横浜市以外、いや横浜市金沢区以外にお住まいの方にはあまりピンと来ないかもしれませんが、昨日地元の「金沢文庫」に20年以上ぶりに行って来ました。
ここ、確か教科書にも載っていたと思うのですが、教育改革が進んでいる現在はもしかしたら省かれちゃったりしているのかな?
地元の私たちには非常に身近な存在で、小学生の時は隣接する称名寺に遠足に来たりもしていました。
小学生の頃は、必ずあほうな男子が、口を指で引っ張りながら「金沢文庫って言ってみな」と言い、喜んでいたものです。
(昨年大流行したあのドリルと同じ理屈です。)
個人的にはここ、大学生の時、学芸員の資格を取るための実習でお世話になった場所。
あの時のことは既によく覚えていないのですが(打ち上げで行った居酒屋がどこだったかは覚えていますが)、唯一覚えていたのは、漢文で書かれた大量の仏典のレ点などの装飾記号をひたすら書き写す(?)という気の遠くなる作業が有ったこと。
あの時代は当然コンピューターはなく、ポケベルを持っている人がようやく増えてきた時期で、当然周りには携帯電話を持っている人なんかいない時代でした。
研究ってああいう地道な作業の上に成り立っているんだなぁ、と思ったことを思い出しました。
さて、何をしに「金沢文庫」まで行ったのか、と言いますと、現在開催中の「運慶展」を見に行くためです。
京急線金沢文庫駅から徒歩10分くらいです。
昨年国立博物館で開催されていた「運慶展」はあまりの盛況ぶりに、見に行くのを断念したのですが、こちらなら空いているだろうと思ったのですが、この場所の割には混んでいました。
更に昨日NHKの8時45分からのニュースでも、展覧会が紹介されていました。(サイト)
実は私が会場に着いた時、丁度NHKのクルーがカメラを片付けているところでした。
それはさておき、全部で50点ほどが展示されているのですが、中でも2点ほど気になったものが有りました。
当然だとは思うのですが、the 運慶というような大作はなく、小品ばかり&どれが運慶の作なのかもいまいちわかりずらい展示(キャプションは改善の余地大いにあり!)でした。
1つはこのポスターにもなっている重要文化財の「梵天立像」
運慶と長男湛慶(そんなことすら初めて知った!)の合作とされる像で、愛知県龍山寺蔵。
”梵天(ぼんてん)は四面四臂、各面三目彫眼で、左手の一手に蓮華を持ち、右の一手は軽く拳をつくり、蓮華座の上に立つ。
卓越した形態把握、適度な緊張感と充実感を持つ体躰、目尻のやや切れ上がった張りのある力強い顔立ちから、運慶または慶派正統の仏師によるものとみられる。”龍山寺HPより引用
何でもこれは源頼朝の死後、妻の政子が頼朝供養のために作らせたものだそうで、瀧山寺は頼朝の3回忌に建立され、本尊として頼朝の歯と髪を納めた聖観音と、梵天・帝釈天の三尊像が運慶、湛慶によって作られたそうです。
江戸末期から明治にかけて彩色し直されたらしいので、これがオリジナルの状態かは不明。
どおりで色が鮮明なわけだ。
襞の動きなど素晴らしいですね。
日本の仏像に対する知識が完全に素人の私なので、よくわからないのですが、このように彩色された仏像って一般的なんでしょうか?
そしてもう1点、いやもう1グループ。
こっちの方が特に気になったのですが、実はこれ昨年の国立博物館の「運慶展」の時も展示されていたようですが、横須賀曹源寺の十二神将像です。
金沢文庫は写真撮影不可だったので、東博のサイトから拝借しました。
全然知らなかったんです、こんなものが有るなんて。
横須賀市教育委員会の見解では
”十二神将は薬師如来の眷族で十二薬叉大将ともいわれ、如来の十二の大願に応じた神といわれる。
如来の周囲を取り巻いて守護するので、いずれも天衣甲冑をつけた武将の姿で表される。
また、昼夜十二時の護法神ともされ、その表現にあたっては、十二支の動物を冠に戴くものもある。
曹源寺に伝わる本像は十二躰揃い、それぞれ寄木造、玉眼入りで像高は70cmから90cm程である。
後世の彩色と損傷のため、全体に当初のおもむきを損じている。
法量は小さいが、軽快な動勢のある姿体をたくみに表現しており、個性的な面部の表情などもいきいきとして力感があり、彫技の優れていることを示している。
鎌倉時代初期の作と推定され、現在まで十二躰揃いで伝蔵されてきたことは貴重である。”(横須賀市教育委員会サイトより引用)
写真がないので、分かりにくいのですが、この12体の頭にはちゃんと十二支が乗っています。
それなのに何でその動物と像の名前が違うのか???
群像の展示ケースに到着する前(階段上がってすぐのところ)に、その説明が書いてあったのに、会場出たところのアンケート各ノートに
「像と名前が間違ってる」ととんちんかんなお怒りメッセージを残している人がいたり、
うちの両親に至っては、その十二支を見てない、と言い出す始末。
おいおい、何見てんだよ!!それ見なくてどうするよ!!!
(両親は「(入場料)200円だからもう一度行くわ」と言ってます。)
これってどうやら十二支の像が後付けなので、像の名前と十二支が一致していないようです。
(会場にもっと正しい説明が有ったら訂正してください。)
国の重要文化財に指定されたことを記念して今回出展されたそうです。
いやいや、とにかく像が生き生きしていて素晴らしい。
「ミケランジェロだって、これを見たら日本美術の素晴らしさに驚くなぁ」と父。
「あんたどこ見てたのさっ」、と思わず突っ込みたくなりますが…
とにかく素晴らしい出来栄え。そしてこうして12体残っていることが素晴らしい。だって木製でしょう?
大理石や石で出来てるわけではないのに、数100年残っているんですからねぇ…
なかなか面白い展覧会でした。
まぁ、ちょっと入場料が高めなのが気になりますけどね。
展覧会を見終わった後、称名寺の方へも行ってみました。
市のボランティアの方が無料でお寺のガイドをしているそうです。
池にはここのところの寒さで氷が張っていました。
でも
梅の花や
桜の花が咲いていました。
春はそう遠くなさそうです。
称名寺から歩いて小柴港へ
名物の穴子が入った小柴丼
こちらは穴子2本丼のお昼ごはんでした。
運慶展は3月11日まで開催中です。
運慶や日本美術により興味がわいた1日でした。
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