野球小僧

第7回 アントワープ・オリンピック競技大会(1920年)

本来でしたら1年前の2020年に開催される予定だった東京オリンピック。そのちょうど100年前、1920年に開催されたオリンピックが、第7回アントワープ大会(ベルギー)になります。

そのころの世界は、「スペインかぜ(H1N1新型インフルエンザウイルス)」が世界中で流行していました。2020年3月に世界保健機関(WHO)が「新型コロナウイルス感染」を「パンデミック(世界的流行)」と宣言しましたが、「スペインかぜ」は人類最悪のパンデミックといわれています。感染原因、医療体制などや、社会環境の違いを考えてみても、現在の世界とよく似た状況だったのではないかと想像します。

1918年春ころに始まったスペインかぜは夏から秋にかけての第2波、2019年春の第3波を経てようやく終息に向かいました。当時の世界人口の約30%の約5億人が感染し、約2000万人~約4500万人の方が亡くなり、日本では当時の人口の約半分の2300万人が感染し、約45万人が亡くなったと推計されています。

以前に書きましたが(https://blog.goo.ne.jp/full-count/e/72ecd95e03f94f14889a370a84ffaeeb)、当時、対策として講じられたのは「患者の隔離」「密集地の回避」「マスクの着用」そして「学校の休校」「イベントの中止」など、現在とほとんど同じです。

終息に向かっていた1920年と、いまだ進行形の2021年で単純に比較できませんが、ベルギーのアントワープでオリンピックが開催されました。

ちなみに、ベルギーは奇跡的にスペインかぜ感染拡大を免れた国だったとされていますが、第一次世界大戦で永世中立国としての立場を貫いていたのですが、戦渦に巻き込まれ、特にアントワープの街はその影響が大きかったといわれています。

1918年11月11日に戦争が終わったものの、スペインかぜの感染は収束しておらず、1920年までには欧州での感染が収束していました。

その状況で、国際オリンピック委員会(IOC)は、第一次大戦とスペインかぜから復興の象徴として、オリンピックをアントワープで開催することを決めました。

1920年8月14日。急造され、完成間もないスタジアムに当時としては史上最多の29ヶ国が参加し、オリンピックが開幕します。

日本は陸上、水泳、テニスの3競技に16選手を送りこんでしますが、財政難で遠征費確保に苦労し、資産家(財閥)から協賛金の前払いをうけての参加しました。そのなかで、男子テニスの熊谷一弥さんがシングルス、柏尾誠一郎さんと組んだダブルスで2位に入り、日本のオリンピック史上初のメダル(銀)を獲得しました。

日本政府、東京都と東京2020組織委員会がときにこのアントワープ大会を引き合いに出すのは、「新型コロナウイルス対策と2011年に発生した東日本大震災からの復興オリンピック」を目指す東京大会とイメージを重ね合わせてのことだと思います。

アントワープ大会の実態としては、復興途上のベルギーでは財政に苦しみ、国民の暮らしもままならず、準備期間も短かったため、競技会場の多くが完成していない状況でした。また、スペインかぜ感染直後にも関わらず衛生面の配慮も足りず、選手たちからは不評でした。さらに、当時はチケットが高額で一般の観戦も難しく(今でも高額ですけどね)、アントワープ市民、ベルギー国民の関心を呼ばず、空席ばかりが目立つ大会だったそうです。

また、選手派遣見送り論が起きた国があったり、多くの種目で参加チームが一つしかなく、出場すれば金メダルとなった競技もあったそうです。

 

しかし、今ではおなじみの「白地に青、黄、黒、緑、赤の5色のつながる輪」が描かれたオリンピック旗が初めて掲げられ、開会式では、これも史上初となる選手宣誓が行われ、鳩を放った大会でした。華麗な演出は、「平和と復興を讃える祝祭」として世界に発信され、何はともあれ、「平和の祭典」「成功したオリンピック」とされています。

いまだ新型コロナウイルス感染が終息どころか収束したわけではありません。東京大会を開催するといっても、先の状況は誰にもわかりません。しかも、どんな状態になろうとも、東京大会が閉幕したら、ただ一言、「成功」というだけなのかもしれません(そもそも、政治的動機しかないことは誰の目からみても明らかなのですから)。

近年、拡大するだけの商業オリンピックといわれています。幸か不幸か東京大会は開催するにも規模を縮小した大会になります。こういう状況で開催する大会として、今後の大会のモデルとして、本当の意味で「成功」として評価されるのか、それとも「ボロボロ」の大会となってしまうのか。どちらにしても、歴史に残る大会になるでしょう。

東京大会が日本にとってのわかれ目であるとも思います。

今日も、私のブログにお越しいただいてありがとうございます。

今日がみなさんにとって、穏やかで優しい一日になりますように。そして、今日みなさんが、ふと笑顔になる瞬間、笑顔で過ごせるときがありますように。

どうぞ、お元気お過ごしください。また、明日、ここで、お会いしましょう。

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

もう、始まってしまいましたので、今ここでやめるとなれば、世界中からの信頼はなくすでしょうし、すでに日本国民のほとんどからは信頼をなくしていますし。

「オリンピックをやめるのは簡単」だったそうですが・・・、「総理をやめるのは簡単じゃない」みたいですね。
eco坊主
おはようございます。

もうやるならやるでいいんですけど、総理、IOC会長、五輪相、組織員会委員長等々の会見はもういいです。聞くだけで腹が立ってくる自分がいます!
>そもそも、政治的動機しかないことは誰の目からみても明らかなのですから。
↑こんなことに振り回される国民は不幸でしかないです。
 尤も今回が初めてではありませんが!


自分にできる事をしっかりやります!
笑顔の生活は戻って来ると信じて!!
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