のカステラ (ペットショップ監修)
>>長崎御犬様カステラは、長崎のペットショップ「トーイ」が製造、販売しています
・カステラサイダー (カステラ味のサイダー)
があります。
コメントありがとうございます。
昨今のペットブームを考えればお犬様用、というのは納得いきますが、カステラ味のサイダーですか⁉色も黄色いのでしょうか?すごいですね…長崎の人のカステラ愛でしょうか?
桃カステラは食べてみたいですね。東京の文明堂にはないですね。五三カステラは有るようですが、買うときはいつもハニーカステラを選んでいました。
町のカステラ屋さんが洋菓子屋さんになった、ということですが、その割に喫茶店やカフェはあまり多くないように感じたのですがいかがでしょう?それともガイドブックやネットにはあまり情報が出てないのでしょうか?モーニングをやっている朝早くやっているお店など見つけられなかったので不思議に思っていました。
URLのようなもので、お泊まりになったホテルのバーテンダーがカクテルを開発してました。
>桃カステラは食べてみたいですね。
これはひな祭りのときの小さな女の子がいる家むけの贈答品・季節商品なんで、ふだんは注文制作みたいです(値段は注文でも同じ)。観光客用にちいさなものや年中つくっている店もありますが、どうなのかな。。
>その割に喫茶店やカフェはあまり多くないように感じたのですがいかがでしょう?
個人経営の小さな喫茶はほんとうにすくなくなりました。
その上、宿泊された地域にはあまりないのですが、浜の町商店街近辺にはヴェローチェ・ドトールなどがどっさりあります。
ありがとうございます。
やはりカステラ色なんですね。気になりますが、勇気はないですね。(笑)
そうなんですね。やはり個人経営の店は少なくなっているんですね、残念です。