毎年ミラノ市は、クリスマスにふさわしい贈り物を市民や観光客にしてくれる。
その内容が数日前発表になった。
なんのことかというと、ミラノ市はクリスマスの時期、Palazzo Marinoというスカラ座の目の前に有る宮殿で、市民や観光客向けに無料でこの時期にあった名画を公開する。
昨年はウンブリア国立絵画館(Galleria Nazionale dell’Umbria)所蔵のPeruginoの「受胎告知」だった。
写真・参考:http://www.turismo.milano.it/wps/portal/news/Tutte_notizie/cultura/perugino_mostra_natale_2018
2017年は私も現地で見たティツィアーノ(記事はこちら)
そして今年はFilippino Lippi(フィリッピーノ・リッピ)の「受胎告知(L'Annunciazione)」
こちらの、受胎を告げる天使ガブリエルが描かれたトンド(丸絵)と受胎を告げられる聖母マリアが描かれた作品の2枚を見ることができる。
現在San Gimignano(サン・ジミニャーノ)絵画館所蔵のこちらの作品は、1482年サン・ジミニャーノのグエルフィ党員(Parte Guelfa)の執政官や隊長が市庁舎に飾るためにフィリッピーノの依頼した作品で、古文書館にそれらの記録がしっかり残されている所謂出所、作者が100%分かっている作品。
サン・ジミニャーノって、今でこそトスカーナの有名観光地の1つではあるけど、特に重要とは言えない街になってしまっているがベノッツォ・ゴッツォリ(Benozzo Gozzoli)、ピントゥリッキオ( Pinturicchio), ベネデット・ダ・マイアーノ(Benedetto da Maiano)やアントニオ・デル・ポライオロ( Antonio del Pollaiolo),ギルランダイオ( il Ghirlandaio) にピエル・フランチェスコ・フィオレンティーノ( Pier Francesco Fiorentino)と言った錚々たるアーティストがこの小さな街を訪れ、作品を残している。
フィリッピーノは言わずと知れた修道士だったフィリッポ・リッピ(Filippo Lippi)と修道女ルクレツィア・ブーティの息子。
私の大好きなウフィツィ美術館所蔵のこの「聖母子(Madonna col bambino)」は、妻と息子がモデルと言われている。
父フィリッポの弟子であったサンドロ・ボッティチェリ(Sandro Botticelli)とは師弟関係にあった。
「受胎告知」を完成させた後、ルッカ(Lucca)で作品を数点描いたあと、1482年12月31日ヴェッキオ宮殿(Palazzo Vecchio)の”謁見の間(Sala dell'Udienza)”の装飾のためフィレンツェに召集される。(これは記録が残っているだけで実行にはうつされなかった。)そして、同時期にマサッチオ(Massacio)、マソリーノ(Masolino da Panicale)の作品でも有名な、ブランカッチ礼拝堂(Cappella Brancacci)の仕上げを任される。
ブランカッチ礼拝堂の下段に彼の作品が有る。
牢獄の聖ペテロを見舞う聖パウロ(San Pietro in carcere visitato da san Paolo)
牢獄から自由になった聖ぺトロ(Liberazione di san Pietro dal carcere)
「受胎告知」展示の詳細はこちら。
期間:2019年11月29日ー2020年1月12日
場所:Milano, Palazzo Marino, Sala Alessi、Piazza della Scala 2
入場無料
開場時間:毎日9:30-20:00(最終入場:19:30)、木曜:9:30-22:30(最終入場:22:00)
時間変更:12月7日は12時まで(最終入場11:30)、12月24日、31日は18時まで(最終入場17:30 )
祝日の開館時間:2019年12月8日、25日、26日、2020年1月1日、6日は9:30-20:00(最終入場19:30)
INFO
Tel. 800.167.619
www.comune.milano.it
mostre@civita.it
(Dal lunedì al venerdì dalle 9.00 alle 18.00, sabato dalle 9.00 alle 12.00)
Prenotazioni possibili solo per le scuole
参考:https://www.comune.milano.it//-/cultura.-palazzo-marino-l-annunciazione-di-filippino-lippi-protagonista-della-dodicesima-edizione-della-mostra-di-natale
例年だと30人ずつくらいで入場、ガイド付き見学となると思うので、なかなか止まってじっくり見学という感じではないですが、なかなか見られる機会もないと思うので、この時期にミラノを訪れる方は、是非覗いてみてください!!
また今年は特別に、フィリーピーノのトンド(丸絵)他にも、市はスフォルツェスコ城(Castello Sforzesco)所蔵の重要な2作品をミラノ市内に展示する予定のよう。
ヴェロネーゼ工房のパオロ・カリアリ(Paolo Caliari)「羊飼いたちの訪問(L’Adorazione dei pastori)」を11月30日から12月20日まではvilla Scheibler (Municipio 8) 、12月21日から2020年1月12日までは l’Emeroteca di via Cimarosa (Municipio 7) に展示。
もう1作品は、カルロ・フランチェスコ・ヌボローネ(Carlo Francesco Nuvolone)の「受胎告知(L’Annunciazione)」 を前期はCascina Turro (Municipio 2) 後期は l’Auditorium Cerri (Municipio 3)で展示予定。(期間は現在未定)
フィリッピーノの受胎告知、2016年東京都美術館のボッティチェリ展に来ていたので、じっくり見ることができました。
https://www.tobikan.jp/media/pdf/20160114_botticelli_worklist.pdf
サン・ジミニャーノはまだ行ったことがありませんが、ギルランダイオやゴッツォーリ、ポライウオーロの絵を見に、いつかは行ってみたいと思っています。
はじめまして、コメントありがとうございます。
そうだったんですね。「ボッティチェリ展」には行かなかったので知りませんでした、情報ありがとうございます。
サン・ジミニャーノはちょっと行き難い街ですが良いところです。
Benozzo GozzoliならCastelfiorentinoの美術館もおすすめです。(公共交通手段でフィレンツェから簡単に行けます)