甲子園大会には大学の系列校が出場することが多いです。
今年も南北海道・北海高、岩手・盛岡大付高、山形・日大山形高、茨城・土浦日大高、東東京・二松学舎大付高、西東京・東海大菅生高、山梨・山梨学院大付高、愛知・中京大中京高、岐阜・大垣日大高、兵庫・神戸国際大付高、奈良・天理高、佐賀・早稲田佐賀高の12校が出場します。
甲子園での最多優勝回数11回(夏7回、春4回)を誇る中京大中京高をはじめ古豪の高校は、後から大学の系列になるところも多く、中京大中京高は中京商高から中京高と名前を変え、1995年に中京大学の付属校になりました。夏の大会出場33回、優勝3回の京都・平安高は2008年に龍谷大学の付属校に、大阪・浪商高は1998年に大阪体育大学、大阪・北陽高は2008年に関西大学の併設校になりました。
また、総合大学の多くにも系列校があり、北海道・駒大苫小牧高(夏7回、優勝2回)、東京・帝京高(夏12回、優勝2回)、神奈川・慶応高(夏17回、優勝1回)、神奈川・東海大相模高(夏10回、優勝2回)、神奈川・法政二高(夏9回、優勝1回)、兵庫・東洋大姫路高(夏12回、優勝1回)、兵庫・関西学院高(夏7回、優勝1回)、大阪・近大付(夏4回)、千葉・拓大紅陵高(夏5回)、東京・早稲田実高(夏29回、優勝1回)、東京・明治高(夏3回)、京都・立命館宇治高(夏2回)、東京・国士舘高(夏1回)、愛知・東邦高(夏17回)、愛知・愛工大名電高(夏10回)などです。
さて、ここまで簡単に「系列校」と一括りにしていましたが、正確には「系列校」と「附属校」の2つがあります。
「系列校」というのは、大学の関連校のことを言います。大学を経営している法人とは別の関連法人などが経営していて、その大学への無試験進学が認められていない学校を指します(推薦枠はあります)。
「付属校」は、大学と同じ法人が経営しているため、大学との関係性が強く、無試験で内部進学できる可能性が高くなっています。
これらの中で、甲子園一大勢力を誇っているのが日本大学と東海大学になります。この夏でも日大系列では日大山形高、土浦日大高、大垣日大高の準付属校(以前、ここに日本大学系列校のことを書いてあります。http://blog.goo.ne.jp/full-count/e/5d458ff3283b67cc6b4445b23ede58a4)が出場します。東海大系列では提携校の東海大菅生高です。
日本大学の系列高校は女子高を除くと全国に21校あり、そのうち甲子園に出場したことがあるのは18校になります。甲子園出場回数の合計は次のとおりです。
133回出場(夏85回、春48回) 4回優勝(春2回、夏2回)
日大系列では東京・日大三高が春1回、夏2回優勝しています。奇しくも、同系列の強豪・早稲田実高とは同じ西東京に属しています。ここに、東海大菅生高が絡んでいるので、西東京大会は面白いです。
また、今年、初出場の佐賀・早稲田佐賀高は校名のとおり、早稲田大学の系列高校でユニフォームのデザインも同じです。まったく、名前を聞くことはありませんでしたが、設立されたのは2010年になります。早稲田大学の創設者大隈重信さんが佐賀県出身であることから「佐賀に早稲田の系列校を」という気運が生まれたそうで、その念願がかない同大学創立125周年記念事業として開校されました。
東海大学の系列校は全国に13校あり、このうち12校が甲子園に出場した経験があります。唯一、甲子園に出場していないのが東京・東海大高輪台高ですが、今夏は東東京大会の決勝まで進出しています。甲子園出場回数の合計は次のとおりです
87回出場(夏48回、春39回) 優勝4回(春2回、夏2回)
ちなみに、この優勝はすべて東海大相模高のものです。今年も決勝まで勝ち進みましたが、横浜高に敗れものの、強豪の多い神奈川県ではトップクラスの実力校です。なお、東海大学には付属校に準ずる扱いをしている別学校法人運営の連携・提携校が3校あります。正確には付属ではないですが、付属校と同じ扱いになっています。
東海大学付属甲府高校(学校法人東海大学甲府学園)、東海大学山形高校(学校法人東海山形学園)、東海大学菅生高校(学校法人菅生学園)
この中の、東海大甲府高は1957年に前身の山梨商業高が創立。その後、東洋大学と提携し、東洋大学第三高となりますが、東洋大学の学園紛争が原因で提携解消し、1974年に学校法人東海大学の傘下に入り、東海甲府高として発足。1977年に東海大学甲府高に校名変更し、2014年から東海大学付属甲府高に校名変更しています。提携大学を変えた、珍しい例です。
大学の系列校が強さを発揮するのは練習環境が充実していることと、系列の大学野球部で実績を残した人材が指導していることなどが考えられますが、教育に力を入れている大学もあります。
参考までに、長野・松商学園高は学校法人松商学園が経営していますが、高校が大学(松本大学、松本大学松商短期大学部)を経営しています。