「今捜索している一番重要な作品は?」
という質問が、昨日書いた展覧会の最後で出た。
「Caravaggio(カラヴァッジョ)!!」
説明してくれていた警察官だけでなく、参加者が声を揃えて答えていた。
1969年Sicilia(シチリア島)の首都Palermo(パレルモ)のOratorio di San Lorenzo(サン・ロレンツォ小礼拝堂)からカラヴァッジョの描いた Natività con i Santi Lorenzo e Francesco d'Assisi(キリスト生誕と聖ロレンツォとアッシジのフランチェスコ)が何者かによって盗まれた。
2012年FBIの発表によると、世界で盗難にあった美術品の中で3番目に市場価値が高く、2000万ドル(20億円超え!)と言われていた。それが最近では3000万ユーロ(およそ36億超!!!)となっているらしい。
ちなみに2012年現在、世界で一番高額盗品絵画は
1990年ボストンのイサベラ・ガードナー・スチュアート美術館から盗まれたレンブラントの「ガリラヤの海の嵐」。
3億ドルと桁違いに高額。
2位は
2002年ゴッホ美術館から盗まれた、ゴッホの「スヘフェニンゲン(SCHEVENINGEN)で海の眺め」。
これが3000万ドル、とのこと。
イサベラ・ガードナー・スチュアート美術館では、主人(絵)がいなくなった額だけをその場に残し、事件を忘れないように展示を続けている。
枠からは、無言の怒りや寂しさが漂ってくるようだった。
パレルモの方は、2015年から最新の技術を駆使した複製画が飾られている。
写真:MERIDIONews
この盗難は当初よりマフィアがらみという噂が有り、過去には、1970年スイスの古美術商が多額の金を払い、スイスに渡ったという話もあったが、盗難が起きてから既に半世紀が過ぎ、絵画の価値が分からない彼らによって破壊されてしまったのでは?という意見が主流となっていた。
ところが2018年あるマフィアのボスが、作品は無事で、海外に隠されていると断言、現在再調査が行われているようだ。
なんでも今年の「イタリア映画祭」でこの作品に関する映画が上演されたらしい。
Una storia senza nome
直訳すれば「名前のない物語」だが、「盗まれたカラヴァッジョ(仮題)」というタイトルだったそうだ。
丁度2018年にイタリアでは公開されたそうだが、日本では来春公開予定。
是非これは見てみたい。
「消えた」カラヴァッジョが有るなら、「現れた」カラヴァッジョも有る。
2014年フランス、トゥールズの屋根裏で見つかった”カラヴァッジョ”の「ユディットとホロフェルネス」が今月オークションに出展され、既に180億という値段が付いているという話を読んだ。
https://bijutsutecho.com/magazine/insight/19887
フランスの文化庁は「トゥールズのカラヴァッジョ」として国宝に認定したらしいが、本当にこれ真作?
オークション出展前に、ロンドン、パリ、NYと作品が巡回しているらしいが、イタリアが入っていないのも気になる。
個人的には2017年に508億で落札された、レオナルド・ダ・ヴィンチ作という「サルバトール・ムンディ」(参考)も真作なのか…と疑っているのだが。
「カラヴァッジョ発見!?」
という話は、イタリア滞在時ホントによく聞いていた。
2014年にもスペインで発見、という話が有ったのを記事にしていたが(こちら)、さてこれはどうなった?
勿論、寡作のカラヴァッジョだから、真作が新たに発見されるのはいち美術ファンとしてはうれしいことだが…
真相はいかに?
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・ゲント祭壇画の「正しい裁き人」
・イザベラ・ガードナーのフェルメール「合奏」
もメジャーだと思います。
パレルモのカラヴァッジョについては、
若桑みどり氏の文章を転載してみましたURL。
いつも本当に有益な情報をありがとうございます!!
https://matome.naver.jp/odai/2134866999126676401
このページを参考にしたのですが、確かにフェルメールが入っていないのは私も疑問でした。
イザベラ・ガードナーから同時に盗まれた18点全部の評価額が5億ドルぐらいにしているので、全部の評価額と1点のものとを間違っているのではないかと思います。
また、マフィア関係で「外国」にあってk警察が手がだせないところというと、スイスなどにある保税倉庫かもしれませんね。
納得です。ありがとうございます。
カラヴァッジョの行方は、ご推察の通りのようです。一部の記事にはマフィアのボスの実名が出ていて、麻薬と闇金の取引でスイスに運ばれたとこのボスが言っていると出ていました。