「武ある者が武なき者を足蹴にし、
才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す!
これが人の世か!
ならば
わしはいやじゃ!
強き者に服するのが世の習いと申すなら、
このわしは許さん!」
史実にもある戦国時代の終わりを告げる戦いの物語です。
時は天正18年(1590年)。
天下統一を目前にした、豊臣秀吉さんと後北条さんの戦い(小田原征伐)。小田原城の支城の一つ忍城(埼玉県行田市)を守る成田長親さん。長親さんは士分500騎と武装した農民らの計3,000名の手勢で城を守ります。
そこへ攻めるは石田三成さんを総大将とし大谷吉継さん、長束正家さんなどの秀吉さん子飼いの諸将が名を連ね約23,000騎もの大軍。
城中に開城(=降伏)が当然という空気が漂う中・・・
のぼうの城 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:2007-11-28 |
普段、誰からも役立たずと思われ「のぼう(=でくのぼう)」と呼ばれていた長親さん。
これは農民の長親に対する親しみの表れでもあり、小馬鹿にしていたからでもあった。
最初の言葉は、その長親さんが開城を迫る軍使の正家に対して、開戦を決意したときの言葉です。
間違っていることに対し、毅然とした決意を表す。
ダメなものに対してはダメと言い切る長親さんの「嫌なものは嫌なのじゃ」です。
国を守ること、人を守ることとは、理屈や利害、ましてや人気取りの政治ではなく正義なのです。
時間があればぜひ読むことをお勧めする一冊です。
(私はコミック版を読みました)