イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

Museologia(博物館学) その1 博物館って?

2014年01月24日 21時59分54秒 | イタリア・大学

試験当日は極度の緊張で脳みそが全く働かなくなるんので、夜もぼ~と何も考えなくていい日本の番組とかを見てリラックス・・・
のつもりがはまってしまい、挙句の果てに頭が冴えてしまい寝れなくなりました。
バカだ。
それでも今朝はちゃんと9時から図書館に出没。
今日から新たな戦闘体制に入りましたが、まだちょっと余裕があるので、夜はお勉強抜き!!

だからと言ってまたぼ~としてても時間の無駄なので、昨日約束したとおり、今回の試験のないようについてこの週末にかけて一気に書いておきたい。
とか言いながら日曜日はオペラだからなぁ・・・
新しいものを入れなくてはいけない脳みそから、古いものは追い出さなくてはいけない。
いや、既に勝手に出て行ってしまっているので早めに手を打たねば!!
ということでがんばるぞ~!!
いつか何処かで教える機会ができたら困るからね。

なるべく一般的の人にも面白く、分かりやすいように書いていくつもりではいますが、あくまでも自分が忘れないために書いているので楽しんでもらえないかもしれませんが時間が有る方はお付き合いくださいね。

さて以前もちらっとお話したかもしれませんが、今回の試験はMuseologia
10月からこつこつ勉強してたんですよ~
基本的にはすごく興味がある教科なので、勉強していてもそれほど苦痛ではなかったのですが、好きな教科だからこそ、勉強時間を割いたからこそプレッシャーきつかった。
いやいやホント良かった良かった。

え~と話は戻って
Museologiaを伊ー日の辞書を引くと”博物館学”と出ています。
博物館というのはWikipediaを見ると
特定の分野に対して価値のある事物、学術資料、美術品等を購入・寄託・寄贈などの手段で収集、保存し、それらについて専属の職員(学芸員、キュレーターなど)が研究すると同時に、来訪者に展示の形で開示している施設である。
と有るので、Museologia=博物館学というのはあながち間違っていない。
しかし誰が考えたのか知らないけど、”博物”ってすごい訳だよねぇ。
”広い分野にわたっているもの”なんですね。

じゃあ美術館ってなんなの?
って以前もこの話はした気がするんですけど・・・
本来美術館は「美術博物館」と言うのが正しい、と言うのが出てきました。
偶然見つけたサイトだけど、これよくできてるね。
リアス・アーク美術館のサイトでした。
よしよしこれで納得。

つまりイタリア語のMuseo(英語ならミュージアム)の日本語訳は”博物館”で問題ない。
そんなこと高飛車に私から言われたくないか・・・
となると
Museo d'arte=美術(博物)館となるわけですね。
他にも
Museo d'archeologico 考古学博物館
Museo storico 歴史博物館
Museo scientifico 科学博物館
Museo antropologico 民族博物館
Museo specializzato 特別な博物館
などがイタリアの主な博物館の種類になります。
ちなみに日本には民族博物館に分類できるものがと~っても多いんですよ。

更にイタリアの場合、Museo d'arte(美術館)は所蔵品によってまた細かく分かれています。
Galleria
ガレリア、ギャラリーなんですけど、一般的に芸術と思われるもの、絵画でも彫刻でもそれ以外のものでも、一般的に”アート”を展示している場所のことなんです。
そして
Pinacoteca
こちらはギリシャ語のPinax=絵画と言う意味からきています。
ちなみに-tecaというのはこれまたギリシャ語で「所蔵」とか「収集」と言う意味なので、ピナコテカは絵画を収集している場所、ということになります。
ちなみにUffizi(ウフィツィ美術館)はGalleria degli UffiziなのにPinacotecaなんです。
これはひとえに歴史的な流れのせい。
この話もゆくゆくして行きますね・・・できるかな?

そのほかにもあまりなじみはありませんが
石膏の彫刻だけを展示した Gipsoteca
今気がついたんだけど、この単語イタリア語ではジプソテカと読みますが、
ギブスなんだ・・・と改めて発見。
(イタリア語では石膏をgessoと言うんですが、そこにギブスとも書いてあったんです。あの骨折れたときにつけるやつね。)
他にも
lapidario(古い石碑を収蔵している博物館)
quadreria(小さなpinacoteca。ということで絵画館)
antiquarium(出土器収蔵館)
gliptoteca(宝石館)
など本当に細かく分かれています。

それにしても学問に関する言葉って、ギリシャ語から派生している言葉が本当に多いですねぇ。
あっ、予断ですが今日からラテン語の勉強も始めました。
というのも先週からラテン語の個人授業がスタートしたからなんですけどねぇ。
いやいや、これが最大の難関かもしれないもので・・・すみません脱線ばかりで。

ちなみに博物館をあらわすMuseo
こちらもギリシャ語が語源。
ギリシャ語のMuse
Museは知性つかさどる神が宿る場所という意味から来ています。
私の中ではMuseoと博物館がどうしても一致しないので、この先Museoと言う単語を訳さず使って説明を進めて行きたいと思います。
あしからず。

私たちの学科には以前MuseologiaとMuseografiaという似たような教科が別々の教授で存在していたんです。
数年前の大学改革でMuseografiaは大学院の科目になってしまったのですが、さてこの違いはどこに?
こういう辞書を引いても理解できないことをちゃんと説明してくれる教授はすばらしいと思いますね。
ということでそのあたりから話を進めてまいりましょうか?

辞書を引くと残念ながらどちらも”博物館学”と出てきま。
確かにこの2つとっても近いんですけど、全然違うんです。

イタリア語を特に勉強していない人でも、美術に詳しい人ならこちらの言葉は聞いたこと有るのではないですか?
イコノグラフィーとイコノロジー
イタリア語ではiconografiaとiconologiaになりますが
-grafia→グラフィック→描く
-logia→ロジック→理論
となるのはなんとなく分かりますよね?
そして問題のiconですが、アイコンと言えばピンと来る人も多いでしょう。
実際これもギリシャ語eikonが語源。
図形とか像ですよね。
ということで
iconografia(イコノグラフィー)は
図像学(ずぞうがく)、絵画・彫刻等の美術表現の表す意味やその由来などについての研究。(wiki)
iconologia(イコノロジー)は
イコノロジー(図像解釈学)は図像を記述・解釈する技術だが、とくに20世紀の美術史学において、図像を生み出した社会や文化全体と関連づけて解釈するために発展した研究手法を指す。(wiki)
特にこの学問を体系化させたパノフスキーの名前は有名なんですよ。

ではMuseologiaの違いとMuseografiaの違いは?といいますと
MuseologiaはMuseoの中身を研究する学問で、museoの歴史や展示品について研究する学問。
Museografiaの方は外身(そんな言葉はないですが)を研究しています。
いわゆるmuseo建物や展示品の配置、照明や保管条件などに特化していて、こちらの学問のは1727年ドイツ人のNeikelが書いた”Museographia"が始まりといわれています。
ちなみにMuseologiaという言葉は1955年にできた新語で、概念としてもまだまだ若い学問なんです。
museografoには建築家や技術者もなれますが、museologoには学者しかなれません。

Museoには3つの絶対必要なものがあります。
1、展示物
2、展示する場所
3、1と2を引き立てる環境づくり。
これが整ってこそmuseoと呼べるわけなんです。

そしてMuseoの役割は
1, まず何をおいても収集品の保存、管理。
2、カタログを作って記録をしたり、修復をしたりという学術的な役割。
3、そして教育の場を提供する。
この3本の柱で動いています。
ただこの3つの柱が確立したのは1700年代以降になってからなんですけどね。

とこれが私が試験用にまとめたノートの最初の1ページに書かれていた、Museologiaの導入でした。
勢いに乗っていくつもりでしたが、ここまでで結構長くなってしまったので一度お開きにさせていただきます。
今晩こそ早く寝よ。



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