「ラジオ」は、放送局が音声を電気信号に変えて電波として発信したものを受信し、再び音声に変えることで情報や音楽などを流す仕組みになっています。この音声を電気信号に変えて電波を飛ばす方法を変調といいます。
「AM」というのは、「振幅変調(Amplitude Modulation)」の略で、音の強弱をそのまま電波の振幅(強弱)で表した方式で、広い範囲に安定して放送することができるのが特徴です。自分の地域以外でAM放送が聞けたり、ときには海外のAM放送が聞けたりするのは、このためです。ただし、ノイズ(雑音)や混信(近い周波数の電波が混ざってしまうこと)が入りやすく、音質はそれほどよくありません。また、音域が狭いため、FM放送よりも低音質になっています。AM放送にニュース、トーク中心の番組が多いのはこういった理由などがあります。
「FM」は、「周波数変調(Frequency Modulation)」の略で、音の強弱を周波数の変化で表した方式で、波長が短いため放送できる範囲は狭く(数10km~100km程度)なりますが、綺麗な音質で放送できるのが特徴です。ただし、音域が広くノイズに強いため、AM放送よりも高音質になっています。FM局は音楽中心の番組が多いのはこういった理由などからです。
さて、全国の民間AMラジオ47局のうち44局が、2028年秋ころまでにFMラジオ局に転換するらしいです。ただ、2028年以降もAM放送を併用する局もあるようですが、AM放送を停波してFM放送に一本化する局もあります。でも、現在の制度ではAM局がAM放送をやめてFMだけのラジオ局になることはできないため、日本民間放送連盟(民放連)は2019年に制度改正を求めたのを受け、総務省は2022年度中に制度を改正し、2023年にも停波の実証実験を始める方針になっています。
いろいろと理由はあるようですが、1つに災害発生時の対応があるようです。
災害発生時の情報入手方法としてラジオは有効な手段だと思います。ただし、AM放送の場合、ノイズが入ってうまく聞き取れなかったり、 放送局や送信所が影響を受けて情報を送ることができない可能性もあります。そこで、FM放送用の周波数を利用してAM放送をしようというものです。
これは、ワイドFM放送と呼ばれ、TVが地上デジタル放送に移行したときに使用しなくなった周波数帯域の一部を使用し放送するもので、 AM放送の内容をFM放送で聞くことができるという特徴があります。そのため、FM補完放送とも呼ばれています。
また、FM放送の送信所は 山頂や高台など高い位置に設置されていることが多いため、災害の影響を受けにくく、 いざという時に送信できないというリスクも低いという利点もありようです。
2つめがコストの対応です。
AM放送の送信所は、FM放送の送信所に比べて、設備の関係で広い敷地が必要です。一般的には河川敷などに設置されていることが多いです(ですから、FM放送の送信所は山頂などに設置が可能ということです)。また、一部のAM局は2014年以降、AMの番組をワイドFMで同時に放送していますが、AM放送とFM放送の二重費用や、FM放送に比べて設備更新コストが高いというのも負担になっているようです。
これらの理由から、一部のAM放送局を除いて、AM放送を停波することを計画しているようです。ただし、北海道の2局と秋田県の1局は、放送エリアが広大であることなどを理由にAM放送を続ける方針のようですが。
3つめがネット化もあるようです。
現在、AM放送の番組は「radiko(ラジコ)」によるネット聴取が大半となっており、電波をだしている意味があまりないようです。「radiko」というのは、スマートフォンやPCなどでラジオが聴ける無料(なんていい響きの単語なのでしょうか)のサービスです。
現在、radikoには民放ラジオ100 局とNHK(ラジオ第1、NHK-FM)、放送大学が参加し、2020年4月時点で月間ユーザー約910 万人、日間ユーザー約170万人を超えており、1週間以内に放送された番組が聴けるタイムフリー聴取機能(これも無料)、全国のラジオが聴き放題のradikoプレミアム(これは有料)もあります。場所や時間を選ばずにラジオを聴くことができるのは便利ですからね。私は昔使っていましたが、現在は使っていませんけど。
さて、「別にAM放送が停波しても大丈夫」とはならず、現在のAM局の放送をFM転換後も聴き続けるためには、ワイドFMの周波数(90.0~94.9MHz)を受信できる端末が必要になります。現在、古いラジオでFM放送が聞けていても、90.0MHz未満りしか選局できなければ聴くことはできないのです。
ちなみに、日本放送協会(NHK)は現在のAM放送のラジオ第1とラジオ第2を一本化し、2025年度にFMと合わせて2波にする方針を示していますが、たぶんNHKは2028年にAMラジオを廃止するつもりはないと思われます。
ラジオを買い替えなくても、radikoで聞けばいいのですが。
昔、夜中などに遠くのAMラジオ局の番組や、海外のラジオ局の放送を聞いていたりしたときがありました。そんな時代が懐かしく思えます。
本日も、拙文最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さまにとって、今日という日が昨日よりも特別ないい日でありますようにお祈りいたしております。
また、明日、ここで、お会いしましょう。それではごめんください。