断水の方ですが、うちの辺りはお昼前に無事回復しました。
でもアルノ川の向こう側はまだのようです。
早く何とかなるといいのですが・・・
さて、Ravelloの話は少しだけ(だと良いですが…)中断して昨日のMilanoのお話を少々。
目的は勿論展覧会です。
場所はスカラ座の有るPiazza Scalaに立つこのGalleria d'Italiaに初めて入ります。
今回の展覧会は、私今回初めて知ったのですが今回が17回目になるらしいんですよねこの展覧会。
La bellezza ritorova(美の復活)というタイトルの付いたこの展覧会は、
イタリア国内の作品で、Intesa Sanpaoloという銀行がスポンサーになって2014年から2015年に修復をした作品145点が展示されています。
ん?145点もないじゃんという感じがするんですけどね…
入場料にオーディオガイドが含まれていたので、少し覚えていることを書いておこうと旅行の話より先にこちらを書くことにしました。
ここはもと銀行の建物だったようですね。
サンサンと太陽が差し込んで、それだけでなんとなく気分が良い。
階段の手すりとかすごく素敵です。
カウンターですかね?
椅子は勿論後付けでしょうけど。(座りやすそうで実はそうじゃないのがイタリアデザインだわ…)
イタリアの銀行って、入ってすぐこういうでっかいホールが有るところ多いです。
このホールでまず気になったのはこれ
甲冑ですよ。
1869年イタリアと日本の間に友好通商条約を結んだ時に明治天皇が当時のイタリア国王Vittorio Emanuele IIに贈ったものだそうです。
トリノで保管されています。
何でもず~と倉庫に眠っていて、その後博物館に展示されていたので、とにかくあらゆるチリと埃が溜まっていたそうです。
特にひどかったのがパーツ(?)を繋いでいる絹の糸。
絹の糸を使っていたのは、重さを軽減するためではなく、出来るだけ自然な動きが出来るように、という糸、いやいや意図(おやじギャグだ~)だった、なんて話をちゃんとしていたのが面白かったですね。
実際この甲冑は身に着けられたものなのか、マネキン(ってガイドは言っていたんですけど)が着たままだったのかは分かっていないそうです。
頭に鯱が付いてます。
皆さん気になるようで、写真撮られていましたね。
私が一番感動したのはこれ
Vittore Crivelliの POLITTICO DELL’ INCORONAZIONE DELLA VERGINE(聖母戴冠の多翼祭壇画)
Vittore CrivelliはCarlo Crivelliの弟
どちらもあまり有名ではないのは、彼らについてVasariが取り上げなかったことが大きいと言われています。
まぁVasariはVenezia派の画家たちのことを取り上げても、悪口ばかり「デッサンの仕方もしらない」と見下していましたけどね。
だから彼の記録は例えば教会に残る作品に関する資料や、作品に入れられたサインのみが頼り、という何とも心もとない感じ。
イタリア語でも資料が少ないんですよ、彼らは。
そして私にとって今年はCarlo Crivelliを追いかけた半年でしたね。
その話も全然していないですね…困った、困った。
手前の聖母子像も良かったですね。
髪形がすごいんですよ。髪の毛長くてぐるぐる頭に巻き付けてるの。
他にも
Caravaggioです。
これは亡くなる2年前の作品。
絵画の修復って、今は古い修復を取り除き(大抵Vernice、ニス)、修復した箇所が分かるように、そして作品が少しでも長く生き延びられるよな作業が施されます。
昔は色を足したりとかもしていましたが、現在はそれは完全に有りません。
出来るだけオリジナルに近づけるという修復が行われています。
こちらは見慣れたPeruginoのキリスト磔刑図
しばらく見ないと思ったら修復中だったのね。
FirenzeのCenacolo di Fulignoにあるのですが、ここ最近閉まっています。
あれ?私勘違いしてるかな?あっ、いやいや良かったんだ。
というのもこの作品見たよな、と思っていたのですが、説明を読んでいたら、
この作品場所を転々としていたんだけど、1944年Santa Maria Maddalena de’ Pazziに置かれていて、そこで1966年あの大洪水の為、大きな被害を被ります。
洪水後すぐにFortezza da Bassoに緊急入院し、一命をとりとめたあとPalazzo PittiにあるSoprintendenza(文化財保護局)のお預かりになり、
1994年再度大掛かりな修復が行われます。
その後2005年ようやく安住の地Cenacolo di Fulignoに。
そこにはPeruginoの描いた”最後の晩餐”のフレスコ画が有ります。
私の大好きな作品の1つです。
この作品はRaffaelloの
”キリスト磔刑図”に影響を与えたと言われています。
よく見たら絵の中に太陽と月が…修復前は気が付かなかったですね。
今回の修復でかなり作品の状態が良くなっているようです。
そして
面白かったのがこれ。
PIANETA DETTA ‘CASULA DI LANCIANO’
ミサ聖祭用の袖のない上衣の一部、というか背中に来る十字架の部分。
ベースが麻、ということは決してものすごく高価なものとは思えないのですが、このキリストとか聖人の顔の縫い取りがかなりリアルで面白い。
Lorenzo Lotto超晩年の作品。
修復前は緑のカーテンが黒くなって、天使の1人が隠れてとか、小さなSan Giovanni Battista(洗礼者ヨハネ)の持つ十字架も最初は見えなかったそうです。
Lotto特有のこの色使いも修復のお陰です。
この作品はルーブル美術館に同じような構図の作品があるんです。
ルーブルの方はSacra Famiglia con la famiglia del Battista(聖家族と洗礼者ヨハネの家族)というタイトルのようですが、構図は同じ。
前の作品はLottoが死ぬ間際の1568年(Vasariが言ってます)の作品ですが、
こちらは1536年、まだ油ノリノリの作品。
それだけではなく、ルーブルと比べて前の作品は、現在までの保存状態が良くなくて、修復では補えないほど状態が悪化しているそうです。
Parmigianinoかと思いきやGirolamo Mazzola Bedoli
この人はParmigianinoのいとこ。
Vasariがこの「美しい受胎告知」について記載したことから、この作品がパルマ公国も巻き込まれたFrancesco I とCarlo Vの戦争時、1521年ころの作品とされています。
Girolamoは Viadanaという場所にFrancesco Mazzola, Parmigianinoと非難していて、この町のフランシスコ会の教会のために仕事をしていました。
ただこの情報は正確ではないようですが、事実ViadanaのSan Francesco教会の作品で有ることは確かのようです。
1811年のナポレオンの略奪によりフランスに持っていかれた後、1831年にはAmbrosianaに収蔵され、その当時はParmigianinoの作品と考えられていました。
こちらはテーマちょっと面白いです。
Raffaelloとその恋人Fornarina、 Francesco Valapertaの作品。
Rafaelloが恋人の胸に抱かれ、死を迎えるシーン…腹上死って聞いたことも有るんだが?
ロマンチックなテーマですから、結構この時期(1860年代)好まれて描かれたテーマらしいですけど、私は初めて見ましたね。
写真では分かりませんが、背後に未完の作品 ヴァチカン絵画館所有のTrasfigurazione(キリスト変容)が描かれています。
師匠である、「キス」で有名な Francesco Hayez(この話はまた次回)の影響が色濃く見られます。
ルーベンス
ルーベンスはこのテーマ「キリスト再生」の作品を多く描いているそうですが、
これはその中でも特に「キリストが血の通った人であり、神である」ことが強く描かれている、ミケランジェロの影響が見られるとガイドは言っていました。
これ、FirenzeのPalazzo Pittiに有るもので、メディチ家の莫大なルーベンスコレクションのうちの一枚。
フェルディナンド・デ・メディチのコレクションに入ったのは、1713-1723年の間のようです。
メディチ家はルーベンスがすごく好きだったそうです。
Luca Giordanoの”サビニの女たちの略奪”
”神殿から商人を追い払うキリスト”
これもFirenzeのSanto Spiritoに有る作品で、気になったのは作者。
Giovanni Stradanoの名前は聞いたこと有ったけど、この人もともとブルージュの人なのね。(Jan van der Straet)
もともとarazzi(つづれ織り)の職人として Cosimo I de’ MediciがFirenzeに呼んだそうです。
当時Cosimo IはAraazziの工房を作ったばかり。
Palazzo VecchioのArazziの為にも下絵を描いています。
とまぁこんな感じで色々な作品があって、すごく興味深い展覧会だったのですが、他にも
これ何だと思います?
地震で崩れた教会の後から拾い出したフレスコ画の破片を、まるでジグゾーパズルのようにつなぎ合わせています。
細かい、忍耐のいる仕事です。
San Pietro all'Olmoという場所で、1117年夏5回の地震で教会自体が崩壊します。
そこには11世紀の始めに描かれたフレスコ画があって、1万個以上の破片が2005年から2010年にかけて行われた調査で発見されています。
オットー朝様式(10世紀中期より 11世紀中期までヨーロッパ文化・政治の中心となったオットー帝3代とハインリヒ1,2世にわたる統治下のドイツに発展した美術。皇帝の権力のプロパガンダであったため貴族的豪華さ,超越性,観念性を追求する美術となる。)だった教会もその後1150年までに頑丈なレンガで縁取りされた、ロマネスク様式で再建されています。
この修復作業で
ここまで復元が出来ました。
以前Assisiでも見たことが有りますが、本当に根気がいる作業です
特に原型も存在しないので、Assisiのケースよりも更に大変な作業ですね。
でも頑張って欲しいです。
このほかにも常設でCanovaの作品を集めた部屋とか、 Francesco Hayezの作品も結構ありました。
現代美術作品もあって、とにかくもうお腹いっぱいです。
オーディオガイド聞きながらだと、どうしても見てるだけ~の時よりも頭を使うので、疲れます。
日本語なら良いのに…
更に
庭にも作品
しかし、あまりにも暑くて外に出る気になれませんでした。
この奥にMonzoniの家もあるみたいです。
もっと詳しく作品や展覧会の様子が知りたい方はこちらのオフィシャルサイトをどうぞ。
3時間じっくり展覧会を見てのどがからっから。
結果…
これですね。
次の目的地に向かう途中、お客さんがいたのでPubで一杯。
一気に飲んで次はBreraに向かいました。
ということでその話はまた後日にしましょうかね?
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