プロ野球シーズンも終わりに近づきますと、引退を表明する選手の名前がニュースなどで聞こえてきます。また、今日10月1日からは第1次戦力外通告期間に入ります。残念なことに、この時期になってしまったのです。
10月1日現在、引退・戦力外通告となった選手は次のとおりです。
■埼玉西武ライオンズ
松井稼頭央 (42/NPB 17年+MLB 8年) 引退
N.ワグナー (34/1年) 戦力外
■福岡ソフトバンクホークス
本多雄一 (33/13年) 引退
北海道日本ハムファイターズ
矢野謙次 (38/16年) 引退
石井裕也 (37/14年) 引退
■オリックスバファローズ
小谷野栄一 (37/16年) 引退
■千葉ロッテマリーンズ
根元俊一 (35/13年) 引退
金澤岳 (34/16年) 引退
岡田幸文 (34/10年) 引退
大隣憲司 (33/12年) 引退
F.ペゲーロ (30/1年) 自主退団
大嶺翔太 (26/9年) 引退
安江嘉純 (26/2年) 戦力外
宮﨑敦次 (25/5年) 戦力外
肘井竜蔵 (22/5年) 戦力外
■東北楽天ゴールデンイーグルス
小山雄輝 (29/8年) 戦力外
入野貴大 (29/4年) 戦力外
宮川将 (27/6年) 戦力外
横山貴明 (27/5年) 戦力外
向谷拓巳 (21/2年) 戦力外
匠 (20/3年) 戦力外
■広島東洋カープ
新井貴浩 (41/20年) 引退
天谷宗一郎 (34/17年) 引退
■東京ヤクルトスワローズ
松岡健一 (36/14年) 引退
山本哲哉 (33/9年) 引退
J.アルメンゴ (31/3年) 戦力外
■読売ジャイアンツ
杉内俊哉 (37/17年) 引退
脇谷亮太 (36/13年) 引退
寺内崇幸 (35/12年) 戦力外
青山誠 (26/5年) 戦力外
柿澤貴裕 (24/6年) 契約解除
■横浜DeNAベイスターズ
G 後藤武敏 (38/16年) 引退
田中浩康 (36/14年) 戦力外
加賀繁 (33/9年) 引退
須田幸太 (32/8年) 戦力外
荒波翔 (32/8年) 戦力外
■中日ドラゴンズ
野本圭 (34/10年) 引退
浅尾拓也 (33/12年) 引退
谷哲也 (33/10年) 引退
西濵幹紘 (25/3年) 戦力外
若松駿太 (23/7年) 戦力外
山本雅士 (23/4年) 戦力外
吉田嵩 (22/3年) 戦力外
まだ、正式には発表されてはいませんが、我らがドラゴンズの岩瀬仁紀選手と荒木雅博選手も引退する模様です。
そこで、ナゴヤドーム本拠地での、28日からの阪神タイガースとの3連戦中に”引退試合”となると思い、慌ててチケットを購入しようと思ったのですが、ニュースの後に土日のチケットは一気に売り切れてしまいました。
ま、岩瀬選手と荒木選手は一応一軍戦力であり、公式戦の中での最終出場が事実上の”引退試合”となる分には特に違和感はありませんが、公式戦で引退試合を行うのには、ちょっと違和感が残ります。特に、近年のように、いわゆる消化試合がない中での引退試合は、真剣勝負の中に、「セレモニー」が入ってしまうのですから、ちょっと違和感があるのですよね。
引退試合とは、引退を宣言した選手が登場して、ファンに最後のプレーを披露します。引退するバッターに対してピッチャーは真っすぐをストライクゾーンに投げ込むのが通例で、ピッチャーに対してバッターは空振り三振するのが「お約束」になっていますので。
何でもMLBをまねる日本のプロ野球ですが、この引退試合というのは、MLB式にはなりません。やっぱり、文化・風習の違いというものでしょうか。
ちなみに、MLBでは日本のような引退試合というものはありません。
開幕前に今季限りでの引退を表明する選手もいるが、現役最後の試合となっても相手選手が手心を加えるようなことはありません。また、試合後のセレモニーでファンに対して挨拶をするというのもほとんどありません。最後まで全力でプレーし、そっとユニフォームを脱ぐのがMLBスタイルなのです。
ただ、引退試合とは別に引退セレモニーを行うことが多いのです。
例えば、松井秀喜さんの場合、2012年限りで引退していましたが、2013年の7月28日に引退セレモニーがニューヨーク・ヤンキースの本拠地ヤンキースタジアムで行われました。このとき、ヤンキースは松井さんと「1日契約」を結び、ヤンキースの一員として引退セレモニーの場を提供したのです。ちなみに松井さんが最後にプレーしたのはタンパベイ・レイズでしたが、この「1日契約」により、松井さんの現役最後の所属はヤンキースとなったのです。
これは、2009年のワールドシリーズで日本人史上初のMVPに輝き、ヤンキースのワールド・チャンピオンに貢献した松井さんに対する、ヤンキースの敬意なのです。また、7月28日という中途半端な日に行ったことにも理由があり、その試合は、ヤンキースタジアムで行われるシーズン「55試合目」だったからなのです。実際は雨天中止もあり、予定どおりの55試合目とはなりませんでしたが、松井さんの背番号「55」にちなんだ粋な計らいだったのです。
ファンが見守る前で契約書にサインをし、スピーチをします。球団からはレリーフなどの記念品が贈られるという、簡単なセレモニーですが、目を潤ませる選手も多いそうです。
MLBにおける「1日契約」は、1965年に当時のカンザスシティ・アスレチックスがサチェル・ペイジさんと結んだのが始まりとされています。その後は、あまり見られませんでしたが、2000年代になってから徐々に増えてきました。その理由として、FA制度の導入で移籍することが増え、メジャーデビューを果たしたチームでそのまま現役を終える選手が以前と比べて少なくなってきたことがあるそうです。
金銭面など、様々な事情でメジャーデビューした愛着のあるチームを去ったとしても、最後は慣れ親しんだチームで終えたい。ファンも選手の貢献に対して改めて賛辞を送ることができるというものです。
日本でもそういったセレモニーが行われてもいいのではないでしょうか。