イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

オペラの為の劇場ーTeatro della Pergola 後編

2013年06月23日 14時03分51秒 | イタリア・音楽

みなさん、おはようございます。
今日は日曜日。雲っているので朝から快適~!!
いやいや、何が一番きついかって、ここFirenzeは日本のように湿気が高いこと。
盆地だから仕方がないのですが、お肌は完全に乾燥しているのに空気が重い。
だから暑さが余計に堪えるんです。
今日は久々に引きこもって色々片付けないと。

さて、まずこちらから。
一気に書かないとすぐ忘れちゃうからねぇ・・・
朝からマクベスを聞きながら書いています。(気合入ってる~)
そうそう、既にFBをご覧の方は一部ネタがかぶっていますが、実は図書館で昨日マクベスのCD借りてきたんですよ。
しかし・・・聞けない。
その理由が、CDの表面に貼り付けた盗難防止シート!!
誰かがそれをはがそうとしたのか、聞けないからはがそうとしたのかは不明ですが、それがしっかり張り付いていないせいでディスクが回らない。つまり読み込めない・・・
まぁ図書館は無料ですから文句も言えない。
仕方がないからYou tubeで。

そしてこれは前回起こったことですが、ワーグナーの4枚組みのCDを同じく図書館から借りたんです。
で・・・なぜか2枚目読み込まないんだよね・・・
そして終に読み込み始めた、とおもったらなんと・・・モーツァルト!?
え~4枚中の1枚違うCDじゃん。
仕方がないなぁ・・・
と翌日図書館の窓口でこの件を話すと職員は
「あなた(つまり私が)棚の中から正しいものを探してくれたら取り替えてあげる」って。
ははは、さすがイタリア。
さいですか・・・と探す私も私。
でも結局該当するCDは見つからず、窓口に戻ると
「仕方がないね」と普通に返却棚に。
お~い、だからいつまで経ってもワーグナー&モーツアルトなんだよ。
昨日確認してみたけど、相変わらず正しい組み合わせは戻っていませんでした。
あ~さすがイタリアだよ。

さてまたまた前置きが長くなってしまいましたが、前回は不思議な穴で終わったんですよね。
答えは後ほど・・・
私たちはこの後劇場を出てホールへ。

ちょっと天井が低いのですが、このロビーの柱は1820年代のもので大理石の粉が使ってあります。

大理石かそうでないかを見分けるためには触ってみるとよく分かります。(お姉さんが説明してくれた)
大理石なら触るとひんやりするはず・・・
もし現在なら粉を使って大理石のように見せかけるよりも本物の大理石を使った方が断然安上がり、なんですって。

あっ、そうだ1つ忘れていたことがある。
劇場内の説明の時に聞いた話ですが、この劇場でAntonio Meucciという人が電話の原型になるシステムを試しています。
Wikipediaをみて思い出したけど、そうそうイタリアでは電話を発明したのはベルではなくこのメウッチということになっています。
彼がこの劇場で舞台の頭上部分(Graticcia.日本語ではなんていうのでしょうか?)と地上にいる人と話が出来るようなシステムを作り上げたそうです。
具体的にどんなものだったのかは分からないのですが(資料はうちの大学に保管されているみたいですが・・・)、18メートルの高さがあるらしいのですが、彼は壁にある種の聴覚的な管を埋め込んだそうです。
この装置のおかげで働いている人たちは、静かにする必要もなくなったし、危険も少なくなったそうです。
トランシーバーやマイクがなかった時代、芝居の最中は大声でコミュニケーションとるわけにはいかないですからね。
残念ながらメウッチはあまり幸せな人生を送れなかったみたいですが・・・

1つの劇場なのに、大勢の人が関与し、様々なエピソードや人生が繋がっているのって本当に面白い。
こういう機会がないと、そんなことも知らずに終わってしまいますが、こうして色々なことを聞き、日々無駄な知識を増やしている私です。
こういうことを少しでも多く興味のある人たちに伝えて行ければ、と思うのですが、なにせ書くときは時間が掛かるんですよねぇ。(寄り道が多いから・・・)

このチェス盤柄の床もステキです。
ホールにはヴェルディーの手書きの楽譜なども置いてあったのですが、後で・・・といううちに結局じっくりみられませんでした。私の席は2階だったので、ここには戻ってこられなかったし・・・

次は上に向かいます。

上がりきったところにAccademia degli Immobiliの紋章が。
この紋章の風車がこんなところにも使われています。

ボックス席のドアの取っ手。
こういうこだわりはさすがイタリア人!!と感心。

2階にはもう一部屋劇場があります。
ここは最近修復されたばかり、音響は最高だそうです。
現在でもお芝居、コンサート、講演会などに使用されているそうです。
300名収容可能だそうです。
イスを取り外すことも可能なのでダンスホールとしても使えるそうですよ。

高級感漂ってます。
そしてここから最後は地下へ。
これがまた驚きの連続!!
まず前回の穴の正体(?)

空気穴ではなく、これもちゃんと音響を考えた穴なんですって。

これが出来た当初のペルゴラの模型。
そしてこの部屋に来て一番驚いたのは平土間席が動くというこの設備。

これが大黒柱。

成人男性が6,7人でこれを回す

滑車が動く。

するとこの柱が上下する・・・のかな?

すみません、専門じゃないのでよく分からない。
でも仕掛けはすごく単純なんじゃないかな?
これらの装置によって観客席が上下するのは確かなんです。
ホント、昔の人はすごいこと考えたと思うし、その舞台にかける情熱・・・すごすぎます。

これは何の機械だったんだろう???
今は防災上使われていないと言ってたけど。

そしてここはちょっとうそっぽいオフィスのイメージ。
コンピューター、こんなだったんだねぇ(笑)
倉庫?と見まがうくらい色々置いてありました。
1時間弱の劇場見学ツアーはこれにて終了。
今回はマクベスの公演に合わせた特別の企画だったようですが、年に何度か開催しているようだし、希望すればみられるみたいです。
また秋からはフィレンツェ内の劇場を回るツアーなども始まるそうですので、いひひ、楽しみ楽しみ。
詳細はオフィシャルサイトから。
”劇場の街フィレンツェ”とかつては呼ばれていただけあって、本当にこの街には劇場が多いんです。
ただ現在は殆どが使われていない・・・

例えばこの話も報告してなかった・・・いや~ちょっと私何してたの???

5月にThe Rape of Lucretia(ルクレツィアの陵辱)を観に行ったのがここ

Teatro Goldoni(ゴルドーニ劇場)

小粒ながらもここもいい劇場なんですよ。
ただ劇場が小さくなるとチケットが高くなる・・・なぜ???
たまたま同じボックスだった人たちに色々劇場の話を聞いた・・・のに既に忘れてる。

天井もフレスコだし

これも演出がとても良かった。
ベンジャミン・ブリテンの作品は初めてだった。
今年生誕100周年ということで、この人の作品も結構あちこちの劇場で上演されています。
私はこの演目が気に入ってチケットを買いました。
こういう歴史ものは背景が分かっていると更に面白い。
しかし、そこまで手が回らないことが多いんだよねぇ・・・首も回らないけど。

というように色々な劇場があるんですよね。
ただホントここなんかも今まで全く入る機会がなかった。
是非是非ツアー開催を楽しみにしたおります。えへっ、ちゃんとご報告しますね。

ということで一通り劇場の紹介は終わりました。
長かった・・・
って本当はもっと色々有ったんだと思います。

ここからは今回のマクベスのお話。
マクベスと言えば言わずと知れたシェークスピアのお話ですがもちろんオペラはイタリア語。
ヴェルディーがこのペルゴラ劇場の為に書き下ろした作品です。
初演は1847年。
そういえばツアーに参加していた人が言っていたけど、この劇場では様々なマエストロの作品が上演されていて、既にヴェルディーの前にヴィヴァルディの作品が数回上演されていて、”ヴィヴァルディーの劇場”と言ってもおかしくなかった、とか。

そういえば今期はヴィヴァルディーの作品も見たんだよねぇ。
Il Farnace(ファルナーチエ)

これを観た時は・・・そうそう人が集まらなかったんだよね。
私もチケットを買ったのは確か2,3日前だった。
一番安い席を買ってたんだけど、結局2階、3階席は開けなかった。
ということで、こんなに近い席だったんだよねぇ。

今年は本当に色々観たし、いろんなことが有ったなぁ・・・
これだけでも本になりそう。誰か出版させてくれる人いませんか???

マクベスには2つのバージョンがあります。
今回はもちろんオリジナル、元祖1847年のフィレンツェ版。
そして1865年のパリ版。
確か現在はパリ版の方が上演回数が多いって聞いた気が・・・あっwikipediaに書いてあった。
マクベスを観るのは確か初めてではないと思うんだけど・・・記憶にない。
あまりにも記憶力が悪いので(1年に10本以上見ていたら忘れるけど)今年からは観たものをちゃんとメモしています。
今年から、ね。
まぁ詳しいことはWikipediaを見て下さい。

私は今回も天井桟敷。
この翻訳誰がしたんだろう。すごくステキ。響き好きなんだよねぇ。
ええ、単に安い席なんですけどね。

一番安い席はどこの劇場でも入り口は別。
入り口から格付けされてます。二流・・・
でもよく聞くのは音は天井に近い方が良いらしいですよ。

ただ・・・あ~また寄り道だ。
木曜日に私が唯一といってもいい名前を知っているオペラ歌手Mariella Deviaが出演するということで、Maria Stuardaを観に行ったんですが。

直前までオペラがコンサート形式になったなんて知らなかった・・・
彼女のことを知ったのは去年の3月。あのAnna Bolenaをピアノだけでやったときでした。(詳しくはこちら)
1948年生まれの彼女。未だに現役ってすごくないですかぁ・・・

拍手も尋常じゃなかったです。
周りの彼女と同年代の奥様方も
「閉経後(男性の読者の方すみません)は声の質が変わったって聞いたけど、全然質が落ちない。すばらしい!」と絶賛。
男性には分からないでしょうが、そういうことはあるかもしれませんね。
いやいや本当にすごかった。
女王の貫禄!?
いろいろ探していたらすごく詳しい人発見。
この作品について詳しく知りたいかたはこれを参照するといいと思います。
ちょっとマニアックすぎて読みきるのに時間が掛かりましたが・・・

で、何が言いたかったのかというと、この日ここ何回かブログに登場している音楽をやっている友人に劇場でばったり。
彼女は1階席の前から3列目、私は最上階の席でした。
帰りに偶然再会した時に話をしていて、私がエリザベットの人の声が最初聞こえなかった、と話すと「やっぱり」と言っていました。
こういうことはあります。
でもそういう点で上ははっきり実力が分かるんですよねぇ。
だから彼女は次回(Deviaの為に2回チケット買ってます)は3階席で鑑賞するそうです。
まぁ私はいつも上の方なので、下の良さはあまり分かりませんけど・・・
まぁ何を優先するかはその人次第、ってことで。

でもここいいよ。ステキ。
先は先日のスカラ同様狭い。
昔の人はみんなやせてたんだねぇ・・・
飛行機のエコノミーシートよりせまっ。

雰囲気は最新の映画館みたい。

今回の席からの眺め。
いいじゃないですか~
実は既に話したとおり、先週の土曜日にゲネプロに潜入。
その時は平土間席だったので、後ろ方の様子とか分からなかったんだよね。
遠いけど、これはいいです。
私の席の前には柱もなかったし。
空席はあるもののさすがにこの日は少なかった。

ただ、1つ問題だったのは冷房がなかった。
壊れているのか、存在しないのかは定かではないのですが、このエリアはなかった。
唯一非常口を開けてくれて、そこから若干風が入ってくるんだけど・・・
下の方もみんな扇子をパタパタしていたので、下も結構暑かったみたいです。
う~んこれからは扇子必ず持って行こうと思いましたね。
こんなところは昔のままにしておかなくていいのに・・・

ゲネプロのときは第1キャスト、この日は第2キャストだったので、1枚のチケットで2度楽しませていただきました。
演出がモダン、奇抜で賛否両論ありますが、私はこういうのも好き。
詳しくはMaggioのFBのページからどうぞ。

あ~やっぱりヴェルディはいいねぇ。

そして

最後にでました
「劇場は破産しません」って幕がね。
本当になくなったら困ります。

結局終わったのは12時前

月がきれいだった。

あ~幸せ。
2回に渡って長々と中途半端な劇場案内にお付き合いいただいてありがとうございます。
あ~ホント長かった。もう2時だよ。お昼食べなきゃ。

これからは野外オペラの季節。
VeronaのArenaやRomaのカラカラ浴場は趣があっていいですよ。
但し、日中は暑くても夜はかなり気温が下がることがありますので、羽織るものは必ずお持ちくださいね。

是非こちらに来られる方は、オペラ鑑賞をしてみたらどうでしょう?
今はインターネットで簡単にチケットが取れるし、当日券が残っていることもかなりあります。(但し、料金は高いです)
オペラは終わるのが遅いので、ホテルを取る場所や交通手段など多少の問題は有りますが、最近はどこの劇場もタクシーを手配してくれたりしているようです。

最後に、私が出来る唯一のことはこうしてオペラのよさを伝えること。
オペラは決して敷居の高いものではありません。
イタリア人が足を運ばないなら、少しでも多くの日本人の人に足を運んでいただき、このすばらしい芸術を守って行きたいです。
来期もここフィレンツェでオペラを鑑賞できるように。
Viva Maggio!!



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2 コメント

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さすがフィレンツェ (nobu)
2013-07-03 22:37:08
劇場拝観ツアー、楽しくて何度も読んでしまいました。劇場の中に馬車が通る道があるなど、舞台裏の様子や工夫を知ることができると、鑑賞の楽しさが何倍にもなるような気がします。
ゲネプロも見て素晴らしい時を過ごされているのですね、うらやましいです。
フィレンツェ内の劇場を回るツアーは行ってみたいと思います。
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そうですね (fontana)
2013-07-04 00:16:50
nobuさん
私も始めて知ることが多くて面白かったです。こういう企画を無料でしてくれるところがイタリアのすばらしいところだと思います。もっと私が詳しくお伝えできればいいのでしょうが、これだけでもかなり時間がかかっているので・・・でもこうして一人でも楽しんでくれる人がいるなら載せ甲斐があるというものです。
今年は本当によくオペラを観たので、その話もしたいのですが・・・いつのことになることか。そして既に忘れつつ・・・
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