イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

2月3日には残ったパネトーネを

2014年02月04日 23時58分51秒 | イタリア・生活

Quirinale(首相官邸)のお話をしたいのですが、こちらの話は色々準備が必要なので、今日は軽めにこの話題。

昨日は2月3日、節分でしたね。
こちらでは全然関係ないので、すっかり忘れていました。
ところが、こちらでも似たようなことが有ったんです。
あっ、もちろん豆まいて鬼を追い払ったわけではないですよ。

いつものように朝から図書館で勉強。
すると丁度お昼過ぎに、図書館の館長さんがなにやら大きな声で・・・

そういえばブログには書いてなかったのですが、私がいつも利用している図書館はちょっと変わっていて、いやいや普通の図書館ですが、すごく家庭的(?)なんです。
昨年の年末、丁度クリスマス前の土曜日のお昼にまるで忘年会のように、図書館で打ちあげ(?)
パネトーネとスプマンテで一年の労をねぎらいました。
FBに乗せた写真を見た友人からは
「イタリア人のこういうところがいい」というコメントから
「図書館で飲食・・・すごい」とか

写真を探しましょう・・・
あっ、これこれ

これが図書館です。
このカメラを構えている人たちは図書館の常連さんばかり。
若い人(私も)は遠巻きに見ていました。
そしてこのカメラの先にいるのがここの名物(?)館長

このスプマンテもパネトーネも図書館の職員が自腹で用意してくれたんですって。
更に常連さんからも差し入れが有ったんですけどね。
多分毎年やっているんだと思うのですが、
私今までこの時期はまじめに勉強してなかったので知らなかったんです。
なんかこの暖かい感じに涙が出たよ・・・というイタリア人ステキ!!というお話でした。

ちなみに図書館は

ここ(あまり宣伝したくないけど)
私(と思われる人物)を見かけても放っておいてくださいね。

話は少し脱線しますが、
ここもそうですが、イタリアではこういう教会を再利用して図書館や学校にしているところは非常に多いです。
今までそれがなぜなのか、漠然としか知らなかったのですが、前回の試験勉強ではっきり分かりました。
Soppressioneと呼ばれているのですが、これは国が宗教関係の建物や持ち物を接収して国有化するというなんとも理不尽な出来事のせいなんです。
もちろん理由は国庫を潤わせるため。
教会の権力が弱まったから出来たことなのか、これをしたことで権力が弱くなったのか。
そこらへんのことは授業では言っていませんでした。

イタリアの他の州は大抵ナポレオンがイタリアに侵攻していた時期とイタリア統一の2回なのですが、トスカーGranduca Pietro Leopoldo(トスカーナ大公 レオポルト2世)の時にも起こっているのでトータル3回。
このレオポルト2世は1765年から90年までの在位期間の間に、大きな改革をやってのけます。
これもその1つで、他にウフィツィ美術館が大きく変わるのもこの時期なんですねぇ。
やばいやばい忘れないうちにこの話も書き留めておかねば・・・今は時間がないので、またの機会に。

そしてイタリア統一の時にイタリア全国で国に接収された建物の多くが病院、学校、図書館や博物館などになっているわけです。
このSoppressioneでは破壊されてしまった建物や、教会に保管されていた美術品なども接収されます。
それらの作品が次々と美術館に収められてしまいます。
あのダヴィデ像で有名なアカデミア美術館。
あそこにはダヴィデ以外に中世美術のすばらしいコレクションがありますが、あれはこの接収でトスカーナ各地から集められたものなんです。

とこの辺で話を元に戻しましょう。
そうそう、図書館内はお静かに・・・なのにこの館長さんがいきなり大きな声で
「今日はSan Biagioの日なので、パネトーネを用意したので、食べてください。早いもん勝ちですよ」
と言って回っていたんです。

San Biagioとは聖人のことなんです。

365日、一日最低一人はその日の聖人がいます。
昔は誕生日の聖人の名前を子供につける人も多かったと聞きます。
ちなみにフィレンツェの聖人はSan Giovanni Battista,洗礼者ヨハネ
成人の日は6月24日でフィレンツェは祝日です。

で、なぜSan Biagioがパネトーネなのか知らなかったので、その場で検索。
なんとも便利な世の中になりましたねぇ・・・
なんでも
ミラノではこの日に残ったパネトーネを家族で食べるのが慣わしで、これを食べると、のどの痛みや風邪を避けることが出来るという言い伝え。
 "San Bias el benediss la gola e el nas"
更に、この日までお店にパネトーネが残っていたら、panettoni di san Biagioということでこれは安く売られるんだそうです。
ミラノではないので、実際パネトーネが安く売られていたのかは定かではないですが・・・

パネトーネの賞味期間は大抵半年くらいあるんですよね。
しかし、聞いた話では夏が製造繁忙期になるらしいので、いったいどのくらいもつのでしょうか?
非常食並だな。
先日日本から遊びに来ていた友人もパネトーネを4個持って帰ったというし・・・
ちなみに先日日本に帰った時、せっかくだからと普段買わない手作りのパネトーネを買って帰ったら、
「外国の味がする」
とあまり喜んでもらえませんでした。
そしてこのパネトーネが終わったら次はPasqua(復活祭)のcolombaだよ。
個人的にはパンドーロが好きですね、私は。

理由も分かったところで、せっかくなのでちょっと恥ずかしかったのですが、私も一切れいただいてきました。
ははは、もちろんここにこうして載せるためなんですけどね。
イタリア人は興味がないのか、恥ずかしいのか知りませんが、あまり食べに行かないんです。
だから夕方まで、本を借りたり返しに来る人に図書館の職員は
「パネトーネどう?」と勧め。
「何で?」と聞かれ
「San Biagioだから」と答えていました。
って勉強に集中してないね私。

イタリア人でもこの言い伝えを知らない人は多かったみたいです。
こういうことってなかなか知る機会がないので、パネトーネを食べられたこともうれしいですが、イタリア人でも知らないことをまたひとつ知ることが出来てとてもうれしいですねぇ。

こういうことも突き詰めていくときりがなくて。
時間がないのが残念だ・・・って今まで何してたんだろう???
あっ、しまった今晩もシンデレラの鐘がなってる。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
非常食 (fontana)
2014-02-07 07:58:04
よん太郎さん
私は良く人の話を盗み聞きして情報を得ています。特に年配の人は為になる話が多いです。(^.^)
パサパサになる前に食べたほうがいいよ・・・こちらのは包装が甘いから。
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まだ頂いておりませぬ。。。 (よん太郎)
2014-02-07 00:29:56
パネトーネのお話も面白いですね。
頂いたパネトーネ、なんとなく食べるのがもったいなく観賞用として取ってありました。(賞味期限は4月までだからまだ大丈夫)こちらは聖人の日に関係なく美味しく頂きますね。
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