昨年、イタリアでの放映が決まった時に記事を書いたレオナルド・ダ・ヴィンチのドラマですが、イタリアでは3月から既に放映されているのですが、なんと日本語での放映が決まったそうです。
5月27日からWowow、初回のみ無料だそうです。
”イタリア、米国、英国など5カ国合作による、ミステリー歴史ドラマの超大作。ルネサンス期のイタリアで、名画「モナ・リザ」などで知られる最高の芸術家でありながら、科学全般にも詳しく発明家でもあった、実在の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ。“彼が殺人容疑で逮捕される”というスリリングなフィクションを物語の起点とし、天才であるがゆえに数々の奇抜な伝説を生んだ謎に満ちた半生を描写。作品の創作秘話など見る者の知的好奇心をくすぐる全8話の壮大なドラマだ。”そうです。
写真・引用・参考:https://www.wowow.co.jp/detail/172741/001/02
う~ん、昨年の夏まで長い事Wowow入っていたのに、全然見なくなって解約したのよね。
これだけの為に再びWowowに入るのもいかがなものか?
イタリアは無料(Raiの受信料は支払いの義務があるけど)
とりあえず初回は見るけど、あとはDVDになるのを待つかなぁ…
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追加の情報ありがとうございます。
レオナルドのことは全く眼中になかったので、これからは少し気にかけてみようと思います。
Metのクリヴェッリの件は面白かったです。
最後に「自説に都合のいい結果だけを出して、都合の悪いデータは出さないという作り方をしていると感じました。」と書かれていましたが、同感です。
イタリアにいた頃、よく第2次世界大戦の番組をやっていましたが、日本で学んだ内容とは色々違っていて驚いた覚えがあります。当然国も違えば解釈も違うのは当然ですが、一方向からの意見だけではだめだなぁと感じました。
トリノ素描の件ですが、手持ちの資料を少し確認してみました。といっても、レオナルドについてはボッティチェリやリッピ親子、クリヴェッリ、カラヴァッジョほど深く追求しているわけではないので、持っているものは昔買った日本語の本ぐらいです(RIZZOLI集英社版美術全集3久保尋二訳1974、中央公論社カンヴァス世界の名画別巻 高階秀爾1974、集英社世界美術全集5 田中英道1978、NHKフィレンツェ・ルネサンス5 三巨匠 森田義之1991 など)。これらの本ではトリノ素描について、従来通りの説である「レオナルドの自筆」「レオナルドの肖像」としています。上記コメントで書いた池上英洋2019の本は、レオナルド没後500年に際して書かれた、現在日本語で読める最も詳細なレオナルド研究書であり、池上氏は国内では現時点で最も積極的にレオナルドについて、研究や発信をしている人です(例えば昨年1月に代官山で開催された「ダ・ヴィンチ没後500年 夢の実現展」の企画者が池上氏)。この本の中でトリノ素描については、上記コメントで書いたことの他に、ヴァザーリの列伝レオナルドの項の扉絵との類似、レオナルドの素描「老人と若者(ウフィッツイ)」との関連(人生50年時代に40代のレオナルドがどのような意識で老人と若者の素描を描いたのか、そしてその後自画像を描いた時の意識)なども述べられています。
トリノ素描の作者とモデルの可能性としては、①レオナルドが自身の肖像画を描いた、②レオナルドが他の人の(or理想的な)肖像画を描いた、③他の人がレオナルドの肖像画を描いた、④他の人がレオナルド以外の人の肖像画を描いた、の4つのケースが考えられます。何冊かの本を読んで思ったのは①の可能性が最も高い、②のケースもありうる、③は考えにくい、④はそういう意見の人もいる、といったところです。
池上氏の本には②と④の意見が注に引用されていて、④については贋作者による19世紀の模作とする説(Carmen C. Bambach 2003, Catalogue to an Exhibition at the Met)が出ています。Metの展覧会のカタログということで思ったのは、この説にはMetのキース・クリスチャンセンが関与しているのではないか、ということです。クリスチャンセンはイタリアルネサンス・バロック美術の著名な研究者ですが、最近疑問に思うことがいくつかありました。一つは少し前にBSで放送されたカラヴァッジョの絵(フランスの個人宅の屋根裏で発見されたユディト)のオークション騒ぎで、各国の著名な美術館は購入に名乗りを上げなかったのに、クリスチャンセンが裏で関与して、Metに寄贈する前提で直接取り引きが行われたこと、二つ目は来年2月に国立新美術館で開催されるMet展に出るクリヴェッリ作品が何であるかを推定するために、Met所蔵のクリヴェッリ作品を調べていて気付いたのですが、ライトボーンのクリヴェッリ研究書やRIZZOLIのカタログではクリヴェッリ作としている玉座の聖母子をMetのホームページでは別の画家の作品としていることです(下記URL)。これもクリスチャンセンの判定だろうと思っています。
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/459025?searchField=All&sortBy=Relevance&ft=Carlo+Crivelli&offset=0&rpp=20&pos=8
カラヴァッジョの絵とクリヴェッリの絵で逆の判断になっていますが、他の多くの研究者とは少々異なる判定が多いように思います。様々な意見があってもいいのですが、トリノ素描に関する説も少数意見ではないかと思った次第です。
なお、池上氏の本については記載が全て正しいと思っているわけではありません。誤りの例(ミケランジェロのダヴィデ像設置場所検討委員会にミケランジェロ本人が出席して意見を述べたように書かれている)もあります。氏はレオナルド専門家であってもミケランジェロの専門家ではないので、原典を確認しないで何かの本から孫引きしたのではないかと思います。しかし、このような例があっても、レオナルドについて書かれている内容は、現在日本語で読めるものとしては最も詳しく、信頼できると思っています。
また、前記コメントのルカーニアの絵に関するテレビ番組ですが、これも上に書いたカラヴァッジョのユディトに関するテレビ番組と同じで、自説に都合のいい結果だけを出して、都合の悪いデータは出さないという作り方をしていると感じました。トリノ素描に関する人物判定の部分(ルカーニアの絵とメルツィ素描は一致して、トリノ素描は別人と判定)も同様の結果だと思います。
結論として、トリノ素描の作者とモデルについては、「論争中」というよりも「異論もある」というぐらいではないでしょうか。多くの研究者は「レオナルドの真筆で自画像」と考えていると思います。
コメントありがとうございました。
やはり、論争中、みたいですね。新発見の絵画:写真図版でみる限り、魅力を感じないのが残念です。
非常に丁寧な説明をありがとうございました。非常に参考になりました。
ドラマの件ですが、個人的には娯楽性の強いものではないか、と思っているのですが、どうでしょうか…
トリノの肖像画素描については、同番組の中ではルカーニアの絵、メルツィの作とされるレオナルドの横顔の素描の3点について、顔の各部分の比率を詳細に比較したところ、ルカーニアの絵とメルツィ素描は一致し、トリノ素描は一致しなかったので、トリノ素描は別人の顔と判断されるとのことです。
私の素人的な感想としては、トリノ素描とラファエロのヴァチカン・アテネの学堂の中央部プラトンの顔がよく似ていることから、トリノ素描はレオナルドの肖像でいいと思っています。上記番組の中では、トリノ素描が描かれたと思われる時期としては、レオナルドの実年齢から見て老け過ぎている、と言ってましたが、肖像画、肖像彫刻に表現される年齢は老けて描く場合と若くする場合の両方があるので、これは理由にならないと思います。ティツィアーノは手紙や文書でかなり年齢を高く書いていたようだし、日本の鎌倉~室町時代の肖像彫刻でも生前に作られた「寿像」で実年齢と違う表現をしているものが多数あります。また、ルカーニアの絵については、絵の出来として、他のレオナルド真筆とされている作品ほど質が高いものとは思えないし、トリノ素描の方が質は高いと思いました。
池上英洋著「レオナルド・ダ・ヴィンチ 生涯と芸術のすべて」筑摩書房2019 によれば、「トリノ素描についての同時代記録はないが、様式の近似、彼特有の左利きハッチング線等により、本素描が彼の手になることはほぼ確実」、「アテネの学堂の中のユークリッドがブラマンテの肖像であるなど、ラファエロと同時代の芸術家をモデルにしているので、プラトンのモデルがレオナルドであることには合理性がある」としています。また、同書の中でルカーニアの絵については、この10年ぐらいで真贋が話題になったいくつかの作品(糸巻の聖母、サルヴァトール・ムンディ、美しき姫君など)とともに取り上げていますが、ルカーニアの絵とウフィッツイの肖像画はごく簡単に紹介しているだけで、ルカーニアの絵の年代判定も「17世紀以降か」としています(ウフィッツイの方は「17世紀」としているので、池上氏はルカーニアの絵はウフィッツイの肖像画のコピーと判断しているのかもしれません)。
サルヴァトール・ムンディの件も、それだけで1冊の本になったぐらいですから、新発見のレオナルド作品の真贋問題は今後も頻繁に出てくると思います。これらについては、テレビ番組や本に書かれた内容を鵜呑みにするのではなく、信頼できる美術史家が書いたものを参照しながら、(自分の直観も重視しつつ)判断していこうと思っています。また、本文でご紹介のドラマシリーズですが、昔見たドキュメンタリー映画「レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯」が作られてからちょうど50年が経過し、その後の新発見の事実も多いと思われるので、現在の研究レベルを反映した番組ならば見てみたいと思います。(前のものは映画館で見て、また、テレビでも放送したのでVHSで録画しましたが、テープが劣化してしまい、もう再生できないかもしれません。VHSデッキが使えるうちに試してみようと思います。)
コメントありがとうございます。
ちょっと検索しただけですが、どうやらまだ決着はついていないようです。
何か情報を発見しましたがご報告いたします。
図書館で巨大なレオナルド本(日本語版)を閲覧しても、その点はどうもよくわからない。21世紀のイタリアではどうなんでしょうね?