1,Rerum vulgarium fragmanta
2,i framenti di cose volgari
3,俗語の断片
これが世にも有名なFrancesco PetrarcaのCanzoniereの本当にタイトルです。
1,が本来Petrarcaがつけたタイトル、ラテン語
2,イタリア語訳
3,日本語訳
ペトラルカはほとんどの作品をラテン語で書いています。
この時代、まだまだ俗語で文章を書くことが評価されていなかったことも有りますが、
まぁ、ただの格好つけしぃなのでは?(これは私の個人的な意見)と思う。
だってこの人、BoccaccioがDanteのCommediaを勧めたのに読まなかったらしいんですよ。
理由は「俗語で書いてあるから!」
さて、sonettoⅢを私なりに訳してみました。
その日太陽は色を失った、なぜなら神の息子であるあの方が受難に合った日だからだ。
そんな日だったから、私も油断していた。
しかし、彼女のまなざしが私の心を釘付けにした。
この日がふさわしい日だったとは決して思わないが、
愛の神に罠にはまり、キューピッドの矢で打たれたことは疑いようがない。
私の苦しみはすべてのキリスト教徒の苦しみと同じ日に始まった。
全く心に武装をしていなかった私は恋に落ち、
目から心へと道はつながり、
愛の扉は、全開になり、今はただ涙が落ちる。
しかし私の心配は名誉を失うことではない。
私は愛の矢に打ち抜かれてしまったのに、
あなたはまだ弓すら見てはいないということだ。
かなり意訳です。詩を訳すのは正直難しいです。
要は
キリスト受難の日に偶然出会った女性(この時点では名前はない)に恋をしてしまった。
自分は一目ぼれだったのに、彼女は全然自分には全然興味がないみたいだ。
ということ。
って、こう言ってしまうと全然身も蓋もない!
更にこれ、1327年4月6日のVenerdi santo(キリスト受難の日)なのですが、実はこの日金曜日(Venerdi)ではなくて月曜日だったんだって。
これはPetrarcaがLaura"運命性"を深める為とか、不幸な結末を予感させるようにこじつけたんですと。
特にPetrarcaは難解だとイタリア人も言っています。(もちろん現代イタリア語にするという意味で)
いや~本当に詩的(いや詩だから)な文体なんですわ、これ。
もちろん現代イタリア語訳なしには訳せません。
Sonettoは14行から成る詩の形で、韻も踏んでますから、日本語にしてしまうと全然駄目なんですけどね。
イタリアの詩を考えるにあたってはPetrarca抜きでは何も語れません。
というのも1525年Pietro Bemboが
「Prosa(散文)ならBoccaccio,Poesia(詩)ならPetrarcaのマネをしろ!」と言ったのが原因
この後イタリア文学は長きに渡りこの呪縛から抜け出すことが出来ないのでした。
だからイタリア風ソネットは、ペトラルカ風とも呼ばれているらしい。
更に、この頃からVolgare(俗語)の中でもToscana語以外認められないとされていた。(今のイタリア語も基礎はトスカーナ語ですが)
そしてBemboのこの発言の一番の被害者がAriostoだと言われている。
彼がFerrara方言で書いたOrlando FuriosoはToscana語に書き換えられたんですと。
ご苦労様!
さて、Petrarcaの思われ人、Laura。
実際は存在していなかったのでは?という説がある。
というのはこのCanzoniere(Petrarca自身は"Canzoniere"と呼んだことはありません。)366の詩の中で、
"Laura"という名前は何回出てくると思います?
たったの4回!?
更に、容姿の表現も少ないし、DanteのBeatriceに比べると、とにかく具体的な情報が少ないんですよ。
ちなみにBeatriceは実在に人物としてちゃんと記録が残っています。
でもDanteとBeatriceが出会ったとされる教会、BomboloniのおいしいBarのそば、は実際はあそこではありません。
(あの教会は「観光客向け」だと教授が言っていました。)
そんなところから、LauraはPetrarcaの幻想では?などとも言われています。
普段は日本語に訳して考えることはありませんが、どんなもんかなぁ・・・とちょっと試してみました。
現在勉強中のネタでした。
もちろんこれは本当にfragmanta(framenti;断片)ですが・・・
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