何かを検索すると必ずといっていいほど関連するものを勧めてくるこのインターネットのサービスをうざいと思うことの方が圧倒的に多いのだけれど、ここのところ検索ワードに「Botticelli」を何度も入れてしまったので、新しいネタが次々送られてくる。
ということで今日もそれをご紹介。
今回はPala di San Leo(サン・レオの祭壇画)という作品。
サン・レオはEmilia-Romagna(エミリア=ロマーニャ州)Rimini(リミニ県)にある。
San Marino(サンマリノ共和国)の西側にあり、峻険な岩山の突端にサン・レーオ城がそびえる。
一説には『ルパン三世 カリオストロの城』に登場するカリオストロ城のモデルとなった、とも言われる。
なぜか2009年まではMarche(マルケ州)に属していたとか…
私はサン・マリノもサン・レオもまだ行ったことがないのだが、周りを見てみると、サン・マリノに行く途中に訪れている人が多い。
本日のボッティチェリはこちら。
写真:http://bbcc.ibc.regione.emilia-romagna.it/pater/loadcard.do?id_card=147378
写真荒いなぁ…すみません。
全体が見られる写真がネット上にほとんどなくて。
Museo d’arte sacra di San Leo(サン・レオ宗教美術美術館)所蔵。
Madonna con Gesù Bambino tra San Leone e San Marino
描かれているのは聖母子とサン・レオーネとサン・マリノ
Museo Diocesano(教区美術館)がオープンした時からここが所蔵している。
実はこの作品、ずっとLuca Frosino(ルカ・フロジーノ)の作品だと考えられていた。
というのもサインが有るのだ。
ルカ・フロジーノが誰なのかというと、フィレンツェの画家でボッティチェリ弟子だったということしか分からない。
この作品は1956年板絵からキャンバスに移され、その時細かいところをつけ足したり、1700年中ごろにGiambattista Marini(ジャンバッティスタ・マリニ)が描いたデッサン
写真:https://www.sanmarinortv.sm/news/
と異なる点は取り除いたので、作品は制作当時の様子に戻ったと考えて良い。
例えば聖人の1人はSan Bartolomeo(サン・バルトロメオ)だと思われていたが、服と刀が取り除かれ、違う聖人になった。
また聖母のマントには星柄が描かれていたが、それも取り除かれるなど、それ以前とは全く違う作品になったという。
そしてこの9月二人の研究者が、最新技術で他のボッティチェリ作品の顔を並べて比較するなどで、弟子の手では描けない繊細な表現が見られることなど「80から85%ボッティチェリの作品」であるという研究結果を専門家が集まる講演会で発表した。
今はとりあえずボッティチェリの作品として、イタリア文化財保護局の承認待ち。
その美術館を先週イタリアでたぶん一番有名な美術評論家のVittorio Sgarbi(ヴィットリオ・ズガルビー)がこの美術館を訪れた。
私に届いたのはこのニュース。9月の講演会の方はその後知った。
この人、以前も言ったと思うんだけど、政治家の顔も持っていて、テレビで声高に美術とは全く関係ないことを話していて嫌だなぁと思っていたんだけど、ある展覧会の解説ビデオを見ていたら、すごく真面目な話を分かりやすくしていて、ちゃんと勉強した大学教授なんじゃんと見直したんだけど(私ごときが何言ってんだか)、いつでもパフォーマンスが大げさなんだよね。
で、今回はこの祭壇画を見て、来年ローマで行われるボッティチェリの大規模な展覧会への貸し出しを即美術館に頼んだという。
6月Caravaggio(カラヴァッジョ)のSeppellimento di santa Lucia(聖女ルチアの埋葬)についてかいたんだけど(記事はこちら)この時もトラブルを引き起こしていたのはSgarbiだったからちょっと心配(私が心配したところでどうにもならんけど)
それより何より、一番気になるのは
来年大規模なボッティチェリの展覧会がローマである!?
というとこ。
ちょっと検索しただけでは詳細は分からなかったけど、大規模な展覧会をやるには最低でも2,3年も掛かるはずだから、前々から決まっていたのだろう。
あとはコロナに邪魔されないこと。
今ヨーロッパは感染者が増加、イタリアも外出時のマスク着用が義務になり、罰金も今までより高くなったらしい。
あ~あ、その頃にはローマ行けるかな?
参考:https://www.sanmarinortv.sm/news/
https://www.riminitoday.it/cronaca/vittorio-sgarbi-visita-i-tesori-artistici-di-san-leo.html
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来年のイタリア旅行はまず無理だろうな。
早速コメントありがとうございます。
さすがにこれはZeri財団のカタログでも見つかりませんでしたし、論文もネットでは読めないみたいです。
来年はボッティチェリ記念年ですか?
やたら話題が上がっていますが…