ここ数週間に渡り日経新聞の水曜日の夕刊に松永美穂氏が「物語の中のクリスマス」という記事を書いている。
参考:https://www.nikkei.com/article/
第1回目はディケンスの「クリスマス・キャロル」がテーマだった。
私も今月はクリスマスがマイブームだったので、気になって、改めて本を借りて読んでみた。
するとお話の中に「十二夜ケーキ」というのが出て来た。
はて、「十二夜ケーキ」とは何ぞや?
だいたい「十二夜」とは???
クリスマスから数えて12日目、1月6日はEpifania(伊:エピファニア)
ベツレヘムにやって来た東方の三博士が、生まれたばかりのイエス・キリストに謁見し、贈り物を捧げた日で、この夜を「Twelfth Night」トゥエルフス・ナイト(十二夜)と呼んでいるそうだ。
古来、1日は日没から始まり、日没で終わるとされていたため、今も一般的にイギリスでは5日の夜を「十二夜」とし、クリスマスの飾りはこの日に撤収されるという。
なんでもこの日に片づけないと不幸が訪れるという言い伝えがあるらしい。
お雛様を早く片付けないと行き遅れる、くらいの迷信かしらん?
実は今でこそクリスマスのメインは25日、クリスマス当日だが、18~19世紀はこの「公現祭(英:エピファニー)」の日にクリスマスディナーをいただいていたようで、イギリスでは現在もこの日にクリスマスの最後を飾る大宴会が行われるようで、ご馳走を食べ、ゲームをして楽しむそうだ。
そこで登場するのがこのケーキ。
写真:https://bakeitwithlove.com/traditional-british-christmas-cake/
中世からチューダー期は、イースト菌で膨らませた、ドライ・フルーツ入りのブリオッシュといったイメージのものだったらしいが、その後は、現在の英国流クリスマス・ケーキの原型とも言われるような、ドライ・フルーツがぎっしりと詰まったこんなケーキになったらしい。
写真:https://britishfoodhistory.com/2019/01/05/twelfth-night-cake/
こちらは1849年ヴィクトリア女王の「十二夜ケーキ」ですと。
どこ食べるんだろ??
で、このケーキの中に、一粒のbean(乾燥インゲン豆)を焼き込むの慣わしが有った。
この特別なケーキは一切れずつその場にいる人に配られ、インゲン豆があたった人は、その夜は王様になって、年齢や階級問わず、無礼講で誰にでも好きな命令が出来たのだとか。
地域によってはインゲン豆の他に pea(乾燥エンドウ豆)も一緒に焼き込まれたようで…
ん?これって「ガレット・デ・ロワ」じゃん。
これアンティワープのお菓子屋さん。
うっまそ~
「ガレット・デ・ロワ」については昔書いてたので、興味がある方はこちらを。
”フード・ライター、ナイジェル・スレーターの著書「ザ・クリスマス・クロニクルズ」によれば、ケーキの中に乾燥させた白インゲン豆とエンドウ豆を入れて焼き、その夜、白インゲン豆が当たった人は王様、エンドウ豆が当たった人は王妃として振る舞ったそうです。19世紀ごろには、豆から銀製の指ぬきや護符に変わったようですが、フランスのガレット・デ・ロワに入っている、フェーブと呼ばれる陶製の人形と同様のものと言えます。”(引用:http://www.news-digest.co.uk/news/gourmet/british-food-and-sweets/17257-twelfth-night-cake.html)
ということで、どうやらイギリスからフランスに渡ったらしい。
「ガレット・デ・ロワ」美味しかったなぁ~
19世紀に入ると素朴だったケーキをアイシングで覆ったり、美しい紙やシュガーペーストで作った飾りが施されたりと、豪華にデコレーションされるようになり、豆を入れる習慣はイギリスのもう1つのクリスマスのお菓子、クリスマス・プディングに引き継がれた。
参考:https://ippin.gnavi.co.jp/article-8379/
これが現在のクリスマスケーキようだが…
写真:https://www.bbc.co.uk/food/recipes/twelfth_night_cake_53367
イギリスには一度しか行ったことないし、クリスマスの時期でもなかったので、いつかその時期に行けるかなぁ???
「イギリスでは、17世紀の正教徒革命後、聖書には書かれていない異教徒な行事として、クリスマスが禁止されていた時期があった(1647~60年)。下火になっていたクリスマスの祝祭に新しい意味を付け加えたのが、ディケンズの『クリスマス・キャロル』だったといわれている。」(松永美穂、記事引用)
「ディケンズが『クリスマス・キャロル』のなかで見事に描写したおかげで、ヴィクトリア期においてクリスマスの祝い方のスタンダードとなり、今日のイギリスのクリスマスの典型にもなった。」(『クリスマス・キャロル』井原慶一郎訳より引用)
12月22日のPresepio(プレゼピオ)
あれ?こっちが羊飼いだったのか?(右手前)
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ヤーコブ・ヨルダーンス「王様が飲む」1640年
を思い出しました。
コメントありがとうございます。
知りませんでしたが、今のガレット・デ・ロワと同じですね。