試合が終盤になって、チームがチャンスを迎えます。そして、ベンチから監督が出て来て、代打を主審に告げます。
すると、球場のボルテージは、この試合最高潮を迎える・・・
一振りにかける男
その昔、代打の神様と呼ばれた高井保弘さん(元;阪急ブレーブス)という方がいました。
代打での記録は次のとおりです。
通算代打ホームラン 27本(世界記録)
通算代打サヨナラホームラン 3本(日本記録)
シーズン代打ホームラン 6本(パ・リーグ記録)
シーズン代打打点 23打点(パ・リーグ記録)
今治西高校(愛媛県)から社会人野球の名古屋日産モーターを経て、1964年に阪急ブレーブスに入団。入団当時、変化球に全く対応できず一軍定着は3年目。守備力に難があり、当時のパ・リーグでは指名打者制度が採用されていませんでしたので、出番は主に代打でした。
一軍定着後は同僚だったダリル・スペンサー選手に倣い、試合中常に相手を観察し、気づいたことをメモして、相手投手のクセを見抜くことを得意とするようになったそうです。これが「代打の神様」の聖書だったそうです。
1975年にパ・リーグでは指名打者制度が導入されるようになったきっかけが、1974年のオールスター戦です。第二戦の9回裏・1アウト一塁の場面に代打で出場すると、松岡弘選手(元;ヤクルトスワローズ)の2球目をレフトスタンドにはじき返し、オールスター史上初の代打逆転サヨナラホームランを放ちます。この時、松岡選手のクセはすでに見抜いていて、シュートを狙い打ちしたそうです。
この代打逆転サヨナラホームランを観た米国記者によって指名打者制度が導入され(「いいバッターが守備や足が悪いから代打専はもったいない」)、その後、指名打者制の恩恵もあり、1978年、1979年と二年連続で3割を打ち、ベストナインにも選出されました。
数年前の代打の神様と言えば、八木裕さん(元;阪神タイガース)、立浪和義さん(元;中日ドラゴンズ)、前田智徳(元;広島東洋カープ)や桧山進次郎さん(元;阪神タイガース)らがいます。
ちなみに2014年の代打率トップ5は次のとおりです。
吉村裕基選手(福岡ソフトバンクホークス); 代打率 .500 (18打数 9安打 1本塁打 10打点)
福浦和也選手(千葉ロッテマリーンズ); 代打率 .474 (19打数 9安打 7打点)
木村昇吾選手(広島東洋カープ); 代打率 .429 (14打数 6安打 1本塁打 1打点)
西岡剛選手(阪神タイガース); 代打率 .417 (12打数 5安打 3打点)
鈴木誠也選手(広島東洋カープ); 代打率 .409 (22打数 9安打 4打点)
ちょっと、小粒かなと感じます。
また、ベテランならではいぶし銀の切り札として次の選手に2015年は期待します。
小笠原道大選手(中日ドラゴンズ)
新井貴浩選手(広島東洋カープ)
試合終盤、ここぞの場面で登場し、一打席にすべてを賭け、チームを救う。
それが「代打の神様」と呼ばれるゆえんですよね。