フィッシャーテクニックのブロックキット

知育玩具・技術教育教材として優れたフィッシャーテクニックのブロックキット、キットの組立方法・新製品情報などを紹介します。

フィッシャーテクニックのロボットキット変遷 1985年~ 

2014年10月29日 | ロボット
■1985年世界で最初にマイコン制御ロボットキットを発売!
1985年世界で最初にフィッシャーテクニックがマイコン制御ロボットキットを発売して本年で30年を迎えます。(レゴマインドストームの発売は1998年)最初に発売された商品はロボット2種とプロッターでした。レベル的にも内容的にもほぼ30年が経過した現在でも十分に通用するものです。マニュアルはこちらからダウンロード可能です。


パッケージのパソコンが時代を象徴しています。当時の対応パソコンはコモドール・IBM-PC・アップルⅡ・Amegaなどで言語はPascalとBasicでした。内容は今日から見てもそれなりのものです。2年後の1987年に学習キット「Computing Experimental」が発売されました。
  

1988年にこのComputing Experimentalの紹介記事がAppleⅡの雑誌だったと思うのですが掲載されているのを読んで興味を覚え購入できないかと調べましたが日本に代理店は無く国内では入手不可でしたので直接フィッシャーテクニックに手紙を書いて購入を希望すると代理店の教材会社を紹介してくれたのでそこから各ロボットキットを数台購入しました。(当時の購入価格は1台150マルクで日本円で15000円弱でした)ただパソコンは当時NEC-PCが全盛の時代でしたのでIBM-PCパソコンが手に入らず、せっかく買ってもすぐには使える状態ではありませんでした。そこでフィッシャーのロボットのために50万円ほどした三洋のAXパソコンを購入してやっと動かすことができました。マニュアルが英語版でしたのでこれを和訳しBASICの勉強もかねてじっくり取り組みました。1年間ほどフィッシャーのロボットキットに夢中になり仕入先や取引先の方が会社にこられるとその度ごとに自慢して見せたものです。

  
組み立てたモデルは現在でも健在ですが肝心のAXパソコンを処分してしまったので動かすことができません。使わなくなったWindowsパソコンにフロッピーディスクドライブを取り付けて動かしてみようと思いながらそのままになっています。
 
 

その後1991年に学校向け教材として「Profi Computing」が発売されました。(残念ながらこの機種は購入していません。)この段階までは言語はBasicとPascalでしたが学校での限られた授業時間内に習得させることが難しいということでもっと簡単に学習できるプログラム言語が必要との要望に答えるためにフローチャート式にプログラムが組み立てられるプログラム言語Lucky Logicが開発されていきます。
 

■学校向けにプログラム言語Lucky LogicおよびLucky Logic for Windowsを開発
1991年にフローチャート式にブロックを並べるだけでプログラムが作れる最初のDOS版Lucky Logicが発売されPascalやBasicに代わる学校向け言語として提供されました。1994年にWindows対応の試作版LLWIN2.04が開発され「PROFI COMPUTING」にも搭載されました。そして1998年に正式にLLWIN2.1として発売されその後改良されて2000年にはLLWIN3.0として完成しました。
   

最初に開発されたLucky LogicとLLWin3.0でのプログラミング例。LLWin3.0になると誰でも簡単にプログラムできるようになりました。
 

■1998年シリアルインターフェイスとコンピューティングシリーズの発売
そして1998年以降ソフトウエアLLWINの充実とあいまって「ロボット入門」、「自走ロボット」、「産業ロボット」、「空気圧ロボット」、「バイオニックロボット」、「自走ロボットⅡ」が順次Computing ラインとして発売されていきました。

     

■2005年Roboインターフェイスと新ソフトウエアRoboproの発売
2005年に従来の8ビットマイコンに代わって三菱の16ビットマイコンMC16を搭載したRoboインターフェイスが開発されそれに対応する構造言語型のソフトウエアROBOPROも発売されました。
 

そしてこの新ソフトウエアに対応したロボットキットとして新しく「Robo自走ロボット」から「Robo空気圧真空ロボット」までが順次発売されました。
 
 

■2009年高性能小型インターフェイス「Robo TX Controller」の発売
2009年に32ビットマイコン使用の新インターフェイスが発売されました。32-bit ARM 9 processor(200MHz)を搭載し内蔵メモリーは 8MB RAM および2MB Flash付で通信はBluetooth 対応で128×64 pixel 液晶画面付でサイズも小さく90×90×15mmで重さも90g、拡張端子としてI2C,RS485付です。正に最先端の高性能プロセッサーで任天堂DSなどに使用されているのと同じものでした。将来の画像処理を念頭においているものと思われるカメラジャックもついていますがまだ対応カメラは発売されていません。インターフェイスの小型化でロボカップジュニアの大会に出場できるサイズのロボットが組み立てられるようになり世界的に一挙に販売台数が増えたようです。
 

そしてこのTXコントローラーに対応したロボットキットとして2009年に「Robo TX Training Lab」が発売され、2010年には「Explorer」も発売されました。いずれのキットもベースはRobo入門キット・自走ロボットキットおよびRobo探査ロボットと同じでこれらをTX用にアップグレードしたものです。2011年には「RoboTX産業用ロボット」が2012年には「RoboTX空気圧ロボット」が発売されました。
 
 

■2014年より高性能な「Robotics TXT Controller」の発売
そして2014年11月にはTXコントローラーをより一段と高性能でUSBカメラも搭載可能にしたTXTコントローラーとこのコントローラーを搭載したロボットキット「Robotics TXTディスカバリーキット」が発売されます。
 

以上が1985年から今日に至るまでのフィッシャーテクニックのロボットキットの歴史ですがマイコンの高性能化に合わせてほぼ5年毎に新しいインターフェイスが発売されてきています。フィッシャーテクニックはロボット玩具メーカーではありません。あくまでも技術教育教材としてのブロックをベースにおいて子供たちがブロックを通じてものづくりに興味を抱き、その独創力・創造力を向上させ、また作り上げたものを手動・電動・ラジコン・コンピューター制御で実際に動かすことでその背後にある駆動・制御技術や理論を学習していくきっかけになればと望んでいるのです。
そのポリシーはあくもでも Learn about technology while playing 遊びながら技術を学ぼう!です。


2014.10 以前に記載したブログの内容を少し修正して書き直しました。
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2011年新製品 Robo TX 産業用ロボット

2011年09月05日 | ロボット
■Robo TX 産業用ロボットキット
本年度の新製品としてTXコントローラー対応の「Robo TX 産業用ロボットキット」が発売されました。

このキットで製作可能なモデルは4種類で
●グリッパーロボット
●ラック収納ロボット
●グリッパーが回転するロボット
●3軸ロボット
RoboTX automation robot


この中から自動倉庫型の「ラック収納ロボット」を組み立てて見ました。
■ラック収納ロボットの動作
これは自動倉庫ロボット或いは前回製作した「駐車場ロボット」の簡易版のようなロボットです。
ロボットの動作としては所定の位置にあるワークをフォークでピックアップしてプログラムで定められた1番から6番の収納位置にこれを搬入したり或いは逆に所定保管位置にあるワークをピックアップして搬出してきます。

■プログラムのダウンロードとディスプレイ表示
場所指定は次のようにプログラム上では「スライダー」を使って行います。


ただダウンロードを前提にする場合TXコントローラーのディスプレイに表示できるようにスライダーはTX Dislay上に作成します。(マニュアル TXコントローラー上の画面設定を参照)作成したプログラムをPC画面で動かすと次のようにLCD Displayが表示されますのでF1・ F2を長めに押すことでスライダーを動かし値を設定します。


次にプログラムをTXコントローラーにダウンロードした場合は「スライダー」が写真のようにディスプレイ画面に表示されますので左右の赤ボタンを長めに押すことでスライダーを動かして値を設定します。


■PC画面からの無線操作
勿論bluetoothを使ってPC画面からロボットを無線操作するだけであれば従来通りの入出力要素を使ってスライダー・テキスト表示を利用してプログラムを作れば事足ります。その際はプログラムの画面表示は次のようになります。(但しこのプログラムはダウンロードしてもスライダーは表示されません。)


組立終えたロボットです。位置決めは実際に動かしながらエンコーダーの値を修正しています。
 

動きはここからご覧になれます。


■グリッパー回転型2軸ロボットの制作
次にグリッパーロボットを組み立てました。
グリッパーが90度回転するのでつかんだワークを縦置きにしたり横置きに変えたりすることができますから先日の搬入・搬出ロボットとセットにしてワークを所定位置に置いたり、所定位置のワークを回収したりするのに使えそうです。
 
実際に行ってみるとスペースが狭すぎてグリッパーをうまく回転させることができませんでした。
少し工夫がいりそうです。

サンプルプログラムによる単体の動きはここからご覧になれます。






2011年新製品 Dynamic 力と運動学習キット

2011年08月25日 | ロボット
本年度のフィッシャーテクニックの新製品Dynamic(日本名 力と運動学習キット)が入荷したので
早速組み立てました。

内容的には前半は力学の基礎を簡単な実験をして学習するもので重力・運動方程式・加速度・位置エネルギー・運動エネルギー・エネルギー保存則・重力と遠心力・エネルギー変換・摩擦と抵抗・衝突と運動量などを学ぶ内容になっています。そして後半はその応用としてオリジナルのループ・スライダーを製作して金属球の動きを楽しむ内容になっています。

磁石を使ったホルダーをつけた駆動チェーンで金属球を最上部に持ってきてそこからリリースして途中交互切替ゲートや金属球の重さを利用して開閉するゲートなどを取り付けて動きを楽しめるようになっています。またループがあって金属球がループを回転するようにもなっています。
 



動きはYou tubeに掲載しましたのでここからご覧になれます。



Microsoft Robotics Studio

2011年05月04日 | ロボット
マイクロソフト社の提供しているロボットアプリケーション開発ツールMicrosoft Robotics Studio(MSRS)にフィッシャーテクニックのロボットキットも対応しておりますのでこのソフトウエアを使ってロボットの制御ができます。ここで簡単にフィッシャーの場合について説明しておきます。(フィッシャーのホームページには解説マニュアルがダウンロードできるようになっていますが残念ながらドイツ語のみです。)
この記事は未完です。

Visual programming languageのスタート画面は

その中に搭載されているフィッシャー専用サービスは

Basic activitiesとserviceの組み合わせでプログラムを作っていきます。










Robo Cup Junior ダンスロボット

2011年04月13日 | ロボット
ロボカップジュニア用に参考例として製作したのがこのダンスロボットです。

その特徴は前にも書いたように
●RF DATA LINKを使って2台の動きを同調させていること
●位置決めのためにセンサーを使用。腕の動きは磁気センサーでチェック、ロボットの向きは方位センサーで、2台の間隔は超音波センサーでチェック。
●ステップは前進・後退・右半回転・左半回転・右1回転・左1回転の6種でその中に手の動きを加えているだけですのでダンスステップとしての躍動感にかけていますのでこの点は大いに改善の余地ありです。ダンスロボットの動きはここからご覧いただけます。

今回はこのダンスロボットに使用したセンサーについてです。
●磁気ブロックと磁気センサー
フィッシャーテクニックには2種類の磁気ブロックがあります。

これらと磁気センサー(リードセンサー)との組合せで活用しますが磁気センサーは非接触の入力スイッチになりますので動きのあるものに取り付けられるので便利です。ダンスロボットでは手の先に磁気ブロックをとりつけ腕の振りをチェックするのに使っています。


●方位センサー これはフィッシャーの純正部品ではありません。ロボカップ用に開発されたオーストラリアのWiltronics社のRoboBall Compass Sensorです。1kΩの抵抗を取り付けることで簡単に9Vに対応出来るようになっています。ただ方向性という点ではある程度の許容範囲をもたないとロボットは停止してくれませんので厳密な方向性は求めにくいです。一応A1の値が北方向で390なのでプログラムとしては390以上になるよう設定しています。このプログラムを使ってサッカーロボを動かしました。左右においても指示方向に戻ります。ビデオはここからご覧ください。
 

●超音波センサー これはフィッシャーの純正部品でRoboインターフェイスにもアナログ入力としてD1、D2と2個まで取りつけが可能です。これは2線式でcm単位でチェックできます。ダンスロボットでは間隔が20cm以上30cm以内になるようにプログラムしました。
   
   
ロボットでは男性側のロボットに取りつけました。



●タッチセンサー 動きの限界にこのタッチセンサー(リミットスイッチ)を使用しています。これは最後の礼をするときに頭の下がる位置のリミットに使用しています。


センサーとしては以上の4種類ですが方向性を求めるのであれば床にラインを引いてその上をIRセンサーを使ってトレースさせた方がよいのではないかと考えております。近々トライしてみます。



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フィッシャーテクニックをPICで動かす

2010年03月25日 | ロボット
<はじめに>
フィッシャーテクニックで作成したモデルをPICマイコンで動かしてみます。使用するボードはイギリスで発売されているPICボードです。モーター駆動が9Vですのでフィッシャーのモデルを動かすのに最適です。

使用したボードと回路図 PICはPIC18F84Aを使用。
 

●これはフィッシャーテクニックとセットで販売されていたイギリスEconomatics社のPICボードで上のボードとは異なります。もともとは教材として基盤作りから自作できるようになっていましたので非常にすばらしい教材でしたが残念ながら現在は発売されていません。また差込ソケットがソフトになっていてピンをいためずにはめたり外したりできます。エレベーターモデルです。
 

●これはフィッシャーの産業ロボットⅡにある溶接ロボットをPICで動かすモデルです。
2個のモーターと電球およびデジタル入力5個(リミット2個・パルスカウンター2個・スタートスイッチ1個)で構成されています。動画は「こちら」からご覧になれます。


●これはXYプロッターのようなモデルで金属板を磁石で吸上げそれを所定の位置にもって行き再び持ち帰るという内容のプログラムになっています。動画は「こちら」からご覧いただけます。
 

●これはプレス機です。回転と上下動の2モーター出力とデジタル入力4個(リミット3個・スタートスイッチ1個)で構成されています。いずれもマイコンは6Vでモーターは9V駆動です。


<工業高校でのご活用>
実際数校の工業高校でPIC用基盤の製作からPic Assemblerによるプログラミングまでを学習する際の動作対称としてフィッシャーのロボット入門や産業ロボットなどを購入していただきご利用いただいている例がおります。


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