イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

遠足ーValtiberinaのその1

2013年11月01日 22時20分48秒 | イタリアの小さな街・大きな街(Fi以外)

う~んなぜか午後になってネットの繋がりが非常に悪くてイライラする・・・
有線より無線の方が繋がるって何なんだろう???

ご無沙汰しているうちに、11月になってしまいました。
2013年のカレンダーも残すところあと2枚。
月日の経つのが早すぎて目が回りそう・・・なんて言ってる場合でもないところが恐ろしい。

この10月はこちらここ10年で一番暖かい10月だったそうです。
特に先週は暖かく、薄手の上着でも汗をかくくらい。
ミラノで最低気温が17度というのは90年ぶりだったらしいですよ・・・
この天候のせいで、体調を崩す人がいっぱいで、外に出るのはちょっと注意。 
早くもインフルエンザの大流行が心配され、早めに予防接種するようにとテレビでも言われています。

昨日はハロウィン。
以前はイタリアも全然関心がなかったようですが、これも日本のバレンタインと一緒。
消費市場に踊らされてあっという間に普及したみたいです。
おとといも知り合いのイタリア人と話していたら、「親戚の子供が来るので近所にお菓子を配っておいた」と
準備しておかねばいけないものなんですね・・・

そして今日11月1日はTitti i Santi(全ての聖人)の日で祭日。
明日の土曜、日曜で3連休という人が多いんです。
本来は日本のお彼岸みたいにお墓参りに行くのが伝統なんですけどね。
ニュースでは失業率最悪記録更新を憂っています。
本当に失業率は半端ないです。
今週は仲のいいお友達でイタリア人と結婚した子が、今年いっぱいで日本に旦那さんと子供を連れて帰るため、挨拶に来ました。
彼女曰く、彼女の周りのイタリア人・日本人カップルが何組も帰国を決めているとか。
それもこれもこの国に仕事がないから。
日本に帰れば少なくとも日本人(大抵は奥さん)は仕事が有るし、下手すれば両親に子供の面倒を見てもらえたり、実家に住めたり、今より条件はよくなる。
しかし行くところがある人はいいけど・・・
いや、日本に行った(戻った?)ところで決して楽なわけではないですからねぇ。
でも気持ちはよく分かるんですよ。
だってこの国、仕事ないんだもん。
私だって仕事が有ればイタリアに残りたいし・・・

でも600万人が失業してるんだよ・・・えっ、ホント?
日本の場合は9月で258万人だけど・・・失業率4%だからそんなもん?
人口が半分なのに失業者は倍以上って・・・
方や約700万人の人は山だ海だとプチバカンスを楽しむ模様。
700万!?総人口6000万ちょっとのイタリア。(日本の約半分)
これってすごい人数じゃないですか?
私間違ってる???
いやいや7milioniだから700万人だよね。
ってすごくない?
10人に一人は無職で10人に一人はバカンスかぁ・・・私数字にすごく弱いので間違っていたらごめんなさい。
夏のバカンスが終わって初の連休(Ponteって言うんですけどね)だからって・・・どうなってんだろこの国。
私今日は一日外に出なかったのでわかりませんが(観光地のど真ん中に住んでいるので、こういう全国から人が集まる時は極力家から出たくない!)、
ニュースではフィレンツェはホテルも満室。
ウフィツィ美術館の前には長蛇の列が出来ているとか。

さて、暗い話はさておき、バカンスではありませんが、私も先週遠足に行ってきました。
初めてイタリアのバスツアーに参加、Valtiberinaの方まで行ってきました。
このツアーは毎年行われるフィレンツェ近郊数箇所が同じテーマで行う展覧会会場をバスで回ってくれるというもの。
大抵車がないと行けない(公共交通手段で一日で周るのは不可能)場所なのですごくいいなぁと思っていたのですが、 数年前までは無料バスだったので、いつも行けなかったのですが、昨年あたりから有料に。
ということで今年はようやく参加することができました。
但しバス代と各美術館の入場料が込みなので、それほど高くはありません。
今回も4箇所回って36ユーロでした。

日曜日。
少し早めに集合場所に行ってくださいということで、15分前に集合場所のFortezza da Bassoに到着。
ここは日本のツアーなどもよく利用する大型バスが止まれる場所。
フィレンツェの市内は大きなバスが入れないので(お金を払えば入れますが)大抵ここか、もう1箇所Zeccaという街のはずれに停車します。
すると15分前にもかかわらず結構人が集まっていました。

日本みたいに丁寧にツアー名が書かれていないので、わかりにくいのですが、周りに確認して列に並ぶ。
なんと今回は満席。
ということでバスの座席は指定されていました。
お一人様は私だけかと思いきや結構いました。
特に女性。
車を運転しない人が多いせいでしょうね。
平均年齢は・・・60歳くらいかな?
家族で参加していた人の中に数名未成年がいたので、年齢を若干下げていますがかなり平均年齢は高そうです。
50名中、外国人は私ただ一人でした。
よくあることなので既に慣れましたが・・・
余談ですが、お一人で参加していたご婦人とお友達になりました。
彼女は若いころから日本に興味があって、近いうちに日本に行きたいと思っていた、ということで声をかけてきたようです。
そしてなんと昔高校でイタリア語とラテン語を教えていた、ということで早速私を助けて欲しいとお願いしました。
こういうラッキーなことも有るんですねぇ。

集合時間は8時半。
既に5分前で2名以外は揃っていたことに驚いた!
しかし早速ここで事件が勃発。
人数が多いため、ガイドは時間通りに出発したい。
でも2名到着していない。
この2名の友人が電話をしたら、なんと今駅に着いたと。
集合場所は駅のそばではあるけれど・・・
「10分して到着しなかったら出発します」と結構強気のガイド。
そして周りの人たちも「そうだ、そうだ」と
この光景を見ながら、イタリア人も結構やるんだなぁ・・・と一人感心していた私でした。
結局15分待ってあげて、到着した二人を乗せ(走って来なかったこの人たちを見て「行っちゃえばよかったのに」と思った人は結構いたはず)、
一路Valtiverinaへ。
イタリアと言えどもツアーの時は注意しなきゃな、と密かに思ってしまいました。

最初の目的地にトイレがないことから(50名が使用できるよな)出発して30分ほどでドライブインでトイレ休憩。
「ここはあくまでもトイレだけです。朝食とか、コーヒーとかしないで20分で必ず集合してください」とガイドさんは口をすっぱくして言っていました。
しかし、20分で朝食、してました結構大勢の人が。
皆さん朝早かっただろうし、仕方がないですよね。
まぁ、時間さえ守ればいいんじゃない?

さて目的地のValtiverinaなんですが、これは”テヴェレの谷”と呼ばれる地域ででトスカーナ州とウンブリア州にまたがっております。
今回のツアーはこの一帯にあるcapolavori(傑作)を見るのが趣旨。
7月からほぼ毎週ツアーは開催されていたのですが、内容と日にちで今回に決めました。

まず最初に訪れたのはAnghiari(アンギアリ)
この名前でピンと来た人も多いことでしょう。
そうです、Palazzo Vecchio(ヴェッキオ宮)のSalone dei Cinquecento(500人の間)に描かれた、と言われているLeonardo da Vinciの壁画。
そのテーマとなったのが”アンギアリの戦い”
ここ数年再調査が行われていましたが、いまだに確固たる証拠は見つかっておりませn。
そんな無駄な(失礼!)ことにお金使うよりよそに回せばいいのに・・・
しかし現市長はこれをどうにかして見つけたいみたい。
”男のロマン”なのかなぁ・・・

アンギアリの戦いは15世紀の半ばフィレンツェ共和国とミラノ公国がこの地で激突。
フィレンツェが勝利しました。(勝たなきゃそんな絵描けないって)
アンギアリの街は小高い丘の上にあります。

駐車場でバスを降りて最初の美術館に向かいます。
50人もいるので民族大移動・・・

どこにでもいるGaribaldi(ガリバルディ)の脇を通り

最初の美術館(博物館?)であるMuseo Statale di Palazzo Taglieschi(国立博物館タリエスキ宮)に到着。
ここにはこのツアーのポスターなどでおなじみの
 
Tavola Doria
"ドーリア家の板絵"が目玉。

このTavola Doriaですが、とてもいわくつきで実は日本とものすごく関係が深いんです。
1621年Doria家の目録に una battaglia di soldati a cavallo di Leonardo da Vinci(レオナルド・ダ・ヴィンチの馬に乗った戦士の戦い)という作品名が載っていたのが最初の記録。
Doria家はGenovaの出身で、イタリアの歴史においても数多く枢機卿を輩出している重要な家系の1つ。
このことから通称Doria家の板絵と呼ばれるようになるわけです。
こういうことはよくあります。
たとえばウフィツィ美術館所蔵のTondo Doni

Sacra Famiglia(聖家族)と絵の主題で呼ばれることも多いのですが、
Tondoはフィレンツェ独特の円形画、Doniはやはり家の名前です。 

で、このTavola Doriaなんですが、1939年ミラノで展示されて以来、忽然と姿を消していました。
盗難という人も、売られたという人もいるようですが、そこらへんははっきりしていませんね。
ただComando Carabinieri Tutela Patrimonio Culturale(文化遺産保存警察)が動いていたということはただ事ではないですね。
そしてなんとこの作品、1990年ごろから東京の富士美術館が所蔵していることが判明!!
1990年代といえば日本はバブルの真っ只中。
さもありなんという感じ・・・
とはいえ作品が日本にあったわけではなく、スイスのジュネーブで保管されていた模様。
ガイドさんの話ではどうやら公式な売買でなかったとか、鑑定書がないからとかいう理由で日本で作品を展示することはできなかったようです。
個人的にはそこらへんがネックで日本に入って来られなかったのではないでしょうかねぇ?
様々な交渉の末、この作品は26年間の間、2年間イタリア、4年間日本を行き来し、期限が過ぎた後は最終的にイタリアに返還される模様です。
ということで近々日本で見られるかもしれませんが、ただこれレオナルドの真作ではないと言っている人も結構多いんですよ。
そんなことを抜きにしても、この1枚の絵で本一冊かけそうですね。
ただでさえいろいろな絡みがある”アンギアリの戦い”ですからね。 

この博物館というか美術館というか・・・はPalazzo Taglieschi
タリエスキ家のお屋敷です。
実際使っていたお屋敷を美術館に改造しているので

ちょっとわかりにくいのですが、これ3階にあった台所で実際使われていた流し。
右の隅に穴があいてますよね。
そこからお水を流していたようです。

アンギアリの街は特にこれといって特徴はなく

この美術館を見たら移動でした。
ただこんなに小さな街なのに、当たりじゃない?と思わせるレストランは多そうでしたよ。

雲行きが怪しい・・・

周りの人の話ではここの骨董市も有名らしい。
だからかな

ちょっと面白い飾りもありました。
バスに戻る途中で発見

これは食べられないきのこだそうです。
そうですよねぇ~おいしかったらとっくにもってかれちゃいますよね。

ネットの繋がりが恐ろしく悪いので、今日はアンギアリ編だけで終了させていただくことに。
次回に続く・・・といってどれだけの話が闇に葬られたことやら・・・
日本もこの週末は連休ですね。
皆さんよい週末を!!



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