【ねぼけ頭で並べろ!】
人気芸能人のファッションが流行するように
囲碁トッププロの打つ技をみんながマネます
この6年、AIが旧来の定石にない手で
人類最強クラスを次々と撃破しては
常識をすっかり破壊してしまいました
百年二百年の長きに積み重ねた
技の流れが大きく変わってしまい
これはいまも現在進行形なのです
わたしも、わたしなりに
いろんな囲碁本を読んできましたが
それが即、棋力アップには
つながっていません
特に序盤はますます難しく
ワケが分からなくなっています
同じレベルの対局であれば
決め手はなにかといえば
最後の最後は「シノギの巧拙」
ではないでしょうか
碁は最後に陣地が多い方が勝ち
確かにそうですが、「最後に」
というところがミソであって
最初から途中までは
「陣取り合戦だ」と思っていれば
まずは勝てないとしたものです
シノギは相当に難しい概念で
頭で分かったと思っていても
実際にできるわけじゃありません
「4回転半ジャンプ」のように
なんども氷の上で挑戦して
なんども転んでみて
すこしずつ体の感覚をつかんでゆく
それしかないように思います
◇
わたしが愛してやまない
チクン先生のことばを拝借します
「シノギの名人」です
スポーツをも含めて
あらゆるゲームは
『攻め』と『シノギ』の争い
といっていいでしょう
碁もまた
攻めとシノギのゲームといえますが
他のゲームにない特色があります
ふつうのゲームは
シノギ、守りに回ることはあっても
勝つためには攻撃によって
ポイント(得点)をあげねばなりません
そのポイントによって
勝負が争われる
ところが碁は
シノいでばかりいても
一回も攻めなくても勝てるという
不思議なゲームなのです
実利が相手を上回れば
シノギだけで勝てるからです
実利とシノギは
表裏一体といってもいいでしょう
◇
うーん、なるほどな、と思って
彼の解説を熟読しても
やっぱり分からない
でも、彼の棋譜を
碁盤に並べると
指からスッと分かっていく
……ような気がするのです
チクン先生の勉強法
一、寝起きですぐに、碁盤に向かう
二、アタマをカラッポにして並べる
三、同じ棋譜を何度も何度も並べる
先生は修業時代、秀策全集がボロボロになり、買い替えたそうです