イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

ヘントの祭壇画ー日曜美術館

2020年02月16日 17時08分18秒 | 日本・番組

今日の日曜美術館は「ヘントの祭壇画」の特集だった。
日曜美術館「光の探求者ヤン・ファン・エイク よみがえる“ヘントの祭壇画”」
一部修復終わって、の特集なのかしらん?

懐かしい、これを見に行ったのは2016年の4月。ほぼ4年前だ。
余談だが、4年前の今日、私は大学をなんとか無事卒業した。
FBがわざわざ教えてくれたわけだが、あれから4年、私は何してたんだろ???

それはさておき、「ヘントの祭壇画」

この作品は現在修復中。
と言っても、MSK美術館(MSK museum)でガラス越しに修復作業は見られるし(最近こういうことしている美術館が増えている。)、修復していない作品は、修復中の箇所にレプリカがはめられた状態で見ることが出来る。
MSK美術館では、現在2012年から2016年の3年の歳月をかけて修復された「神秘の子羊」の外側のパネルが、「ヤン・ファン・エイク:視覚の革命」展で4月30日までお披露目されている。(内側のパネルは、上下段とも引き続き聖バーフ大聖堂に展示されている。)
特別展では、現存するヤン・ファン・エイクの作品約20点のうちおよそ半数が出品されいるとは言え、入場料28€というのはちと高すぎやしませんか⁉
https://www.mskgent.be/en/exhibitions/van-eyck

この作品も、私がここのところ気になっている、ナポレオン略奪に関与している。
ナポレオンに持ち去られた祭壇画は、一時ルーブル美術館に飾られていた。
その後ゲントに戻ったものの、一部のパネルは借金のかたにプロイセン王に売却され、ベルリンへ。
その後、散逸したパネルは1920年にすべてゲントに戻ったものの、1934年には内側パネル2枚が盗まれ、うち1枚は今も行方がわからない。(行方不明になったパネルは現在レプリカ)
「悲劇の祭壇画」という冠がこれほど似合う作品もないだろう。
この作品が唯一無二の素晴らしい作品だからこそ、悲劇が次々に襲うのだろう。
権力者は、どうしてもこの祭壇画を手に入れたくなる。
第2次大戦中ナチス・ドイツに奪われた祭壇画は、1944年オーストリアのアルト=アウスゼーの岩塩坑に7000点の美術品とともに隠されていた。そして、危うく他の美術品共々爆破されるところだった。

ナチスの略奪により、かなりの損傷を受けたのは事実だが、この作品は完成からそれほど立たない初期の段階で聖像破壊運動、度重なる戦禍、火災のため100回を超える移動と解体、再編成が繰り返し行われてきた。
それでも生き残って来れたのもまたこの作品の貴重さ、素晴らしさ故なのだ。
そして今回の修復では、現在通念として行われている所謂「保存」、未来に作品をより良い状態で残していく修復ではなく、過去に行われた修復を全て取り除き、画家が描いた”本来”の作品に戻すための修復、ということで、私たちが今まで見慣れた作品とはかなり違う部分が現れたよう。
特に『神秘の子羊』とも呼ばれるこの祭壇画の主人公とも言える子羊の顔が大幅に変わったことは、かなり衝撃的だった。

特別展終了後、本来の住処である聖バーフ大聖堂に戻るよう。
そして今年の秋以降、新しく聖バーフ大聖堂ビジターセンターが開館し、新しい展示室で



この教会の中に一角に設けられた特別室(?)で、巨大なガラスのケースに入れられた祭壇画を見ることができる。
足元がおぼつかないような暗い室内に浮かび上がる祭壇画は、神秘的…
なのだが、狭い室内はけっこうぎゅうぎゅうだったっけなぁ。

来年には上部のパネルの修復も終わるらしい。そうしたら是非もう一度見たい。

参考:https://www.hollandflanders.jp



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2 コメント

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オランダとベルギー (カンサン)
2020-02-19 20:10:11
fontanaさんへ、オランダとベルギーには数年前の年末年始に行きました。でも、ヘントには行っていません。行ったのはアムステルダム、ハーグ、ライデン、デルフト、アルンヘムとベルギーのアントワープにブリュッセルです。次にベルギーに行く機会があれば、ブルージュとヘントには行ってみたいですね。
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ベルギー (fontana)
2020-02-20 21:03:16
カンサンさん
ブルージュもこじんまりとして良かったですよ。見るものもいっぱい有るし、食べ物の美味しいし、ベルギー良いですよね。

早く新型肺炎が落ち着いて、安心してどこへでも出かけられるようになることを心から願います。
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