NHKは2020年度前期(2020年春から)の連続テレビ小説(朝ドラ)について、タイトルは「エール」で、主人公に窪田正孝さんを選んだと発表しました。
通算102作目となる朝ドラで、夏の全国高校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」などを作曲した、昭和を代表する作曲家・古関裕而さんがモデルです。
古関さんは1909年8月11日に福島県で生まれ、旧制福島商業学校(現福島商業高校)に通いながら仙台に通い、金須嘉之進さんに師事して、1929年にチェスター楽譜出版社募集の作曲コンクールに入選、日本人として初めて国際的コンクールの入選履歴を得た作曲家です。
それを機会に山田耕筰さんの推挙で東京の楽壇に進出し、クラシックからポピュラーに転身し、多数の軍歌、歌謡曲、大学などの応援歌を手掛けています。
プロ野球の応援歌では、中日ドラゴンズの初代応援歌「ドラゴンズの歌」、阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」や読売ジャイアンツ応援歌「巨人軍の歌(闘魂こめて)」などを作曲しています。
さらに、ゴジラのライバルのモスラの歌(♪ モスラ~や モスラ~)も作曲しています。
また、TVアニメ「ドカベン」の挿入歌「ああ甲子園」も手掛けており、TV版最終回のラストシーンで、弁慶高に敗れた明訓高が、負けた翌朝に宿泊する芦屋旅館から阪神甲子園球場までランニングするシーンでも使用されています。
ちなみに、NHKは作品中に登場する楽曲名は実名になる予定だそうです。
1931年 「紺碧の空 - 早稲田大学応援歌〜」 (作詞:住治男)
1935年 「東京農業大学応援歌 カレッジソング」 (作詞:吉田精一)
1936年 「大阪タイガースの歌(六甲颪)」 (作詞:佐藤惣之助、歌:中野忠晴)
1939年 「巨人軍の歌(野球の王者)」 (作詞:佐藤惣之助、歌:伊藤久男)
1948年 「栄冠は君に輝く」 (作詞:加賀大介、歌:伊藤久男)
1949年 NHKスポーツ中継テーマ曲「スポーツショー行進曲」 (演奏:コロムビア・ブラスバンド)
1950年 「ドラゴンズの歌」 (作詞:小島情、歌:伊藤久男)
1959年 「鉄腕投手 稲尾物語」 (本多猪四郎監督)
1963年 「巨人軍の歌(闘魂こめて)」 (作詞:椿三平、歌:守屋浩、三鷹淳、若山彰)
1964年 「オリンピック・マーチ」 (演奏:陸上自衛隊中央音楽隊)
1968年 「早慶讃歌 〜花の早慶戦〜」 (作詞:藤浦洸)
1970年 「我ぞ覇者 〜慶應義塾大学応援歌〜」 (作詞:藤浦洸)
1971年 「純白の大地(札幌冬季オリンピックの歌)」 (歌:日本合唱協会)
1977年 「ドカベン」挿入歌「ああ甲子園」 (作詞:保富康午 編曲:菊池俊輔、歌:日唱)
不二家社歌 (作詞:布谷真須枝)
窪田さんは、古関さんをモデルにした「古山裕一」の役で出演する。記者会見に出席した窪田さんは「古山という役を全身全霊で演じたい。(2011年の東日本大震災の被災地の)福島の皆さんにエールを届けたい」と決意表明しています。また、朝ドラの主役は女性であることが多いことから、「朝ドラで主役と聞いて、僕は女性と思われているのかなと思った」と笑わせ、「福島や全国の皆様に応援歌を届けたいという(番組スタッフからの)熱い思いを聞かせてもらい、決意みたいなものがすごくみなぎった感覚があった」と述べました。
朝ドラは現在、安藤サクラさんがヒロインの「まんぷく」が昨年秋から放送中です。2019年度前期は広瀬すずさんがヒロインの「なつぞら」を、後期は戸田恵梨香さんがヒロインの「スカーレット」を、それぞれ放送することが決まっています。