フジサキヒロカズ@音楽づくり

暮らしと地続きの音楽をつくる

『ミニマル/コンセプチュアル』@兵庫県立美術館 に寄せて

2022-07-03 18:57:00 | 日記

521日に記す。

兵庫県立美術館で『ミニマル/コンセプチュアル』の作品を観ていたら、スティーブ・ライヒやジョン・ケージあたりの音楽が聞こえてきそうになった。彫刻も絵画も音楽も、人間の表現という地平において地続きなのだと実感した。すべて人間の営為/人間が考えて行うことだと考えれば、現代美術は、ものすごく身近だ。


「コンセプチュアル」であることを省みる。

私は頭でっかちの音楽になっていないか。音楽は、脳か身体か、どちらに棲んでいるのか。どちらにも棲んでいる。脳に偏りすぎるなよと気分を戒める。アートで言われる」コンセプチュアル」にしても、頭でっかちであろうという理念では全くないはず。


展示の最後のセクション「芸術と日常」の、2人の彫刻家のメッセージが刺さった。ホームで電車を待ちながら今も暗唱している。












「さんてんどめ」ミュージックビデオに寄せて

2022-07-02 06:56:00 | 日記

627日の月曜日。朝食前に鉄弦ギターを弾くと曲の断片が現われた。朝食後に再びギターを持つと曲の断片が更に増えた。曲の全体像が見え始めた。

朝のゴミ出しのために外に出た。玄関先の植え込みに蜘蛛の巣を見つけた。張り巡らされた蜘蛛の糸が陽光に反射して美しかった。歌詞の着想はそこから。蜘蛛の巣を観察してから家に戻り、場所を変えて三たびギターを持った。カポタストを嵌めてキーを変えて歌うと別の世界が見えた。別世界が見えたこのキーに定めて歌うと、途端にメロディーが固まった。カポタストの魔法。曲の骨となるメロディーは録音前に書きあげた。事前にメロディーを作曲したのは数カ月ぶり。作曲は新鮮だった。


「さんてんどめ」歌詞

さんてんどめ 三点留めが

最低条件 私の住む場所


ゆらゆら ひそひそひそ ゆ

ひそひそ ゆらゆらゆら ひ


平べったくない 立体でもない

落ちないように ゆっくり 素早く


ゆらゆら ひそひそ ゆ

さんてんどめ




即興音日記#163「ひたすらおちる」ミュージックビデオに寄せて

2022-07-01 08:10:00 | 日記

618日土曜日の午後。濃い色の曇天。即興作曲を牽引してくれそうな素材を探そうとギターを弾いていた。すると突然激しい雨が降ってきた。窓を開けていたのでギターの音が雨にかき消されてしまうほど。その中で弾いているうちに、この曲で使う言葉を、雨と落ちる、この二つに決めた。


163曲目の即興音日記。いつも通り、メロディーも詞も曲構成もすべて即興。その場で作曲しながら歌っていく。次どうする?と私の脳が、指とギターに尋ねながら土砂降りの雨音を聞きながら歌っていく。一度だけ録画したあとで聴き返し、すぐに多重録音で自分の即興に即興で応えていった。


即興で歌いながら耳に入ってくる雨の音。あまりの激しさに、土砂降りの雨が生きているように感じた。雨が意思をもって一心不乱に降っているよう。だからタイトルの英訳は"It rains single-mindedly"。こんな英語は無いと思うが、ネイティブに笑われたって別に構いはしない。


叩きつけるような雨音は凄まじかった。雨音のオーケストラとギターと声。暮らしと地続きの音楽。日々の暮らしの中にそれが在るのなら、要らない音はひとつもない。改めてそう感じた。




即興音日記#162「さがしざわざながわら」ミュージックビデオに寄せて

2022-06-30 11:09:00 | 日記

525日の夕方。帰宅しても仕事は続く。合間に、息抜きをしようとクラシックギターを弾く。

指と弦のファーストタッチ。注意深く丁寧に最初のコードと次のコードを弾いてみる。いくつかの組み合わせを試してみる。いつも、いままでに弾いたことのないコードを弾くこと、繋げたことのないコード同士を繋げること、この二つをできるだけ心掛けている。

今日の、最初の二つのコードが繋がった瞬間、ああこれは音楽になると直感した。コードと鼻歌を少し絡めてみた。これはいける。


さあ整った。いつものように、ここが即興音日記の始まり。この二つが美しく繋がると、弾みで、導かれるようにそのあとの展開が生まれてくることがある。今日はすこぶる滑らかに繋がりが生まれてきた。歌詞も思いつくまま、即興的に60秒ほどで紙に書き留めた。敢えて、歌詞とメロディーを合わせる作業はしない。


162曲目の即興音日記。いつも通り、メロディーと曲構成は私の指と脳の気の向くまま。曲の着地点も決めずにいきなり動画を撮る。演奏はこの一度きり。ギターを弾きながらその場で作曲していく。歌詞を2回繰り返したが、もはや1回目のメロディーは覚えていない。始点から終点へ向けて、ただその瞬間に私が美しいと思った音を繋げていくだけ。これでいいと思ったところでギターを置く。

録った動画を見返して、今回は後追いの即興多重録音は要らないと判断した。


タイトル「さがしざわざながわら」はミュージックビデオを作りながら決めた。言葉遊び。歌詞から「さがしながら」「ざわざわ」の2語を選び、好きな響きになるよう切り貼りした。




イマソトノオトヲ#21「母の音20220612」ミュージックビデオに寄せて

2022-06-28 19:39:00 | 日記

春から夏にかけて。外気が心地よい季節。

仕事に追われていない週末は、屋外即興作曲「イマソトノオトヲ」を試みたくなる。

612日の日曜日。既に空が白んでいる朝4時過ぎに起き出して静かにクラシックギターを弾いてみる。次第に曲になりそうなモチーフが幾つか現われてくる。書いたモチーフを携えて今朝6時に家の裏へ行き、いきなり録画。声を出していると、声に意味が欲しくなってきた。

歌詞を書いた。この曲は、日本語の母音あいうえおだけで歌詞を構成する「母の音」シリーズにしようと思った。あおい、あい。

歌詞は書いたがメロディーは一切作曲せず、朝10時過ぎにベランダに出て、屋外即興作曲に臨んだ。

今朝6時と10時、2回の演奏の動画を会わせてミュージックビデオを編集した。


「母の音20220612」歌詞

あおい あい

青い愛

あう うえ

会う 上

おおう あい

覆う 愛

いう いう

言う 言う

えいえいおお

エイエイオー

おおい おおい あい

おーい、おーい、愛

あう いう おう

遇う 言う 追う

あおい あい

青い愛


イマソトノオトヲとは

-私が屋外で即興作曲し、それを録画するプロジェクト。201810月に開始。

以降、断続的に屋外での即興作曲・即興演奏を録ったミュージックビデオを制作しつづけている。

“ima-soto-no-oto-wo” is a music project where I improvise and record it outdoors. Started in October 2018. 

Since then, I have been producing music videos that record improvisational compositions and improvisations outdoors intermittently.


-「母の音20220612」は、プロジェクトの21曲目。