第101回全国高等学校野球選手権鳥取大会は7月27日、どらやきドラマチックパーク米子市民球場で決勝があり、今春の選抜大会に出場し、春季県大会を制し28年ぶりの甲子園を狙う米子東高と、夏2連覇を狙う鳥取城北高が対戦しました。
投打のバランスが良い米子東高は、ここまで手堅く勝ち上がってきました。左腕エース・森下選手の安定感。3試合に先発し、計17回を投げ2失点。山内選手、土岐選手との継投で、相手の攻撃を抑えてきました。打線は長打が期待できる五番・福島悠選手のほか、打率6割超えの四番・岡本選手、小技もできる一番・福島康選手などがそろっています。
鳥取城北高は、三番・木村選手が今大会は絶好調。四番・山田選手、五番・声高選手も好調で、下位打線も含めて切れ目ない強力打線と機動力が強みです。投手陣はやや安定感がありませんが、ここまで別所選手、成田選手、駒居選手、阪上選手の4人の継投でしのいできています。
その2校の対戦は熾烈なシーソーゲームとなり、米子東高が28年ぶり14回目の優勝と59年ぶりの春夏連続出場を決めました。
初回に鳥取城北高が山田選手のタイムリーヒットで先制。その裏、米子東高が相手守備の乱れや森下選手のタイムリーヒット2点を挙げ、すぐさま逆転。
3回に鳥取城北高の大成選手と村上選手の2本のタイムリーヒットで2点を挙げて逆転。しかし、3回裏、米子東高は岡本選手のソロホームランで追い付く。
まさに試合会場の名称どおりのドラマチックな展開。
両チームの先発ピッチャーは米子東高がエースの森下選手、鳥取城北高もエースの別所選手でしたが、3回が終わった時点で早くも2番手ピッチャーに交代しています。
4回は両チーム三者凡退、5回表は鳥取城北高が2アウト満塁のチャンスに得点できず、5回裏に米子東高は1アウト満塁のチャンスを作るも得点できず。
両チームともに譲らない展開で試合は後半戦へと進みますが、後半戦も追いつ追われつの展開が続きます。
6回表に鳥取城北高の山田選手のソロホームランで勝ち越し。1点を追う、米子東高は7回裏に福島康選手のタイムリーヒットで再び、追いつきます。
追いつかれた鳥取城北高は、エラーで出塁したランナーが内野ゴロゲッツー崩れの間に本塁へ還り、4-3とこの試合4回目のリード。
米子東高は1点差で迎えた8回裏、2アウトから岡本選手、福島悠選手の連続ヒットで一・二塁とすると、長尾駿選手がタイムリー2ベースヒットを放ち、一塁ランナーが本塁へ還り、逆転。
1点を追う鳥取城北高の9回表は三者凡退に抑えられ、鳥取の頂点は米子東高が立ちました。
鳥取城北102001010|5
米子東 20100012x|6
決勝にふさわしい、好ゲームでした。
鳥取城北高が常にリードしていましたが、米子東高の攻撃になりますと、「何かが起こる」という期待感がありありでした。実際に対戦していた鳥取城北高としては、嫌な雰囲気だったと思います。
試合内容もよかったのですが、私が「さすが米子東高」と感心させられたのが、最後のバッターをセカンドゴロに打ち取り、優勝が決まった瞬間。普通の高校野球でのシーンではマウンドに集まって、いわゆる「歓喜の輪」を作るのですが、喜ぶことなく、すぐに整列。
本塁を挟んで挨拶し、鳥取城北高の選手たちと健闘を称えあったあと、校歌を唄ってから、応援席前で喜びを爆発させていました。
優勝した瞬間に歓喜の輪ができ、喜びを表現するシーンは、高校生らしく、微笑ましいと思ってみてきていました。しかし、考えてみれば(考えてみなくても)当然のことですが、試合を戦ってきた相手に対して(勝者が敗者に対する)敬意を払う行動として立派なことだと思えました。また、野球が強くなる理由も分かるような気がします。
応援のし甲斐のあるチームです。
そんな、米子東高には、今春の選抜大会で勝てなかった甲子園で、鳥取県に夏の甲子園5年ぶりの勝利を期待します。