今朝、朝日新聞を読んでいたら、こんな記事を発見。
”感染対策で入場料「最高」に 東京国立博物館の特別展”
10月6日から上野の東京国立博物館で開催される特別展「桃山―天下人の100年」の一般入場料が2400円になると。
昨年、確か2018年秋から翌年にかけて上野の森美術館で開催されていた「フェルメール展」は一般2500円だった気がするが、2000円超えると「高い!」なぁ。
東京国立博物館の特別展で2400円というのは、東京国立博物館の特別展の入場料としては過去最高額、らしいが。
う~ん、いくら考えても、いや考えなくても高いな。
”「桃山」展は安土桃山時代の美術を紹介する展覧会。コロナ禍のため、日時指定制で入場者数に上限を設けていて、当初見込みより入場者数が減るとみられる。”
このコロナ禍、今までのようなぎゅうぎゅうの会場での鑑賞を止め、人数を制限してゆっくり落ち着いて見られるようになるだろう、そのためには多少に値上げは仕方がないとは思っていたが、ちょっと高いなぁ。
もし、他の展覧会や美術館、博物館も同じように料金をあげてくるとしたら、今までのように、ちょっと興味あるだけでは気軽に訪れることが出来なくなるなぁ。
こうなると主催者側はもっと痛いのではないか、と思う。
実際、この特別展は興味はあったけど、ここのところの首都圏の感染状況、この料金に見合うほど心が動かされないので、見には行かないと思う。
こんな日本の状況を憂いながら、昨日すごくいいなぁと思ったのは、ミラノのPinacoteca di Brera(「ブレラ絵画館」以下ブレラ)の試み。
日本では知られたいないけど、イタリアでは非常に有名な美術史家が先日癌でなくなった。
Philippe Daverio(フィリッペ・ダヴェリオ)
Rai 3で日曜日の午前中だったかなぁ?放送されていたPassepartoutという番組で彼の存在を知ったのだが、独特の風貌と話し方が非常に印象的だった。
美術関係の著作も多数有り、私も数冊持ってはいる。(読めてはいない。)
ミラノに非常にゆかりの有った彼の構想でもあるそうなのだが、ブレラは15日から「入場券」を廃止すると決め、「ビジター」をなくすと決めたそうだ。
と言っても入場できなくなるわけではない。
なんのこっちゃ?
現在ブレラは事前予約の入場制限を設けて拝観者を受け付けている。
では何が変わるのか、というと今までの1回限りの入場券を廃止し、今までと同じ入場券1回分の料金で、一年間いつでも、何度でも拝観できる言ってみれば「年間パスポート」のような制度を取るとのこと。
更にこの「パス」でBrera Plusとブレラの特別のサイトにもアクセスできる。
このサイトはブレラの収蔵品が見られるだけでなく、最新の研究結果や特別展の動画や調査などを見ることも出来る。
またこの年パスを持つ人、「会員」になれば、コンサートや講演、催しもの(毎月第3木曜日)に参加する事が出来たり、ガイドツアーや専門家や俳優、作家とのオンラインミーティングに参加出来たりオンラインでブレラの修復工房が見学出来たりと太っ腹な特典が色々ついてくるらしい。
ちなみに2020年9月15日から12月31日までは入場無料で、2021年からは今までの入場料を一度だけ払えば良いようだ。
イタリア初の試みでブレラは、美術館のコンセプトを変えるようと考えている。
「一度きりの『訪問者』は何も語らないけど、『会員』になってもらえば、色々な意見を聞くことが出来る。」
今までにように一度しか入れないとなると、とりあえず有名どころだけ抑えてとか、限られた時間に足早に作品の前を通り過ぎることしかできなかったけど、これからは例えば「今日はこの1枚」とじっくり作品に向かい合うことが出来るようになるだろう。
洪水のような拝観者を受け入れるのではなく、もっと美術にゆっくり、じっくり向き合ってもらいたいということが根底にはある。
この企画の詳細はブレラのオフィシャルサイトに随時掲載されるようだ。
https://pinacotecabrera.org/
ブレラは新型コロナウィルスの影響で、300万ユーロの損害を被っている。
それなのにこの決断。
片や2400円。
美術館や美術に対する姿勢の違いを思い知らされる。
さて、明日はようやくロンドンナショナルギャラリー展、行ってきます。
参考
https://www.milanotoday.it/attualita/brera-soci-biglietti.html
最新の画像[もっと見る]
- お札に描かれた人物ー国立公文書館 4ヶ月前
- お札に描かれた人物ー国立公文書館 4ヶ月前
- お札に描かれた人物ー国立公文書館 4ヶ月前
- お札に描かれた人物ー国立公文書館 4ヶ月前
- お札に描かれた人物ー国立公文書館 4ヶ月前
- お札に描かれた人物ー国立公文書館 4ヶ月前
- 金刀比羅宮 特別展「お待たせ!こんぴらさんの若冲展」ーその1 2年前
- 金刀比羅宮 特別展「お待たせ!こんぴらさんの若冲展」ーその1 2年前
- 金刀比羅宮 特別展「お待たせ!こんぴらさんの若冲展」ーその1 2年前
- 金刀比羅宮 特別展「お待たせ!こんぴらさんの若冲展」ーその1 2年前
今回の東博は特別展なので比較はどうなのでしょう。特別展は収支見込みが赤字なら開催されなくなりそうですが。
コメント及びご指摘ありがとうございます。
確かにご指摘いただいた通り、常設展と特別展・企画展を同じ土俵に乗せるのはいかがなものかと思いますし、日本と海外の博物館・美術館では状況も異なるとは思います。
ただ、最近古賀太氏の「美術展の不都合な真実」(新潮社)を読んで、日本の企画展などの内情を知りました。この本を読むと、企画展の値段を上げるだけではなく、何か他に方法があるのではないかと思いました。
特別展が開催されなくなくような状況に陥ることだけは避けて欲しいものです。