高校野球は選抜大会が終わり、春季大会が終われば、残すは夏の大会だけ。夏の大会は三年生にとってみれば、敗退=引退の大会となります。負ければ終わりという中で、色々な形で自分の想いを表現しています。
その中で一番良く目につくのは帽子のつばです。20cm四方もないような小さなスペースの中には言葉に表された、いろんな想いが詰め込まれています。
自分自身への激励。
指導者からの言葉。
仲間との約束。
周りの人への感謝。
選手一人ひとりに一つひとつの気持ちが帽子のつばに言葉になって書かれています。
磨斧作針
「まふさくしん」と読みます。
元々は「方輿勝覧」五三「磨針渓」に書かれていた故事に由来しています。
過是溪、逢老方磨鐵杵、問之曰、欲作針。
太白感其意、還卒業
若き李白は学問に疲れ、志半ばで故郷へ帰ろうとしていた。
その途中、道端で老婆が一心に斧を磨く姿を見て、何をしているか尋ねると、「斧を磨いて針を作るのです」と答えた。
李白はその忍耐に感銘し、道を引き返して師の元に戻った。
という話です。
意味は「斧を磨いて針を作る。どんな難しいことでも、忍耐強く努力すれば必ず成功するということ」です。
これは自分で書いたものではないと思います。先輩から譲り受けた帽子ではないかと思います。本人に聞いてみれば、やっぱり先輩から譲り受けたものだったそうです。
これを書いた先輩はどんな気持ちでこの言葉を書いたのだろうか。そして、どんな気持ちで後輩に帽子を託したのだろうか。
この言葉を見る度に先輩から譲り受けた時の気持ちを思い出して欲しいですね。毎日、練習でこの言葉を見る度に、目の前のプレーに全力を尽くして欲しいです。
球児一人ひとりの想い。
今日から新年度です。一年生から二年生へ。
右も左も判らなかった一年前。先輩として後輩を迎えられるだけの準備が出来てたかどうか。