将棋の名人戦七番勝負第4局が5月16日・17日に福岡県飯塚市の麻生大浦荘で行われ、挑戦者の豊島将之二冠が佐藤天彦名人を133手で下し、4連勝で新名人となりました。
実力制名人としては第十四代となり、平成生まれの棋士としては初です。さらに、保持している王位、棋聖と合わせて三冠保持となり、史上9人目の快挙となりました。ちなみに、どうでもいいこととして、対局が行われた麻生大浦荘は、その昔、筑豊御三家のひとつに数えられた麻生家の別邸で、第92代・麻生太郎総理大臣(現;副総理兼財務大臣)の曾祖父に当たる麻生太吉さんの本邸の隣に建てられ、現在は麻生グループの迎賓館として利用されています。
2017年度まで、実力はありながらタイトルに縁がない、いわば「無冠の帝王」ともいえる存在でしたが、2018年度は棋聖、王位と続けて奪取。将棋大賞の最優秀棋士にも選ばれ、タイトルも手に入れて無冠の帝王の座は返上しました。これで8つあるタイトルは、豊島新名人が3つ(王位・棋聖・名人)、渡辺明二冠が2つ(棋王・王将)、広瀬章人竜王、永瀬拓矢叡王、斎藤慎太郎王座と5人が保持する状況になりました。
豊島二冠は名人獲得について「4局納得いく将棋が指せて、結果も出せてよかったと思います。(名人戦に)出られるだけでもうれしいことだと思っていたので、一局一局丁寧にと言いますか、その瞬間瞬間を大切にしようとやってきて、結果も出せましたしよかったかなと思います」と振り返っています。
また、今回の七番勝負では第1局、千日手を経て先勝、第2局は快勝。第3局は熱戦となり、一気に名人位に王手をかけ、第4局も、じわりじわりと差を広げると、ミスなく佐藤名人の玉を寄せきりました。「実力以上の部分が出たところもありますし、寄り運みたいなツキもあったのかなと思います」とのことです。
(投了図)
ただ、名人を取るのはもちろん簡単ではありません。豊島名人はタイトルを取れない時期が長かったのですが、焦らずコツコツと努力してきた成果だと思います。
関西勢としては1997年に谷川浩司九段が、当時の羽生善治名人から奪取(翌年に失冠)して以来になる、22期ぶりに日本将棋連盟関西本部に所属する名人が誕生となります。
これで、豊島名人は将棋戦国時代から、頭一つ抜け出た状態とでもいう感じになりました。これから天下統一へ向かうのか、それとも再び群雄割拠の状態になるのか。これからの将棋界、2019年度の将棋界は注目です。