2013年の春の選抜大会で、当時プロから注目された高校No.1ピッチャーとして注目され、一回戦から決勝戦までの5試合で772球を投げ、米国MLBまで巻き込んだ騒動がありました。
この年の夏の甲子園前に肩を故障しますが、甲子園へは出場し、二回戦で敗退。この後に再度肩を故障し、2014年の夏は県大会で敗退となりました。
それ以前には1991年の夏の甲子園で沖縄水産高校のピッチャーが肘の故障を隠して一回戦から決勝戦までの6試合で773球を投げ、大会後、右肘の疲労骨折が発覚して手術を受け、もうピッチャーとして二度と投げられなくなりました(後年、野手としてプロ入り)。の右肘はまっすぐ伸びず、130度に曲がったままだったそうです。
さて、いつもは全国的なニュースにも取り上げられず、全国紙の片隅に結果が記載されるくらいの全国高校軟式野球選手権大会ですが、中京高(岐阜)対崇徳高(広島)は4日間・延長50回という試合内容もあって、全国ニュースでも取り上げられていました(テレビ中継は録画でGAORA sports/9月4日(木) 19:00~22:00 再放送 9月5日(金) 11:30~14:30/9月7日(日) 9:00~12:00)。
そもそも、記憶に新しい田中将大(駒大苫小牧高)と斎藤祐樹(早稲田実業高)の投げ合いは延長15回引き分けで再試合。
この中京高対崇徳高は延長15回で打ち切り、サスペンデッドゲーム(一時停止試合)となり、翌日にその続きを戦うというルールが適用されているために、このようなことになったのです。
高校野球特別規則(規則4.12)
サスペンデットゲーム(一時停止試合)について
全国高等学校軟式選手権大会(決勝戦は除く)のみ、サスペンデットゲーム(一時停止試合)を適用する。
この試合で(4日間に渡って一試合と言っていいのかな)、中京高のピッチャーは709球、崇徳高のピッチャーは689球を投げています。前日の試合にも両ピッチャーは投げていますので、5連投。さらに中京高のピッチャーはダブルヘッダーとなった決勝戦でもリリーフ登板して6連投で77球。
中京高のピッチャーは7日間4試合75イニング2/3、1047球を投げています。
9月1日の朝のニュースで「この大会失点1防御率0.12という数字はもの凄い」とコメントしていましたが、ニュースとして取り上げるなければならないのは、そういうことではないと考えます。
日本のプロ野球のピッチャーが1ヶ月近い春のキャンプ期間で投げ込む球数は多くて約2000球。
そもそもシーズン中の規定投球回数は年間144イニング。
中京高のピッチャーですが、キャンプの投げ込み球数と年間規定投球回数の半分近くを1週間4試合で投げてしまったのです。この異常さをどうして取り上げないのでしょうか。
硬式高校野球ではあれだけ騒いでいたにも関わらず、軟式高校野球では「すごい」の一言で片づけてしまう。何か変です。
確かに軟式高校野球から直接プロ野球のドラフトで指名されることは、ほとんど可能性がなく、注目されることが少ないから、問題視しないからでしょうか(北海道日本ハムファイターズのGMが興味を持っているとかのニュースがあります)。
でも、いくら負担が違うと言っても、ピッチャーが肩、肘を使うのは硬式でも軟式も同じなのですよね。鍛え方にもよるでしょうけど、硬式は硬式球への負担、軟式は軟式球への負担に耐えうるようにしているはずですから、いくら軟式球のほうが軽いといっても、これが基でケガや障害を抱えることになりかねません。
主催する側の大会規定や日程の都合もあるでしょうけどね(9月1日から新学期・・・でも、今年の甲子園では北海道代表の東海大四高の試合日は学校の始業式。勝ち進んでいれば、授業に影響するはずなので、高野連の説明は矛盾)。
軟式高校野球も高野連の主管です。高校野球が教育の一環だと言うのですから、良いところは残し、受け継ぎ、正さなければならないことは、球児たちの将来を考えた上でのルール見直しがあってしかるべきだと考えます。
いかなる場合であっても、子どもたちは大人が守らなくてはいけないのです。
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