野球小僧

プロ野球 最強球団

日本のプロ野球球団経営会社の大半は決算を公開していません。会社法440条の決算公告義務すら履行していない球団もあり、資本金の大きい福岡ソフトバンクホークス以外の開示義務は貸借対照表のみとなっています。

経費の内訳を示す公表資料はありませんが、一般的に球団経営会社の経費の4割弱を占めるのが人件費、その大半は選手の人件費とされています。
選手の年俸に関する唯一の公表データは、日本プロ野球選手会のものですが、実はこれが当てにならない代物だと言われています。まず、選手会は労働的な機能を持ち、加入できるのは日本人選手のみです。外国人選手でも一定期間日本でプレーし、FA権を取得できれば外国人枠を外れて加入資格を得られますし、外国籍でも日本国内の学校出身だとドラフト対象になるので、プレー年数に関係なく最初から加入資格はあります。しかし、いわゆる「助っ人外国人」は加入していないため、選手会の公表数値には高額の年俸で雇われる外国人選手分が反映されていません。さらに、日本人選手ですら、実際の金額よりも少なく自己申告する選手が多いらしく、「公表されている球団別の合計金額は実際の金額よりもだいぶ少ない」ということらしいです。

推定
65億円~ 福岡ソフトバンクホークス
55億円 読売ジャイアンツ
40億円 阪神タイガース
30億円 オリックスバファローズ、東京ヤクルトスワローズ、埼玉西武ライオンズ
東北楽天ゴールデンイーグルス、横浜DenAベイスターズ、広島東洋カープ
20億円 北海道日本ハムファイターズ、中日ドラゴンズ、千葉ロッテマリーンズ

ホークスは外国人選手の合計年俸が推定14億円。しかし、ここ数年は柳田悠岐選手はじめ、生え抜きの選手の年俸アップが占めています。一方で1億8000万円の本多雄一選手、3億6000万円の五十嵐亮太選手、4億円の摂津正選手が退団し、3人合計で9億4000万円が減るため、年俸総額が2018年度を上回るかどうかは微妙です。

逆に、大きく伸びる可能性があるのがジャイアンツ。このシーズンオフは、FA宣言した丸佳浩選手のほか、バファローズを自由契約になった中島宏之選手を1億5000万円、FA宣言した炭谷銀治郎選手を3年6億円で、パドレスのビヤヌエバ選手を2億2000万円で獲得しました。この4人合計の年俸は10億8000万円。年俸額はまだ明らかになっていないが、シアトル・マリナーズから日本球界に復帰する岩隈久志選手の獲得も決まっています。坂本勇人選手が3億5000万円から5憶円へと1億5000万円アップで契約更改をしています。

一方、推定年俸2億2400万円の山口鉄也選手と2億2200万円のカミネロ選手、それに2億6600万円のマギー選手の3人合計で7億1200万円が退団します。それでも差し引き5億円以上の負担増になりますが、ホークスと球界の盟主をめぐっての戦いは青天井に見えちゃいます。

丸選手が抜けるカープはジャイアンツの3分の1。以前は黒田博樹さんに復帰初年度の2015年に6億円、翌年に10億円という破格の高年俸を支払ったくらいが突出した年俸でした。そして、2億1000万円の丸選手、1億1300万円のジャクソン選手、1億1000万円の新井貴浩選手、1億1500万円のエルドレッド選手が退団し、合計5億4800万円減りますが、丸選手の分は、人的補償で移籍してくる長野選手の年俸でドローです。

このオフに精力的に補強をしたイーグルス。浅村選手だけで年間推定4億円強、エンゼルスのブラッシュ選手も1億2000万円で獲得しましたが、2億円のペゲーロ選手が退団するほか、アマダー、ディクソンの2選手の退団で約1億円減り、それほど大きく増える可能性は低いと思います。

さて、昨年までは大きく戦力補強してきたバファローズ。一転して、年俸は大きく減少しそうです。今シーズンまで中島宏之選手に4年契約で毎年3億5000万円、金子千尋(改め弌大)選手に4年契約で毎年5億円支払っていましたが、両選手が退団します。1億2000万円の西勇輝選手もFAでタイガースに移籍し、この3人の退団で約10億円減る計算です。以前は球界3位の高水準年俸球団でしたが。

タイガースの目玉は西勇輝選手の4年10億円、1年あたり2億5000万円の負担増。ただ、一方、ロサリオ選手3億4000万円、ドリス選手1億2500万円、マテオ選手1億9000万円、モレノ選手5700万円の外国人4選手が退団になっており、この4人で7億1200万円減る計算です。ただし、何でも欲しがる球団ですので、まだ先は分かりません。

最低水準を争うのが、ファイターズ、マリーンズ、ドラゴンズです。ファイターズはカープと同じ育成重視の自前主義。独自の評価システムを使い、年俸の安い若手を積極的に起用します。過去には糸井嘉男選手や谷元圭介選手をトレードに出し、FA宣言した陽岱鋼選手、増井浩俊選手を引き留めることもなく、そして今回はレアード選手を自由契約にするなど、チームの顔と言えるような選手でも次々と手放す、ドライな方針です。また、2017年オフに年俸2億7000万円の大谷翔平選手をメジャーへ送り出し、最下位争いに参戦するようになりました。今オフは金子選手を獲得したものの、年俸はバファローズ時代の3分の1以下の1億5000万円。台湾から獲得した4割バッター、王柏融選手も3年4億円で1年あたりは1億3000万円。すでにアルシア選手・1億3000万円、トンキン選手・1億2000万円の外国人2選手の退団が決まっており、自由契約のレアード選手・2億5000万円の退団も決まれば、合計5億円減るので差引2億2000万円の負担減になります。

マーリンズは高額選手の退団がない一方で、今のところツインズ傘下の3Aレッドウィングスからバルガス選手(1億6500万円)を獲得したくらいで、大きな変動はなさそう。

お待たせしましたドラゴンズです。2013年シーズンまではジャイアンツに次いで年俸水準が高い球団でしたが、主力選手の大幅年俸ダウンと、当時・井端弘和選手への年俸提示に代表される、「2013年オフの乱(勝手に命名)」で大リストラを実施して以降、最下位争いの常連になっています。今シーズン限りで岩瀬仁紀さん、荒木雅博さん、浅尾拓也さんといった大物選手が揃って引退しましたが、既に年俸は数千万円に引き下げられていたので、引退による年俸減効果は大きくありません。もちろん、大型補強の話もありませんので、低位置安定型傾向にあります。

「お金をかければいい」というものではないことは歴史が証明しています。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
お金をかければ必ず勝てる保証はなく、逆にかけなくても勝つことは出来ます。

だから面白いのですよね。

でも、お金をかけずにいて、強くないというのは・・・ねぇ。それでも、その負のスパイラルの出口が見えてきましたので。

こうご期待です。
eco坊主
おはようございます。

「2013年オフの乱(勝手に命名)」には笑っちゃいました。

結局プロ野球最強球団というのは?
高額年俸を支払える鷹なのか、最低水準で優勝争いする勇者なのか?

竜の”低位置安定型傾向”というのは年俸だけではなくてペナント順位キッチリとその傾向ですよね~^^
最後の一文の文末が「!」ではなく「・・・」なのが、まっくろくろすけさんの苦悩が垣間見えるようです!!
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