「一回戦から決勝戦まで、すべてが模範試合や。
NHKが全試合テレビで流してくれる。
特に夏は、お盆の時期には小さな子からおじいちゃんまで見ている。
それを見て感動して『お父ちゃん、キャッチボールしよう』と言う子は間違いなくおるんや。
小学生に『サッカーじゃなく、野球がいいな』と思ってもらえるよう、全員に野球人としての責任がある」
指導力~高校野球で脱・勝利主義を目指した11人の教師~ 価格:¥ 1,620(税込) 発売日:2013-09-11 |
私も、まさしくそのとおりだと考えます。
これは中学生にも当てはまることであって、先日開催された塩尻市春季少年野球大会兼全日本少年野球大会塩尻予選会決勝戦の後半に学童野球のチームの子たちが観戦していました。
その子たちに「中学へ行って野球やろう」「中学生っていいよな」とプレー以外でも思ってもらえたか、そんな模範的な行動が出来ていたか。まだまだ、お手本となるには時間がかかりそうでしたが・・・
お手本と言えば、この本の中での神村学園の山本前監督が忘れられないと言っていた話です。
2007年夏の甲子園鹿児島県大会決勝戦後のこと。神村学園は鹿児島実業を5-4のサヨナラ勝ちで破って、甲子園初出場を決めました。
試合後、敗れた鹿児島実業メンバーがワンワン泣きながら、ベンチ内の砂を掃いて、ベンチを拭き上げて完璧に綺麗にした。
そして、くちびるを噛みながら、高校野球として最後になる「ありがとうございました」と礼をする姿があったという(神村学園メンバーは喜んでベンチもぐちゃぐちゃだったと言う)。
この姿を見て、「試合には勝ったが、ひとりの人間としては完全に負けている。これではいけない」と改めたそうです。
勝てばそれで良いのかと。自分の出番が終われば、後は関係ないのかと。
そうじゃないのですよね。
野球の技術だけじゃない。
これから社会へ出て行っても、キチンとできる、人間形成も必要。
まだ、学生ですから、野球だけを教えていればいいってものじゃないことをこの本をとおして教えられます。
この本の「はじめに」も書かれていますが、
「部活で結果を残したから良いのではなくて、そこで何をつかんだかに本当の意味がある」
「高校3年間では終結しない。彼らにとってはその先の人生の方が長く、その人生を強く生きて行くための力を高校の間につけてゆく必要がある」
のです。
私は学童・中学の野球に関わって10年近くになります。
おかげさまで、過去にも現在も、素晴らしい”野球技術”とともに”心”の指導者に巡り合えて来ました。
言葉は違っていても、大切なことを教えて頂いています。
それは、私たち保護者に対しても、勉強になっています。
子どもたちも「同じような話ばっかり」「野球と関係ない話ばっかり」だと思わないことです。
高校でも、一日の練習の1時間以上がミーティングやボランティア活動(福島県の聖光学院高)に費やして、”心”を教えている高校だってあるのです。
私は少し早いですが、中学のうちに少しでも、子どもたちが身に付けていけるようなお手伝いが出来ればいいかと、この本を読んで考えます。
そして、学童野球の子たちが憧れるようなチーム、他中学校に真似されるようなお手本になるようなチーム、地域の人にも応援されるチームを保護者のみなさんとも一緒に目指していきたいと考えます。
(この本、保護者の方、子どもたちも読んでみる価値はあります)