イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

システィーナ礼拝堂の工事

2014年08月17日 00時12分11秒 | イタリア・美術

風が秋。
窓を開けていると肌寒い・・・これが8月の天候なのだろうか???

ちょっとまた旅の思い出に戻りますが、久しぶりにヴァチカン美術館にも行ったんです。

私かつて4,5回はここには来ているけど、かつてこんな人、見たことない。
何でもこの日と翌日でドイツ人が5万にも来ているとか・・・なんで?
例えて言うなら大晦日の明治神宮か鎌倉八幡宮・・・いや、まだ歩けたから1月3日くらいかな?
よく分かりませんね。
とにかく作品を見て歩くような状態ではないんです。
あちこちにダウンしている人がいましたよ。

しかしガイドさんは仕事ですから、とりあえずアテネの学堂とシスティーナ礼拝堂にだけは見せるというし・・・
私が同行していた人たちはどなたも高齢で、暑さと足の痛さで途中でリタイヤを訴えたのですが、出口もあちこち封鎖されているし、人の流れに逆らえない。
本当に危険です。一歩間違えたらと思うとゾッとします。
美術品にだって決してよくないんですよ。
這這の体(”ほうほうのてい”って変換しないのね)でたどり着いたアテネの学堂

さすがの私もボロボロだったのがこの写真でわかりました。(すみませんこんなにぼけてて)
いやいやここからシスティーナ礼拝堂までが長かった。
更にもう逃げ道はありませんでした。
まぁ美術を勉強している私に言わせれば、ここまで来て礼拝堂を見ないで帰るなんてもったいないという気持ちと
何か有ったら困るからこの状況から早く抜け出したい、という気持ちの板ばさみ。
まぁ結局何とかたどりついたんですけどね。

現在入って右側が修復中のため、普段なら壁沿いのいすに座れるものの、今日は席が少ない。
ガイドさんも「空きそうな人の前に立っていてください」というのでたっていたら、警備の人に怒られた。
しかし私も逆切れ「席が空くの待ってるんです」すると
「空いたら教えるから、そこへは立つな」と
信用できないなぁ・・・と思っていたらなんとこの警備員ちゃんと空いたら呼んでくれました。
ごめんなさい、ありがとう。
ということでようやく皆さん少し落ち着けました。
結局恐怖のヴァチカン体験となってしまいました。

さて、戻ってきてある雑誌を読んでいたら、このシスティーナ礼拝堂についての面白い記事が出ていた。
2010年スペインのある新聞社にヴァチカン美術館の館長Antonio Paolucciが礼拝堂の”清掃”措置の必要性を訴えた。というのもこのシスティーナ礼拝堂には年間20万人が訪れ、その洋服の繊維や湿気でMichelangeloの作品だけでなく、Botticelli,Perugino,Pinturicchio,Signorelli,Girlandaioの作品が劣化しているんです。
2012年再度館長は訴えたらしいのですが、ようやく今になって動きが出たよです。
(タイトルが今頃になって・・・でした)

って確かこの話以前もしたと思うんですよね。
ここはPadovaのスクロベニー礼拝堂やMilanoの最後の晩餐のように、完全に人数を制限してしまうことはできません。
この2箇所との大きな違いは、ここは現在も法王の礼拝堂として機能しているからです。
ただどんな装置を考え付いたのか、まではこの記事には出ていませんが、現在一度に礼拝堂に入れる人数は700人
それが2000人まで増やせるようになるそうです。
う~んなんか眉唾ものだなぁと思うのは私だけかな?

イタリア人の美術館、博物館離れが激しい昨今。
更にイタリアにはルーブル級の美術館がありません。
お宝はいっぱい有るのに、有効活用できてないんでしょうねぇ。
色々な策を講じてこれらの施設に人を呼び戻そうとしています。
ウフィツィ美術館での写真撮影が解禁されたのもこのせいでしょう。
でも先日行ったPesaroの美術館で美術館のスタッフと話していましたが、撮影禁止が望ましいと思っている人は少なくないんですけどね。

私はこの2日家から出ていませんが、昨日(15日。祭日)、美術館の開館時間を延長し、かなり遅くまで開けていたようです。
今年は天気が悪く、海でお仕事している人たちは商売あがったりだったようです。
観光業なしにはやっていけないですからね、厳しい冬がやってきますね。

あ~あなぜかまた暗くなっちゃった。



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
美術品が~! (たま吉)
2014-08-17 18:36:35
fontanaさん、

ドイツ人は基本的にイタリア観光大好きですよね(笑)

それにしても、バチカン美術館に遥か昔並んで入場した時、人ごみで、アート鑑賞と言うより、早く進まないかなって感じでした。かなーり昔と違い、今は予約制での入場と聞き、空間にも余裕を持っているのかと思っていましたが、違うんですね。現地ツアーに参加された皆さん、大変でしたね。。。説明する事は山ほどあるのに、限られた時間内にツアーも終わらせなきゃいけないガイドさん、付いていけない観光客。色んな問題ありますね。
それにしても、貴重な美術品が埃、湿度等で劣化してしまうのが心配ですね。
写真もフラッシュは論外ですが、それでも誤ってフラッシュたかれたら・・・なんて心配ありますよね。
日本では一応原則写真撮影禁止ですが、海外ではフラッシュなしならOKと言うのに驚き、最高♪と思いましたが、今はもうどの美術館も写真禁止が望ましいのではないかなと思ってます。写真を撮って「はい、これもこれも見ました」となるだけの印象が拭えず。。。まあ、沢山ありすぎて覚えていられないし、記憶って曖昧ですものね。







返信する
本当に (fontana)
2014-08-17 20:29:11
たま吉さん

ガイドさんもかつてこれほど混んでいたのは見たことないと言っていたので、最悪だったんだと思います。人酔いしました。あちこちにお行儀の悪い人が(具合が悪いわけではなくて)座り込んだりしていて、もう蹴っ飛ばしてやりたかったです。(笑)美術館を巡るなら断然冬がお勧めです。
科学的にはフラッシュの光よりも洋服の繊維や人間の体温、二酸化炭素の方が美術品には悪いといわれています。ただ写真を撮ることってそれほど意味ないと思うんですよね。とか言いながら私もOKのときは撮りますが(苦笑)結局撮った写真をどうするかといわれたら・・・ですね。写真を撮ったことで見たつもりになってしまうし。今はネットでいくらでもいい写真を見られますしね。私は極力自分が気に入った作品の絵葉書を買うようにしています。所詮膨大な数の中から覚えていられる作品なんて数えるくらいですからね。(イタリアの場合ない場合も多いのが残念ですが・・・)

今回同行した方も、先日こちらに遊びに来ていた友人も全然写真を撮らない人で感心しました。本当は自分の頭の中に焼き付けておけばそれで良いんだなぁと。まぁそうしたらここに写真載せられなくなりますけどね。(笑)私みたいな人がいるから、首からカメラを提げた日本人のイメージはいつまでたっても払拭されないですね。
返信する

コメントを投稿