イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

Santa Luciaの日

2016年12月14日 06時55分51秒 | イタリア・生活

10年以上イタリアに住んでいても「そんなこと今まで1度も聞いたことなかった」ということが時々起きる。
まぁだから楽しいんだけどね。

今日お昼を食べながらテレビを見ていたら、「今日はSanta Lucia(シラクサのルチア)の日だから子供はプレゼントもらえるね」と話しているのを聞いた。
はて?何のこと…ということで調べたわけです。

365日必ず毎日誰か聖人の日なのですが、
確かに今日12月13日はSanta Luciaの生まれた日。
更に旧ユリウス暦では1年で最も夜の長い日とされていた。
この夜が一番長い日に生まれたLuciaの名前がラテン語で「光」を表すLuxまたはLucidから派生した名前であるのは、偶然ではないでしょう。
サンタ・ルチアはヴェネツィアの駅名になるくらいイタリアでは名の知れた聖人(聖女)の一人。
有名なナポリ民謡に「サンタ・ルチア」は、ナポリ湾に面した絵のように美しい波止場地区、ボルゴ・サンタ・ルチアを讃えたものだけど、
この曲、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーでは、冬1年で最も暗い時期に行われる光の祭、聖ルチア祭に合わせた歌詞が付けられているそうです。
彼女は伝承によると284年の12月13日生まれで304年キリスト教迫害が特にひどかったDiocleziano(ディオクレティアヌス帝)の治世中に殉教しています。

ローマ人であったルチアの父が死に、母と二人残されたルチア。更に彼女の母は長年病を患っていたところ、聖女シチリアのアガタの奇跡の噂を聞き、ミサに参加する。
そして夜、2人は聖アガタの墓前で祈りながら眠ってしまう。
するとルチアの枕元に聖アガタが現れ、『私がそうしたように、あなたはすぐシラクサの栄光となるのです。』と言った。そして母は全快する。
その後母はルチアを異教徒と政略結婚させようとしたが、ルチアは自分にはより高貴な婚約者(すなわちキリスト)がいる、持参金を貧者への施しとしてほしいと拒んだ。
すると異教徒は思いのままにならないルチアに怒り、彼女を実はキリスト教徒であり、神への犠牲として火炙りにすべきだと密告してしまう。
ルチアを引き立てに来た兵士たちは、聖霊に満たされたルチアを動かすことができず、牛の一群に彼女をつないでも動かなかった。
そして最後にはルチアは両目をえぐり出されても死なず、最後には斬首され殉教を遂げた。

このエピソードから聖女ルチアは、目及び視覚障害者、そしてシラクサの守護聖人とされ、絵画などに描かれる場合は眼球を皿の上に乗せるなどのシーンが描かれることが多いんです。
ちょっとグロいです。

これは Francesco del Cossaの描いたルチアですが、よく見ると右手に持った花のように見える部分には目が描かれています。

そして実は聖地のSiracusaだけでなく、イタリアの各地でお祝いされているようなのですが、北イタリアのBergamoやBrescia、Veronaでは、聖ルチアの日に、Castaldoという御者にひかれたロバに乗った聖女が子供にプレゼントを持って来るという言い伝えがあるそうです。
私がお昼に聞いたのはこのこと。
数日前に聖女に欲しいものを書いた手紙を書きます、すると一年間良い子だった子には12日から13日の夜中にプレゼントを届けてくれるそうなのですが、
クリスマスと違うのは、プレゼントの代わりにロバには小麦粉(?)、聖女にはコーヒー、ぎょしぁにはひとかけらのパンを残しておくそうです。
ただこれには諸説有るようで、テレビではロバにはビスケット、御者にはワインをおいておいたと言っていました。
またプレゼントではなく、お菓子をもらえるという人とか、昔はお菓子が貴重有ったので、ミカンをもらったという人など結構様々で面白い。
それにしても、年に何度プレゼントもらえるんだよ、この国の子供たちは!

更にもう1つ、子供たちは聖女を見ることができません。もし起きて見ようなんて思っても、彼女は好奇心いっぱいの目に向かって炭を投げつけるんですって。
聖女のくせにちょっと過激…

そしてもう1つ。
伝説によると1646年スペイン統治下にあったシチリアでは、長期に渡って飢餓状態が続いていました。
すると5月13日日曜日のミサの最中、だいせいどうの中をぐるぐると飛び回る一羽の鳩がいました。
そしてその鳩は司教の椅子に止まって、いきなり人の声で「港に穀物を積んだ貨物船が着く」と言いました。
これは聖女のお陰だろうと、この奇跡の後パレルモ市民は穀物を茹でてオリーブオイルと混ぜたCucciaという料理を作ります。
この名前は穀物などの粒を表すchiccoから来ています。
これがそのCuccia

現在のレシピはもう少し豪華になっているようですけどね。
Palermoでは茹でた穀物とリコッタチーズのクリームのお菓子を食べる他、
目の病気にかからないように目の形をした小さなパンを食べるところも有るそうです。 
それとは逆に、一年で唯一この日だけ、パンもパスタも食べないという人もいます。(パレルモのパン屋はほとんどお休み!?)
これも目が悪くならないようにという願掛けらしいです。

さすがイタリア…兎にも角にも12月はダイエットには一番不向きな月ですね。 



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2 コメント

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ルチアの鈴 (情報ま。)
2016-12-15 13:11:58
最近更新が頻繁ですね。
楽しみにしています。

ところで、Sienaで Santa Lucia の日に売られているという鈴って見たことありませんか?
陶器の鈴らしいんでけど(土鈴みたいなもの?)、なんか目のお守りらしいんですよね~
前から欲しいと思ってるんですけど、なかなか12月にSiena に行く機会がなくて、未だに買うどころか見たこともない。。。
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残念! (fontana)
2016-12-15 22:43:47
情報ま。さん
そう言ってもらえると嬉しいです、ってフィレンツェに居るってことなんですけどね。

さすが情報ま。さん!知らなかった。この手の土鈴はよく見るけど、そんないわくつきのものがあるのねぇ、ということで調べたら12月13日に特別なFieraが出て、そこで売ってるみたいね、17のContrada別の柄が有るって。知ってたら行ってたなぁ、もうこの日にイタリアにいる可能性少ないからなぁ…残念。でも天気が良かったら近いうちに確認に行ってみます。(^^♪
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