日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と日本野球機構(NPB)が新型コロナウイルスの感染拡大に連携して対応するために立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第2回会議が3月9日、東京都内で開かれました。
すでにニュースで報道されているとおり、Jリーグは当初3月18日に再開するはずだった公式戦の開催を3月いっぱいまで再延期することで合意し、3月12日の実行委員会で正式決定することになりました。また、村井満チェアマンは、「18日の再開は難しいという認識」と話し、全56クラブ代表者と協議した後、取材に応じて、「4月3日の再開を目指し、取り得る手段すべてを尽くす」とコメントしています。
また、NPBも3月20日のプロ野球開幕の延期を決定しました。延期期間について斉藤惇コミッショナーは、「個人的には今の段階では(開幕戦の)延長もやむを得ないと思っている」とし、臨時の12球団代表者会議を開き正式決定した後、「遅くとも4月中の開幕を目指す」とコメントしています。
(オープン戦は無観客試合。無人のスタンドの寂し気なドアラ)
これらは、共同で設置された新型コロナウイルス対策連絡会議の第2回会合で、専門家チームからJリーグの3月18日再開、NPBの3月20日開幕について「延期が望ましい」との提言があり、JリーグとNPBは専門家の見解を重視する意向を示しました。
Jリーグ側はある程度予想がついていましたので驚きはありませんでしたが、NPB側の決定についてはある意味、驚きでした。何が驚きかというと、NPBにしては決定が早いというものです。今回ばかりは2004年の球界再編問題、2011年の東日本大震災時の開幕延期問題時と違って、わがままを言わなかった球団の英断もあったと思えます。
さて、連絡会議において専門家チームは、「観客を守る」「チームや選手を守る」「スポーツ文化を守る」の3点を踏まえて開催の可否について検討したとのことです。しかし、感染拡大に歯止めがかかっていない状況を踏まえた上で、各クラブ、各球団が観客、選手、関係者らの感染予防を徹底するには、現時点では準備期間が不十分と判断したとのことです。
危機管理の面からももう少し環境を分析し、開催するにも準備期間は必要だと思いますのえ、開催の延期はやむを得ないことだと個人的には考えます。また、感染拡大が収まらない状況で予防体制が整備された場合であっても、通常開催するまでには段階性は必要になるとも思います。
さて、ここで大いなる決断が迫られるのが、選抜高等学校野球大会。
この連絡会議に日本高校野球連盟(日本高野連)からもオブザーバーとして参加しています。専門家らの意見を得たうえで、Jリーグの再開延期、NPBの開幕延期とは関係なく独自で開催の可否を判断するつもりとのことです。
日本高野連は、「我々は高校野球ということなので、我々独自で判断させていただくことになるだろうと思います。開催に向けての準備、リスクを下げることには、情報をいただいてということになると思いますが、最終的な判断は我々の高校野球での判断にはなるかなと考えています」とのことです。
すでに選抜大会に向けて3月4日に運営委員会と臨時理事会を開き無観客での開催方針を定めていますが、中止の可能性も含めて最終決定は3月11日に臨時の運営委員会を開いて再び議論する予定となっています。
高校野球については、各都道府県で春季大会の中止または延期の動きが広がっていることを考えますと(3月9日時点)、いまさらですが3月4日に無観客での開催方針を発表してしまったのは、時期尚早だった感があります。
■中止
東京都1次予選、香川、愛媛、高知、四国大会、愛知地区予選、兵庫(3月末までに休校・部活動中止が解除されなければ中止)
■延期
佐賀(延期し、無観客)、静岡、岐阜、大分、鹿児島、沖縄
■日程短縮
岡山地区予選(リーグ戦方式からトーナメント方式に変え、日程短縮)
この状況でも、日本高野連は一人部屋にして、外出禁止にして、食事も別々にしたり、移動は試合直前で日本高野連手配にするなど、感染防止につながるあらゆる策を検討していますが、高校球児の夢だとか、今までの努力だとかを語っている次元の話ではないと個人的には思います。