番狂わせ【ばんくるわせ】
予想外のことが起きて、順序が狂うこと。勝負事などで、予期しない結果になること。
「シード選手が初戦で敗退したのは-だった」
スポーツなどで互いの実力が明らかに劣る側が勝利することを「番狂わせ」と言います。
ジャイアントキリングという言葉があるように、サッカーは番狂わせが起きやすいスポーツとして認知されています。
サッカーは普通たくさん得点を取るような競技性はありません。日本代表のようにシュート数と得点も比例しませんので、強いチームがたくさんシュートしても必ず得点が入るとは限りません。逆に弱いチームが少ないチャンスをものにできることもあります。ですから、例えば天皇杯予選のようにJ1のチームがJFLのチームに敗けてしまうということが起こったりします。
1996年のアトランタオリンピックで、サッカー日本代表が格上のブラジル代表を破った試合「マイアミの奇跡」と呼ばれていますが、まさに番狂わせです。
同じく野球も番狂わせが多いスポーツと言われています。
2010年パ・リーグのシーズン3位だった千葉ロッテマリーンズが、クライマックスシリーズ、日本シリーズを勝ち下剋上と言われ、また、2014年セ・リーグ2位の阪神タイガースはクライマックスシリーズで読売ジャイアンツに4連勝して日本シリーズに出場したことなどは、番狂わせと言っても良いでしょう。
逆に番狂わせの起きにくい(あくまでも、起きにくいですから)スポーツもたくさんあります。
バスケットボール、バレーボール、ラグビーやテニスなどです。
その中で記憶にもまだ新しい2011年に行われたスイス・インドアーズ・バーゼル・テニス男子シングル。準決勝で日本の錦織圭選手(当時世界ランク32位)がセルビアのノヴァク・ジョコビッチ選手(当時世界ランク1位)と対戦しました。この年のジョコビッチ選手は絶好調で決勝進出は確実と見られていましたが、結果は錦織選手が逆転勝ちしました。この試合はATP(男子プロテニス協会)が選ぶ「2011年の番狂わせゲーム」の一つに選ばれています。
さて、高校野球史に残る大番狂わせと言われているのが、2001年(平成13年)の和歌山大会一回戦和歌山工高対智辯和歌山高の試合です。
組み合わせ抽選会で主将でエースの山本芳彦さん(元;広島東洋カープ)が、開会式直後の第一試合で智辯和歌山高と対戦することをチームに告げても、誰も信じなかったそうです。それもそのはず、春季大会の対戦でコールド負けしていたばかりだからです。
試合は中盤まで0-0のまま。
6回裏、和歌山工高の先頭バッターが2ベースを放ち、次バッターが送りバント。この時、一塁上で野手とバッターランナーが交錯し、ボールが転々とする間に和歌山工高が先制。その後も、打ち取ったような当たりがヒットとなり4-0とリードしました。
一方の智辯和歌山高は8回表に武内晋一選手(現;東京ヤクルトスワローズ)のタイムリーで1点を返すだけ。
終盤に得点を追加した和歌山工高が5-1で勝利して、1996年から5年連続で和歌山県代表が続いていた智辯和歌山高が初戦で敗退するというニュースが全国にも流れたのは、記憶にあると思います。
高校野球で「番狂わせ」というのは、相手チームにとってちょっと失礼な言い方かも知れません。相手も同じ高校生ですから。
それでも、毎年、本命・優勝候補と目されているチームが姿を消して行きます。
そのパターンは一回戦、初戦のケースが多いように思えます。
それはプレッシャーなのでしょう。絶対に負けられない、勝って当たり前、というプレッシャーに押し潰されたのでしょうか。
もちろん、勝ったチームの実力も認めなければなりません。
強いから必ず勝つのではない。だから、面白いのです。