野球小僧

「教育者」としての高校野球監督

中学、高校の部活動について、文部科学省が4月から外部人材を単独で部活動の指導、引率できる「部活動指導員」を学校教育法に基づく学校職員に位置付けました。理由は、問題化している教員の長時間労働、多忙の軽減にあります。

中体連主催の大会では、顧問の教員が引率できない場合、他校の教員が代わりを務めるのは認められていますが、外部指導者の引率は認めていません。部活動は学校の教育活動で、民間のクラブチームの活動などと一線を画すというのが理由です。文科省通知を受け、中体連は学校職員の立場となる部活動指導員に限って引率を認めることを検討しており、2018年度の全国大会で引率できるようになるかも知れないとのことです。各都道府県の中学校体育連盟が主催する大会はそれぞれが判断するそうです。

一方、全国高等学校体育連盟も部活動指導員による引率について議論しているとのことです。
さて、高校野球で言えば大会への引率が責任教師に限られていましたが、それが外部指導者の部活動指導員になればOKになります。日本高校野球連盟は、まだ具体的な論議は行ってようですが、今後、スポーツ庁や各都道府県教育委員会などの意見も聞いたうえで審議に入るそうです。「現場には外部指導者だけではなく、学校に勤め、より生徒の様子が分かる実習助手や非常勤講師もいる。指導員の範囲をどこまで広げるのかといった論点もある」とのことです。

全国約3900校の硬式野球部監督で、教員や職員など学校に籍がない外部指導者は約5%で、200人以下だそうです。今年の選抜高校野球に出場した32校の監督も23人が教員で、残る9人のうち6人は学校職員で、他に生業を持つ外部指導者は3人だけでした。これがコーチにまで広げたとしたら、どんな割合になるのかは分かりませんが、外部指導者が増えることは確かでしょう。

ということは、「教育の一環」とする高校野球にあって、監督・コーチは教育者でなくてはならないということになります。より、外部指導者の資質が問われることになります。

「教師だけが教育者ではない。教室だけが教育の場ではない」と語ったのは、元高野連会長の佐伯達夫さんです。

1961年に夏の甲子園大会に出場したピッチャーが敗戦直後にプロ入り表明した事件で、所属していた高校が1年間の対外試合禁止となりました。処分に際し、国会から参考人として呼び出された席上、「教育者でもないのに教育の一環である高校野球を指導しているのか?」と聞かれたのに対して答えたものです。

「学校の先生が教育者であって、先生じゃない者は教育者じゃないというものの考え方は間違っているんじゃないか」「校長や野球部長、県の体育関係者、それから野球人が寄って、相談して事をやってきておる」

「野球のコーチというものは、寺子屋の師匠のようなものだと言ったのは、学生野球の父と呼ばれた飛田穂洲さんです。

「グラウンドというものは学校の教室のように冷たいものではない。(中略)呼吸も相通ずれば、手も触れあう。そこに自然の情愛がわく」「そして教え子との縁について<いつまでも親友たる関係が続けられる。これがコーチの余徳と言うてよい」

この夏の甲子園に、真逆の高校野球教育論を持つ2人の監督が出場しました。明日から2日間にわたって紹介したいと思います。

でも、どちらも教育者であることに違いはないと思う。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
部活動を担当している先生の大変さは身に沁みます。なんだかんだ言っても、日本の部活動は勝つことにこだわっている限りは今の状態から大きく舵を切ることはないでしょう。

やっている生徒や保護者からしてみれば、勝ちたい。一日、二日くらい休んでも、大きく技術は進化しない。でも、やっていないと不安という心理があるからでしょうね。

ただ、今となっては、ただただ感謝するだけですが。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

親類に学校の先生がいて、友人にも沢山先生がいます。
部活の大変さはよく聞かされていました。
ただ私には何も出来ませんでしたが・・・
(保育士も大変ですよ~~~!!!)

>「教師だけが教育者ではない。教室だけが教育の場ではない」
 ↑名言ですね。

ただ、今の御時世むやみに声をかけられないのもありますが。。
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