今年国内で開催される展覧会のリストを見ていたら、「また?」と思ったものの、珍しく東京は通過するというカラヴァッジョ展。
2016年、日伊国交樹立150周年記念して上野に10点余りが来ていたんだから、まぁ今回は東京に来なくても良いかな。
何でもかんでも「東京」じゃなくて良いと思う。
今回は2016年に来日しなかった「病めるバッカス」(札幌限定)
「ゴリアテの首を持つダヴィデ」名古屋限定
「ホロフェルネスの首を斬るユディト」大阪限定
の3枚が初来日、展示されるとしても、まぁわざわざ行かないな。
だって札幌(北海道立近代美術館)、名古屋(名古屋市美術館)、大阪(あべのハルカス美術館)限定な上、この三枚も1館ずつ限定でまとめて見ることはできない。
2016年にも来日した「マグダラのマリア」
など10点くらい来日するということでそれなりに見応えは有るでしょうが、カラヴァッジョの作品はやはり動かせないものが素晴らしい。
「カラヴァッジョ展」
札幌展
会期:2019年8月10日~10月14日
会場:北海道立近代美術館
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/knb/
名古屋展
会期:2019年10月26日~12月15日
会場:名古屋市美術館
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/
大阪展
会期:2019年12月26日~2020年2月16日
会場:あべのハルカス美術館
https://www.aham.jp/
ところで、どうやら来日する1点の中にウフィツィ美術館所蔵の「バッカス」があるらしい。
そういうつながりで1月26日「美の巨人たち」でこの作品を特集していた…ようやく録画を見た。
そこで、この作品にカラヴァッジョの自画像が描き込まれていると聞いた。
これ2009年にイタリアで話題になっていたようだが、全然知らなかった…
このデキャンタに描かれているらしいけど、もちろんこの写真では分からない。
多分肉眼で見ても分からないだろうなぁ…
1642年、ジョバンニ・ブリオーネ(Giovanni Buglione)が書いた「画家・彫刻家・建築家と陰刻師列伝」(Vite de' pittori, scultori, architetti ed intagliatori)の中のカラヴァッジョの伝記に「彼はいくつかの作品の中に鏡に映した自画像を描いた。そしてその最初の肖像画は、数種類の異なるぶどうの房とバッカスを描いた作品の中だった。」と記している。
更に、1922年、この絵の修復を行ったマテオ・マランゴーニ(Matteo Marangoni)はワインの瓶に映った小さな頭を発見し、それらがボルゲーゼ美術館所蔵の「果物を持つ少年」や「病めるバッカス」から想像するカラヴァッジョ本人の顔つきに似ていると証言している。
これらが証言を科学的に証明されたのが2009年のことで、カラヴァッジョの死後400年を記念した事業の一環だったそうだ。
これを証明したのは、今でもカラヴァッジョ研究の第一人者として、その名を知らない人はいないロベルト・ロンギ(Loberto Longhi)の最後の弟子ミナ・グレゴーリ(Mina Gregori)。両者共に、フィレンツェ大学が誇る美術史の名物教授だった。
フランチェスコ・マリア・デル・モンテ(Francesco Maria del Monte)枢機卿に依頼されたこの絵は、カラヴァッジョの若かりし日の作品の1つで、トスカーナ大公フェルディナンド・デ・メディチ(Ferdinando I de' Medici)の息子コジモ2世(Cosimo II)の結婚のお祝いに贈られたもの。枢機卿はカラヴァッジョの最初のパトロンだった。
昨年久しぶりにウフィツィ美術館に行った時、この絵を見たが、こんな話知らなかったので、確認もしなかった。
今まではかなりほったらかし感のあったカラヴァッジョなどの展示室が、見違えるほど明るくきれいになっていたことに驚いた。
来日して、作品を見ることが出来ても、肉眼で確認することは極めて難しく、技術がまだまだ発展していなかった1992年にこれを発見していたマテオ・マランゴーニに驚愕した、とか。
参考:il sole 24ore
まず、掲載の写真は確かに目黒・岡崎での展示作品(クラインの作品と言われているもの)です。2016年初公開で今名古屋に来ているものとの違いは、画面左上に十字架がない、画面右下にドクロがない、衣服のシワが多少違うといったところでしょうか。
次に作品の主題ですが、この形の絵は「Maddalena in estasi」であり、日本語では「法悦のマグダラのマリア」または「恍惚のマグダラのマリア」と訳されています。「悔悛のマグダラのマリア」(伊語では「Maddalena penitente」または「Maddalena Convertita」)は、カラヴァッジョ作品としてはローマのドーリア・パンフィーリ美術館所蔵の初期作品が該当します。
なお、「法悦のマグダラのマリア」にはコピー作品が多数存在するとされていますが、評論社1980年発行のカラー版世界の巨匠「カラヴァッジョ」の103頁にヘースト、フィンソン、クライン、ロンギ、ボルドーの5点のバージョンの写真が掲載されています。(日本語で読める本としては、多分最多数の写真掲載)
コメントありがとうございます。
コメントありがとうございます。
実は2001年も2016年も実際に見ていなかったので、詳細は分かりませんでした。また今来日中の作品を「カラヴァッジョ展」の公式サイトの写真と比べて、その差が分かりました。確かこの写真は、事前の新聞記事か何かからの転用し、確認せず載せてしまいました。
勉強になりました。ありがとうございます。