写真:https://www.veronasera.it/speciale/blog/dolci-tipici-ricetta-tradizionale-nadalin-pandoro-specialita-casareccia.html
これはPandoro(パンドーロ)ではない。
これがパンドーロの祖先と言われているNadalin(ナダリン)の現在形。
パンドーロは見かけと違って、作るのに手間がかかるので、現在大抵の人はスーパーやパン屋で購入するが、こちらは家庭で作る人も多い。
今となってはパンドーロが完全に世界中で市民権を得ているが、こちらは13世紀には食べられていたという伝統的なお菓子。
13世紀…日本はお菓子なんてあったのか?
おっと、失礼。
日本人の先祖は縄文時代から「菓子」を食べていたようだ。
”食が充分ではなかった古代人は、空腹を感じると野生の「古能美」(木の実)や「久多毛能」(果物)を採って食べていました。この間食が「果子」と呼ばれるものになったと考えられています。食べ物を加工する技術のなかった太古には、果物の甘みを特別な恵みと感じ、主食と区別していたのでしょう。”
この「全国和菓子協会」の記事によると、日本の菓子はまず「団子」「餅」に発展し、中国文化が入って来て、前進、更に茶の湯が流行って飛躍的に前進する。(かなり端折ってますが)
砂糖が初めて日本に伝わったのは750年頃のことで、広く使われるようになったのは江戸時代以降のこと。
西洋菓子はもちろんポルトガルから伝わった。
引用・参考:https://www.wagashi.or.jp/monogatari/shiru/rekishi/
ちなみに日本最古の和菓子屋さんは平安時代から1000年以上も続く、今宮神社の境内に、「一文字屋和輔 一和」だとか。
平安時代、京都に蔓延した疫病や災厄を鎮めるために、一条天皇が建立した今宮神社の参道に、ほぼ同時期に創業。1000年以上の営業を続けている企業は、日本でも数えるほどしかないから、それだけでも素晴らしい。
お、今年食べたよ、炙り餅。
と思ったら私が食べた方は、向かいの「がざりや」だった。
こちらは創業江戸時代とちょっと新しいけど、美味しかったから良いのだ。
更に調べると、日本最古の洋菓子店は、京都で明治40(1907)年創業の「村上開新堂」なの?(「京都最古」=日本最古なの?)
カステラが洋菓子なら、長崎の福砂屋は1624年創業。断然こっちが古いのだが…
閑話休題
ヨーロッパに砂糖が伝わったのは、これまた十字軍らしく、イタリアで真っ先に砂糖を手に入れたのはVenezia(ヴェネツィア)だったようだ。
その辺がパンドーロのもう1つの産みの親、"Pane de Oro"(パーネ・デ・オーロ)が貴族の食卓を飾っていた所以だろう。
で、ようやく本題のNadalin(ナダリン)だが、13世紀の終わりごろDella Scala(スカーラ家)がVeronaを支配していた頃には、クリスマスのために作られていたそうだ。
ということはヴェローナ出身のロミオとジュリエットもこのお菓子を食べたのかしらん?
(ロミオとジュリエットのモデルとなったMontecchi(モンテッキ家)とCappelletti(カッペッレッティ家)はダンテの「神曲」にも登場。1300年代には既にヴェローナにいた。)
その頃から現在まで、ナダリンは名前は替わっても、パンドーロの”父”としてクリスマスのシンボルとしてヴェネト州では食べられている。
ナダリンが今でも愛されている理由の1つに、パンドーロより簡単に作れるから。
パンドーロは生地を発酵させながら、材料を3回に分けて加えて練る。
それから何度も休ませながら生地を伸ばしては折、伸ばしては折しなければならない。
最後の発酵が済んで、いよいよオーブンに入れる段になっても、初めは190℃、その後は175℃に下げたりとぼっとしている暇はない。
それに比べてナダリンは小麦粉、バター、砂糖、卵、バニラをビール酵母で膨らませ、松の実を加えて焼くだけ。
家庭でも簡単に作れる。
それがパンドーロに負けず、生き残った理由だろう。
「パンがないならお菓子を食べればいい」と言ったマリー・アントワネット。
彼女も”パンドーロ”を食べたかも???
というのもパンドーロの第3の”父”はウィーン生まれ。
ウィーン王宮で働いていたイタリア人菓子職人は、ふわっふわのブリオッシュをハプスブルグ王家の王侯貴族の為に作った。
”Pane di Vienna”(ウィーンのパン)これはビロードのような固さで、フランスのブリオッシュに似ていた。
写真:https://it.hiloved.com/ricetta-francese-classica-facile-della-brioche/
ただちょっと疑問が…
イタリアでは私たち想像する”クロワッサン”をブリオッシュと呼ぶ地域がある。
昔ヴェネツィアに住んでいた時、「un cornetto, per favole」が通じなかった。
(意地悪されたのかと思ったけどね。)
今日はもうこの辺で終わろうと思っていたのに、再び脱線。
ミラノ、朝8時半、とあるBar(バール)
qualcuno sta facendo colazione con cappuccino e brioche
ある人がカプチーノとブリオッシュで朝食を取っています。
ナポリ、朝8時半、とあるBar(バール)
qualcun altro sta facendo con cappuccino e cornetto
別の誰かがカプチーノとコルネットで(朝食を)取っています。
さて、2人は同じものを食べているの?
答えは「sì(はい)」
ミラノもナポリも食べているのはこれ。
これ丁度丸1年前、私がフィレンツェで食べていた朝食。
実は北イタリアではこの”クロワッサン”をブリオッシュと呼ぶことがある。
私はまず中央イタリアに住んでいたので、知らなかったのよねぇ。
しかし、更に調べていくと、イタリアではこのコルネットもブリオッシュも所謂「croissant(クロワッサン)」ではない。
やばいな、この話ながくなりそうなので、続きは明日ということでご容赦下さい。(今日は2度目の投稿だし)
Nadalin参考:https://www.turismo.it/gusto/articolo/art/nadalin-natale-a-verona-con-lantenato-del-pandoro-id-10260/
最後に本日は12月8日、Festa dell'Immacorata Concezione(無原罪の御宿り)の日。
イタリアは祝日。
今日はキリストを寝かせる「飼い葉桶」
Buona festa!!
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↓
https://840.gnpp.jp/oguraan/
でも、それ以前から小豆は日本にあったという説もあります。
↓
https://www.mame.or.jp/syurui/feature/syurui_01.html
以前、私はたまたま、京都、嵐山に行って、小倉あん発祥の地の看板を見ました。
炙り餅は私も何年か前に食べました。(^^)
情報ありがとうございます。
去年二尊院にも行こうと思ったのですが、時間がなく、素通りでした。
イタリアでは”黒い豆”、甘い豆は好かれず、お土産であんこ類を持参しても大抵食べてもらえなかったのですが、樹木希林の「あん」が上映されたのと健康食ブームで、どら焼きなどがかなり簡単に食べられるようになりました。「食わず嫌いだったんじゃん」と言いたいです。