イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

美術館で美人コンテスト!?

2016年02月08日 00時57分00秒 | イタリア・美術

先日ウフィツィ美術館に行った話は軽くしました、まぁその続きと思ってお読みください。
こちらの美術館って、「見ても見ても聖母子像」とか、「宗教画ばかりで飽きてしまう」という話をよく耳にします。
ということで、先日私が作品を見ながら密かにやっていた、ウフィツィ美術館、美人コンテストのお話をしたいと思います。

先日行ったメトロポリタン美術館のようなエジプトから近現代までの作品を収蔵している、超大規模美術館の場合、
私でも最後は解説をちらっと見て、知っている名前ならちょっと止まってみるけど、名前を知らなければさっと見て素通り。
あの規模の美術館では、的を絞って作品を見た方がいいのか、さっとでも出来るだけ多くの作品を見た方が良いのか…
未だに決めかねて、結局1部ごっそり見逃し…ということになってしまいました。 
やはり行く前にせめて見たいものをリストアップしておくくらいの予習は必要なのかな???

まぁウフィツィ美術館くらいまでの規模で、特にこの美術館のメインはルネサンス。
ということでテーマを絞った見方が出来ると思うんです。
だから今回は
この美術館で一番の美人は誰か?
を勝手に決めよ~という見方で行くことにしました。

まぁこの美術館の一番の美人はもう見る前に決まっていたんですけどね。
彼女です。

この聖母、素敵ですよねぇ。
金色の髪、透けるベール、透き通る肌。
言わずと知れたFilippo Lippiの作品で、聖母のモデルは駆け落ちして一緒になった妻、そしてキリストは子供で後に画家となるFilippino Lippiがモデルと言われています。
”1452年、リッピはサンタ・マルゲリータ修道院の当時23歳の修道女ルクレツィア・ブーティを祭礼の混雑にまぎれて誘い出し、自宅に連れ去った。
当時リッピは50歳前後の壮年である。
1457年頃には2人の間に息子フィリッピーノ・リッピが生まれている。このことは当然問題となり、リッピは告発されて修道院に出入り禁止となった。
しかし、芸術家に援助を惜しまなかったメディチ家の当主コジモ・デ・メディチのとりなしにより、彼らは教皇から正式に還俗を許され、正式の夫婦となった。”(Wikupediaより)

ただの女好きだったのかもしれませんが、この作品を見れば、Filippo Lippiがどれだけ女性を大切にしていたのか分かるような気がしませんか?
これだけ”透明な”女性が描ける人が、単なる好色だったとは思いたくないんですよね。
そしてそれまでの人間離れした聖母ではなく、血の通った人間に見えませんか?
彼女の髪形や服装はあの時代の流行でしょうね。
絵画はそういう視点でも鑑賞することが可能です。
是非”宗教画”という概念を取り去って、自由な気持ちで絵画をゆっくり見てみてください。

そしてこの日は新しい発見があったんです。
かなりの美人さんが他にもいたんですよ~
この人

美人じゃないですか?
この作品、以前から展示されてたかな?って思ったんですよね。
この辺りの部屋、今かなり作品移動されちゃってるので。
でもこの作品ちょっと不思議なんですよ。
実はこれ

Lorenzo MonacoのAdrazione dei magi(当方三博士の来訪)です。
ん?
この美人さんは三博士のうちの一人…ということは男性じゃないですか?

どう見ても女性なんですが…でも後光もさしているし、間違いはないんですけどね。
Lorenzo Monacoと言えば、Filippo Lippiの師匠と言われています。
う~んどちらも女性が美しいですね。

ちなみに私がかつて見た全作品の中で1番の美人はこちら。

すごいです。この妖艶な美しさ。

これが聖女なんですからねぇ…
指みて下さいよ、この艶めかしさ。
アムステルダム国立美術館蔵の Maria Maddalena マグダラのマリアです。
Carlo Crivelliですよ。
彼のためにわざわざボストンまで行ったんですから。
とにかく、これ、これ、これが一番の美人だと思うんですよ。

しかしねぇ、このCarlo Crivelliも女好き。
この人はVeneziaに居る時、旦那が留守中の人妻と出来ちゃって半年間投獄されていました。
このせいで二度と故郷のVeneziaの土を踏むことはなかったんですけどね。
まぁ、女性好きな画家の描く女性はどちらも美しいわぁ~

と最後におまけで、ウフィツィ美術館一の二枚目は…

この人をおいて他にはいないでしょうね。
「聖母の画家」とも呼ばれるこの人も、やっぱり女好き。
腹上死したとか、性病が原因で死んだと言われていますからね。
この人が描く女性もまた美しい。
やはり美しい女性を描くためには、女を愛することが大事なんでしょうね
誰だか分かりましたよね?
そうラファエロです。

そういえば話はお決まりの脱線ですが、この”二枚目”
実は昨日日本語の授業の時、漢字の練習をしていたら、例文の中にこの”二枚目”が出てきました。
子供たちに「二枚目はハンサムな人、三枚目は面白い人の事を言うんだよ」と教えたら、「一枚目は?」「なんで2枚目が?」という質問が出ました。
その時は思い出せなかったのですが、さっきオペラを観ながら、「そうだ確かこれ歌舞伎から来てるんだった」と思い出しました。
丁度先日放映されていた「中村屋ファミリー大奮闘」という番組を流しながらこれを書いていたこともあるんですけどね。
歌舞伎の世界ってホント大変だなぁ…と。

そうそう、で二枚目とは、
二枚目」という用語は、歌舞伎用語をもとに、江戸時代に生まれた。
歌舞伎の看板は、通常は8枚から成っていた。一枚目の看板は「書き出し」と言われ、主役の名が書かれ、
二枚目の看板には若い色男の役者の名が書かれることになっていた。
また、三枚目の看板には道化役の名が書かれることになっていた。
このようなわけで、また歌舞伎では美男子というと、美しく見せるべく化粧で白く塗っていたため、
「二枚目」という言葉はやさ男(「優男」の字が当てられる事が多い)の美男子を意味するようになった。

一枚目:主役:そのまま主役。「一枚看板」という用法もある。
二枚目:色男:優男で色事担当
三枚目:道化:お笑い担当
四枚目:中軸:中堅役者 まとめ役
五枚目:敵役:一般的な敵役
六枚目:実敵:憎めない善要素のある敵役
七枚目:実悪:巨悪 ラスボス 全ての悪事の黒幕
八枚目:座長:元締め

ということでしたね。 
今週の授業で説明するとしますかね。 



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