2階はこれからスタート
「タコ踊り」、歌川貞秀
ねじり鉢巻きで楽しそうに踊るタコたちが生き生きして、思わず笑顔に。
右手前の女と思われるタコは流し目までしてますよ。
そしてこれ
「青物魚軍勢大合戦之図」、歌川広景
広景~すごい!!
これ、魚類対野菜の戦いの様子。
更にタコの口から墨ではなく、ピンクのビームが出ていて、そのビームの中から子タコが踊り出ている。
これを冷静に見られますか?
それぞれに名前の付いていて、このタコは蛸入道八足。おいおい、これが笑わずにいられますか?
野菜軍の大将はミカン。蜜柑大夫。
この絵は安政5年、コレラが流行したのを受けて、野菜はコレラにならない食べ物で反対に魚はコレラにかかり易い食べ物を暗示しているとか、徳川将軍の後継者争いを風刺しているという説があるそうです。
水の生き物が続きます。
サンセウウオ、服部雪斎
シーボルトも日本の動物(?)として紹介しているらしいが、そのことも書かれている。
山椒魚も結構グロテスクだけど、これは…
なんだと思います?
これは、十二支を全てまとめて合体した動物。
「家内安全ヲ守十二支之図」、歌川芳虎
これで家内安全!?欲張り過ぎではないですか…笑
顔がネズミ、耳がウサギ、牛の角、鶏のトサカ、羊の髭を生やし、体は前足が犬、後ろ足が猿、胴体の縞模様が虎、毛並みが猪で、尻尾がヘビ。更に首のたてがみが馬、前足の付け根の炎が龍、とよく全員(?)集合出来たなぁ、とある意味感心します。
もうだめだ、おかしすぎる…
でもまだまだ面白い作品が続きます。
「髪切の奇談」歌川芳藤
黒いクマみたいな正体不明の動物は、夜な夜な現れて、女性の髷をかみ切って逃げていたらしい。
何ですかねぇ…浮世絵ってホントに面白い。
作者不明の「雷光の図説 豊年魚」
こりゃ、「どう見てもゴジラだ」という意見が多いと、美術館の学芸員さんも言っていました。
江戸時代からいたんだねぇ…笑
そして本来命のないものの、まるで人間のように振る舞います。
連獅子、だよ。
「道外とうもろこし 石橋の所作事」歌川国芳
獅子はとうもろこしで穂(?)が髪の毛?陶酔してるようにも見えますが…
手には牡丹ではなく、ちびとうもろこし。
後ろで楽器を担当する囃子方は野菜。後ろに入道雲が見えているので、夏野菜では?ということですが、はて、いったい何でしょう?
そしてこちらも野菜(?)
弁慶と牛若丸だけど…ほうづき。
「ほふづきづくし 八そふとび」歌川国芳
ほうづきの実って常々頭みたいだと思っていたけど…
そしておかしさも頂点に達したのがこちら。
なんだこれ、石?こんにゃく?に虎の足と尻尾。
「東海道五十三次内 大磯 をだハらへ四里」歌川芳員
この不思議生物(?)は虎子石。突然動き出したので、みんなびっくりしています。
虎子石とは、「曽我物語」に登場する曾我十郎祐成の愛人の遊女虎御前が化したもので、美男でなくては持ち上げられないと伝えられる、神奈川県中郡大磯町の延台寺にある石だとか。
何で動き出したのかは知らないけど、いや何でこうなるの?笑
ここからはちょっと伝説の世界に
北斎漫画から、うなだれるカッパや最近密輸問題が激しいかわうそ!?
と、こんな感じで動物、植物はここで終わり。
ここからは変な人たち。
「東海道五十三対 二川」歌川広重
おばけかと思ってびっくりして腰を抜かす大の男、実は仕舞い忘れた着物でした。
ここから広重が続きますが
「江戸名所道外盡 日本橋の朝市」
犬が赤い魚、メバル(?)をくわえて逃げているところを、サザエさんのように追いかける魚屋、天秤棒が暴れまくって周りにも迷惑をかけています。でもこの魚売り、背中一面に彫り物が…
欄干の擬宝珠(ぎぼし)から、ここはお江戸日本橋、ということが分かります。
日本橋の北詰に当時は魚市場があったそうです。
犬が魚?とピンとこないけど、青魚ではなく、高い魚をくわえて逃げてるのがみそかな?
同じく「江戸名所道外盡」の「新シ橋の大風」
あれ~という感じ。
この橋、新橋かと思いきや、「新シ橋」は神田川に架かる美倉橋のことなんだとか。
傘も懐紙もみんな風に飛ばされ、女性の着物の裾は舞い上がり、お膳を運んでいる人の顔には布がかかっています。
柳もすごくかしいでいて、風がいかに強いか想像できます。
そしてこのシリーズ最後はこの雪だるま。本当に達磨だよ。
「江戸名所道外盡 御蔵前の雪」
雪だるまのお腹の上には、手前で鼻緒を直す男性が買ってきたと思われるフグが。
先日テレビで、江戸時代武士がフグを食べることは禁じられていて、フグを食べたら切腹と言われていました。
この人は武士ではなさそうですが…
そのフグを狙っているものがいます。野良犬。
男はその様子に全然気がついてないようですが…
あと数枚で終わりますね。
歌川国貞の「極暑あそび」
猛暑ではなく、極暑だよ。暑そう!!
そんなことは全然感じさせないこの涼しさ。
船に乗っているのは有名な役者たち。泳いでいるのは今でいうところの芸人かな?
みんな苦しそうな恰好です。
そして女装するおじさん。
歌川国貞(3代豊国)、歌川広重の「双筆五十三次 加奈川」
実はこれ、今でもあるらしい女装するお祭の時の姿なんだそうです。
女性はびっくりしてますけどね。
そしてここからはヘンな人ではなく、かわいいデザインとして出ていました。
着物の柄が金魚です。
「江戸名所百人美人 本願寺」、歌川国貞(3代豊国)、歌川国久
なんともモダンな柄ですね。
まさか鳩は金魚だと思って近づいて来たの?
そして最後はこれ
「真美人 十四 洋傘をさす女学生」揚州周延
とは、江戸時代末期から明治時代にかけての浮世絵師。
こうして江戸から明治時代に入っていきます。
こうやって見てくるとやはり面白い展覧会でしたね。
やっぱり浮世絵って面白い。
参考:かわいい浮世絵、東京美術
ヘンな浮世絵、平凡社
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コメントありがとうございます。
こんなに素晴らしい美術館が有るなんて全然知りませんでした。現地を訪れて間もないので、さぞ感慨深かっただろうなぁと想像します。
是非こちらの美術館に行ってみたいです。今後はミロの特別展なども有るようですね。
土地勘がないので、最初はピンと来なかったのですが、秀吉、山崎で分かりました。素敵な土曜日でしたね。
今年は浮世絵づいていて、先週は丁度始まったばかりの小原古邨を太田記念美術館で見た後、新北斎展へ行って来ました。
ここ数年毎年どこかで北斎を見ていますが、また新たな発見があってとても面白かったです。