イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

una notte magica-mago merlino

2009年10月02日 00時10分17秒 | フィレンツェのこと
「Rinascimento(ルネサンス)の呪縛から逃れられないこの街、今のFirenzeには、どんな優れたアーティストも育たない」
この街は、地中に埋まった白い大地と空を覆うCupolaに包み込まれている。

この街を覆う負のオーラ
Firenzeに住み始めた頃、この土地の重い空気から逃げだしていたのは、偶然だったのだろうか…?

そんな不思議なことを言うイタリア人に会った。
イタリアにかかわってから、何度も感じた人との巡り合わせの不思議。
もしかしたらそれらも過去から連綿と流れる運命のいたずらなのだろうか…
「君がイタリアに来たのはVolontaか、それともDestinoかい?」
たぶんそれはDestino…運命だったのでは
運命は神様は時に面白いいたずらをする。
自転車のチェーンがこのタイミングで外れなければ…

偶然入ったお茶屋の店主
不思議な人物、Mago Merlino
ヨーロッパ中世の伝説上のブリテン島の魔術師
中世伝説におけるもっとも高名な魔法使いの一人
そう、彼がそのMago(魔法使い)なのかも…

昨晩、ベットに入ってふと考えた。
もしかしたら今晩有ったことは全て夢だったのかも?
朝もう一度その場所を訪ねたら、そこには何もないかも…
こんなに遅い時間なのに、気持ちが高揚して寝付けない
よく寝られるように、と帰りがけに腕に塗られた甘く、懐かしい香りが鼻腔をくすぐる。

イタリアでもなく、Firenzeでもない、
アジアの、アフリカの、オリエンタルの雰囲気を漂わせた
現実とはかけ離れた空間

そうだ、きっと過去と現在をつなぐ空間なのだ
Firezeの魔力にまどわされたか…?

いやはや、どうですか?たまにはこんな文章も…
というより、自然にこういうことが書きたくなるような、不思議な体験をした。
狐につままれた感じ?

昨夜、偶然30年以上続く老舗のティーハウスに行くことになった。
理由はないのだが、夜出ることがあまり好きではない。
日が落ちると家に帰りたくなる。子供だな…
しかし今回は、なんとなく興味が有って、友人と22時に待ち合わせ、自転車を走らせた。
寒くも暑くもない、こちらでは本当に短い快適な季節。

「Duomoが綺麗」
友人が言った。
もちろんその時はDuomoの魔力の話なんて、考えてもみなかった…
Cupolaがなければ今のFirenzeはなかった
Firenzeの象徴、”花の大聖堂”

その場所は以前から知っていた。でも…
近寄りがたい不思議な雰囲気を醸し出していた。
なぜか友人も同じ印象を持っていた。
ドアは重く閉ざされ、中はうす暗くうかがい知れない…
しかし1歩足を踏み入れると、そこには現実とは切り離された空間が広がっていた。

会員制ティーサロン
1977年からここにある。
80年代、イタリアがもっともイタリアらしかった時代、この小さな店の中には、若者たちの熱い熱気であふれていた。
舞踏、芝居、音楽…
ここから何人のアーティストが育っていったことか

真夜中を過ぎた頃、常連さんがポツポツとやってくる。
年齢も国籍も様々…
話題は政治、歴史、芸術…挙句はラテン語まで。
まるで1800年代のパリのカフェのよう。
これこそ西洋のカフェ文化の神髄
若者が未来を熱く語る。
祖国の負からの脱出。
決して簡単ではないことは分かっている。
でもこんな若者がまだいる、と分かったのはうれしい発見だ。

本当はここであった話は、友人と私の心の中に秘密にしておきたかった。
でも彼らは言っていた
「こういう場所をなくしたくない」
「以前の様な活気を取り戻したい」
だからこそ、ここで宣伝すると約束してしまった。

Mago Merlino
だから名前だけ。
興味が有る人は、運命が導いてくれるかも
ドアの前に立ったら、これを読んだことを話せば、きっとドアを開けてくれる。
但し、これが私の夢の出来事でなかったのなら…



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