経済産業省が2030年代半ばに日本国内の新車販売からガソリン車をなくし、すべてをハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などにする目標を設ける方向で調整しているというニュースがありました。これは、日本政府が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という考えを示したことを受けて、経済産業省は新車販売における「脱ガソリン」の目標を検討しています。
その後、東京都が、「都内での純ガソリン車の新車販売について、乗用車は2030年まで、二輪車は2035年までにゼロにする」ことを目指すと表明しました。これも、東京都は2019年末に公表した、「ゼロエミッション東京戦略」で、「二酸化炭素の排出量を2050年までに実質ゼロとする」という計画に基づいたものになります。
この2030年という目標年は、米国カリフォルニア州、中国や日本などが目指している2035年より5年早く、英国と同じになります。ちなみに、主な世界各国のガソリン車、ディーゼル車禁止の動きは次のような感じです。
2025年~ガソリン車、ディーゼル車の販売禁止
ノルウェー
2030年~ガソリン車、ディーゼル車の販売禁止
デンマーク、スウェーデン、オランダ、ドイツ、フランス、アイルランド、アイスランド、米国カリフォルニア州、英国(2035年~HV車も販売禁止)
2035年~ガソリン車の販売を禁止しHVに。EVやPHV、FCVなどを含むNEVについても新車販売の50%以上を目指す
中国
2040年、ガソリン車、ディーゼル車の販売禁止
スペイン
そもそも日本では、2020年3月に2030年からCAFE(corporate average fuel economy = 企業別平均燃費基準)を導入することを決定しており、このCAFE2030の数値はWTLC(= Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle:世界統一試験サイクル)といわれる国際的な試験方法で、25.4km/Lであり、現在の技術では最低でもHVしか達成することはできません。
現時点では普通車で最も燃費よい1Lガソリン車でも20.2km/Lですから、完全に純ガソリン車を全廃しない限り無理な状況となります。
2020年11月の各メーカーの燃料別販売比率
トヨタ:ガソリン 59.3%、HV 38.4%、PHV 0.6%、ディーゼル 1.7%
日産:ガソリン 38.6%、HV/52.0%、EV 9.4%
ホンダ:ガソリン 45.5%、HV/53.7%、EV 0.8%
マツダ:ガソリン 64.6%、HV/9.7%、ディーゼル 25.7%
スバル:ガソリン 44.9%、HV 31.9%
三菱:ガソリン 15.7%、HV車 4.7%、PHV 9.2%、EV 0.5%、ディーゼル 25.7%
そして、もう1点、軽自動車の扱いがポイントです。東京都は「純ガソリン車」といっています。つまり、軽自動車も対象に含めることになります。そもそも、軽自動車は普通車より安く、燃費もよく、地方の生活の足としても重用しており、電動化は車載電池を必要とするため高価格になってしまいます。
2020年11月の軽自動車主要メーカーの燃料別販売比率
スズキ:ガソリン 44.9%、HV 55.1%
ダイハツ:ガソリン 99.6%、HV 0.4%
これらのデータを見ますと、純ガソリン車の販売比率が高いことがよくわかります。本当に純ガソリン車の販売比率が2030年に本当に0%になるのか、これから10年、15年の電動車の主流はEVなのかHVなのか、メーカーの戦略の違いも目標に表れてくると思います。
また、2030年というとまだ先のように思えたりしますが、次にまたは次の次に車を買い替えるタイミングによっては、どのような車種にするか悩みどころでもあります。中古車販売での規制はないかもしれませんが、純ガソリン車の下取り価格はおそらく安くなってしまいそうです。
それに、現時点ではEVはまだまだ割高で、補助金なしですと300万円以上の高級車になります。さらに充電には時間がかかりますし、走行距離も短いです。さらにさらに、寒い冬は燃費ならぬ電費が悪すぎるようです。これらをガソリン車並みの水準にしていくことが大事なポイントにもなってきます。
米国のEVメーカー・テスラやドイツのフォルクスワーゲンでは300万円を切る価格のEVを投入する計画を発表しています。日本で、どこまで価格が下げられるかも問題になってくるでしょうね。
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