最近、日曜日にまとめて記事を書き、1日ずつアップしている。
だからちょっと時差が出てしまうことがあるのでご了承いただきたいのだが、この記事は昨日見て衝撃だったので、まずこれからアップ!!
ローマにカラヴァッジョ(Caravaggio)唯一の壁画というものが残っていることを知ったのは、イタリア滞在を終えた後だった。
場所はCasino dell’Aurora、別名Casino di Villa Ludovisi
casinoは賭博場のカジノではなく、「主に貴族が造った瀟洒な狩猟小屋」
小屋???お屋敷ですが…
普段は一般公開されていないのだが、300ユーロ払い、最低15人のグループ集めれば要予約で見ることが出来るという情報はつかんでいた。(15人で1人20ユーロになるため、15名を超えた場合は1人付20ユーロずつのプラス料金)
たまに企画が出るだろうと密かな期待を胸に数年がたったのだが、なんとこの壁画のある宮殿が今回売却されることになるという。
これは一大事だ!!
オークション記事を書くときはいつも言っているが、購入者いかんでその作品を二度と見ることができなくなる可能性が有るからだ。
ここ、ただでさえ可能性が低かったのに…
1597年頃フランチェスコ・マリア・デル・モンテ枢機卿(Francesco Maria del Monte)が所有していたvilla di Porta Pinciana(枢機卿はこの屋敷を1596年購入。この屋敷が現Casino dell’Aurora)の天井にカラヴァッジョ(Caravaggio)に描いたユピテル、ネプトゥルス、プルート(Giove, Nettuno e Plutone)
3人は古代の神々で空気・水・土の3元素の象徴。
本来、これに「火」を加えて4元素になるのだが、当時新しい錬金術の概念が生まれていて、火は外されたようだ。
これ、本当にカラヴァッジョの作なのか?
1700年代ピエトロトロ・ベッローリ(Pietro Bellori)が言及したのが始まりで、1989年から1990年の修復で文化財保護局がお墨付きを出した。
保存状態は非常によく、カラヴァッジョが油絵の手法で描いた作品で、カンバスに描くことが圧倒的に多かったカラヴァッジョが漆喰の上に描いた作品である。
漆喰に描いたことからフレスコを書いているものも有るがこれは間違いだろう。
他にもサイトを色々読んでいると油絵「板の上」説もあるのだが…
また他にもグエルチーノ(Guercino)の傑作、「オーロラ(Aurora)」がテンペラで描かれた天井がある。
ルドヴィージ宮(Villa Ludovisi)の広さは2800平方メートル。
Casino dell'Auroraは、19世紀にローマで行われたVilla Ludovisi(後のVilla Boncompagni Ludovisi)の取り壊しが行われた時唯一残された建物で、1階の中央の部屋の天井に、1621年グエルチーノが勝利の戦車に乗ったオーロラを描いた。
2018年、持ち主のニコロ・ボンコンパンニ・ルドヴィ―ジ王子(il principe Nicolò Boncompagni Ludovisi)が亡くなり、2022年1月18日オークションにかけられることになった。
既に世界中の20000人以上のお金持ちにこのニュースがメールで送られたという。
この物件は国の優先権を発動できないので、裁判所で最低金がが決められている。
47100万ユーロ(およそ620億円)からのスタートとなる。
その価値はグエルチーノとカラヴァッジョかと言われる壁画でおよそ310.800.000€(約410億円)
その他にも屋敷の中には貴重な彫刻のコレクションも残されている。
歴史的な建物故、現状維持は必須の上、およそ1100万ユーロ(約1憶5000万円)の修復費を負担しなくてはならない。(落札価格に上乗せされる)
あ~この作品を見るチャンスは益々減ったなぁ。
国がお金を出せないのは仕方がないが、せめて一般公開のチャンスを与えてくれるような人が買い取ってくれることを強く望む。
Il Casino dell’Aurora – Villa Ludovisiの詳しい情報
https://www.prolocoroma.it/casino-dell-aurora-roma-villa-ludovisi/
写真・参考:https://www.finestresullarte.info/attualita/va-all-asta-casino-aurora-caravaggio-guercino
うわっ、この記事に時間がかかってしまって今週はこれで終わりかも~!!
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サザビーズのオークションでピカソの作品が11点、123億円で落札されたというニュースも出てきました。
↓ 参考
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021102400341&g=int
現在のように大勢集まらないと見ることができない(少人数でも規定の料金を払えば可能)のとは違い、この時は不特定多数の人の集まりで入場できたので、貴重な機会だったようです。私もこれ以降にカラヴァッジョの絵を特に気にして追いかけるようになったので、カジノ・ルドヴィーシについては、いつになったら見ることができるのか気になっていたところです。(ローマ、ナポリ、ベルリン、ポツダム、ウィーンなどでカラヴァッジョ巡りをしたのは5,6年前。)
今回のオークションによる所有者の移転で、今までよりも容易に見学できるようになることを願っています。
本当に今年は普段なら出て来ないような作品もオークションに出ています。
不景気なせいでしょうかねぇ…やはり
ピカソの娘が相続税としてフランスに絵を寄贈するというニュースもありました。
コメントありがとうございます。
えっ、私もこの展覧会行きましたが、そんな話は全く知りませんでした。(カラヴァッジョの壁画が有ることもこの時期は知りませんでしたが…)かなりショック、不覚です。とほほ。
ちなみに人数が揃わなくても金さえ払えばOkの場合が多いですが、ここは15人以下ではお金を払っても入れないので更にハードルが高いんですよ。まぁ見たい人は大勢いるので、ツアーなどを組めばすぐ埋まっていたとは思いますが。
本来は国が買い取るのが一番良いのですが、なかなか難しそうです。修復の必要性もあるようなので、数年の間に見られるようになるとは考えにくいですが、一般公開をしてくれる所有者が購入することを切に祈ります。
ローマの不動産としての価値もありますしね。
維持費に苦しむということはあるでしょう。
コメントありがとうございます。
確かにそうかもしれないですね。
維持費がかかる故の売却ですしね。