高校野球の試合会場へ行くといろいろな方がいます。
以前、某私立高グラウンドに練習試合へ行った際ですが、近所のおじいさんと思われる方が寄って来て
お 「〇〇の方ですか?」
私 「そうです」
お 「私ねえ、ここ(某私立高)のすぐそこに住んでいるんだけども、〇〇のファンなんですよね。今日、監督来ていないみたいだけど、監督変わっちゃったの?」
私 「今日はBチームです。いわゆる二軍です」
お 「負けるなよ。応援しているから」
私 「ありがとうございます」
ということで、思わぬところでも応援していてくれる方はいらっしゃるのですね。二週間後くらいに、今度はAチームとしてお邪魔した時には、そのおじさんは望遠レンズを付けたカメラを首からぶら下げていました。本当に好きなのですね。
先日、春季大会のとある試合。私の隣に、かなりご高齢なお方が着座しました。元高校球児だと推測しても、卒業して50年以上は経っているのではと思います。
左手にはメモ帳ではなく、メモ用紙。右手には青いボールペン。試合が始まると、メモを取りながらプレーの一つひとつを解説・・・というよりもボヤキ。もちろん、自分の応援しているチーム対しての叱咤激励だと思います。ただ、それが問いかけられているような感じなのです。連れの方はいません。よって、結果手に私が答えねばなりません。ただ、やっぱり独り言です。
そして、ハイライトがデッドボールの場面。なぜか、隣の私にキレられました。「痛いものは痛いのだぞ。まだ、高校生なんだぞ。当たり所によっては大変なことになるんだぞ」と一方的にすごい剣幕で言われちゃいました。
思わず、反対側に座っていた知り合いの方と顔を見合わせて ( ゚Д゚y)y !?? でした。
その後、デッドボールの情報収集か何かで、応援席の方へと行きっぱなしになってしまい、挙句の果てには「ここ席空いていますか?」と聞かれるたびに、私が「ここいます」と席を確保する係になっていました。でも、その間は静かに観られたので良かったものですが。
どこにでもいるオールドファンの方でしょう。ただ、どこででもそうですが、あまりにも熱が入りすぎ、相手チームの選手や審判員に対する聞くに堪えないようなヤジだけはよろしくありません。周りのお客さんにも不愉快な思いをさせるだけですから。
さて、これも球場で見かけました風景です。
高校野球も若い女性が良く観戦しているのを見かけます。そのほとんどが追っかけのような高校生(だと思う)です。次いでカップル。おそらく、OBとか選手の兄・姉とかが彼女・彼氏と来たりしているのでしょう。そして、もう一つが若い女性が一人で観に来ているパターンです。
先日も見かけました。年のころは20歳代前半でしょう。きれいなおねえさんです。自分の弟や甥っ子がいるという訳ではなく、チームそのものを応援している雰囲気でした。チームがアウトを取るたびに拍手し、チームの誰かがヒットを打つたびに拍手していました。
試合は9回裏。応援しているチームは1点リードしていますが、ノーアウト満塁のピンチ。
両手を目の前に合わせて、一球一球祈っていました。試合は祈り届かず、サヨナラ負けとなってしまいました。
何かのために祈っていても、それが届いているのか分からなくなってしまったり、祈り続けることに疲れてしまったりすることってありますよね。
祈りとは、「コンクリートの壁に穴をあけてください!」と素手で叩きながら祈るようなことなのだそうです。素手でコンクリートをいくら叩いても、穴が開く気配すら感じられません。でも、誰かが私たちからは見えないその裏側から穴をあけていてくれ、やがてぽっかりと大きな穴が開く時が来るのだそうです。
私たちは「祈ることしかできない」のではなくて、「祈ることならできる」のですから。
このきれいなおねえさんに祈ってもらった高校球児も、夏の選手権大会にはきっと祈りが届くと思います。
また、昔、きれいなおねえさん(自称)だった方々に祈ってもらっている高校球児もたくさんいると思います。
それぞれの夏に向けて。