レディースデイの水曜日、「イタリア映画のはしご」と息巻いて出かけたら、なんと2本ともメイン言語は英語…がっかり。監督は両方イタリア人なんだけど。
一本目は「修道士は沈黙する」
言語は英語メインでも、こちらは非常にイタリア映画らしく、見入ってしまった。
1つ気になったのは、敬語で話されてイタリア語がちゃんと訳されてなかったことか?
修道士に向かって、イタリア語はきちんと敬語だったのに、訳は普通語だったがすごく気になった。
これってとても重要なことだと私は思うのだが…
昨年のイタリア映画祭でも上映された作品で、イタリアでは2016年に公開。
主演は「グレート・ビューティー 追憶のローマ」で主役を演じたトニ・セルヴィッロ。
あの映画でも良い味出していたが、こちらはこちらでミステリアスで厳格な雰囲気を醸し出し、非常に味のある良い役をしていた。
物語は、G8財務相会議が開かれる北ドイツの湖水地方の高級ホテルが舞台。
重く立ち込めた灰色の雲、冷たい空気が、これから始まる悲劇を予感させる。
会議の朝、国際通貨基金理事のロシュが死んでいるのが発見される。
最後にロシュと一緒にいたのは、厳格な戒律で知られるカルトジオ会修道士サルス。
ロシュは告解をしたいと修道士を部屋に招いた。
修道士から事情を聞き出そうと躍起になる人々。
しかし、彼は何も語らず、沈黙する。
「天国の天使が 自らの務めを怠るとき 主は天使を 永遠の 暗い部屋に閉じ込める」
正直非常に難しい。
私が見ていた時も、となりのおじさんは心地のよい寝息を立ててご就寝。
かなり固めの社会派ミステリー。
イタリア語のタイトルはLe confessioni、告解で、個人的には断然こちらのタイトルの方がしっくり行くが、多くの日本人がキリスト教徒ではなく、「告解」の重要性や意味を解さない日本人にとってはこちらのタイトルの方がしっくりくるのかも。
G8の財務大臣ということで、日本人の大臣もいた。
本物の財務大臣とは全然違った雰囲気の伊川 東吾氏が日本の財務大臣だった。
日本の財務大臣は全然キーパーソンではなく、彼が唯一セリフを発したのは「私はアジア人だから、あなた(修道士)が沈黙している意味がよくわかる」と。
このセリフ、いまいち納得できない気もしたけど…
この映画のテーマ―は自殺か他殺か?他殺なら犯人は?ということを解き明かして行くことではない。
世界を動かしている(と思っている)一部の優位に立つ人々に、もう一度人間性や良心を喚起させることにある。
「語ること」と「沈黙すること」、「話すこと」と「聞くこと」、「私欲」と「良心」。
閉ざされた空間にいる数少ない人物は、どの人も一癖も二癖もありそうな人ばかり。
しかし最後にはイタリア映画独特のくすっと笑える。
これぞイタリア映画という非常に優れた作品だ。
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